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- 閉伊川水門整備が終盤へ 宮古の津波防御の要に 県の最後の復興工事
- 東日本大震災の発生から15年―。県の最後の復興工事となる宮古市内の「閉伊川水門」は、2026年度末の完成を目指し、鋭意工事の進捗が図られている。現地では左岸側が完成し、現在、右岸側半分の施工を推進。河川内を締め切っていた仮締め切り内部にも水が入れられ、来年度は水門本体の仕上げのほか、機械電気設備やゲートの整備に入っていく。新たな巨大地震も想定される中、市中心部を守る要として津波防御の役割に期待が寄せられる。
東日本大震災津波では、宮古市でも市街地が浸水し甚大な被害が発生。閉伊川河口部には、震災津波以前から1960(昭和35)年のチリ地震津波を契機として整備された高さTP+5・26㍍の防潮堤があったが、津波は防潮堤を越えて市街地に流れ込んだ。
震災の経験から県は、宮古湾の防護高さを過去の津波高などを踏まえ、数十年から百数十年に1回程度の頻度で発生する津波(L1津波)に対応する高さとして10・4㍍と設定。防潮堤などの津波防護施設の整備を進めてきた。
閉伊川河口部の津波防御方式については、水門方式と堤防かさ上げ方式を比較検討。まちづくりへの影響なども考慮し、宮古市の意向も聞いた上で水門方式を採用した。
閉伊川水門は、被災地の復旧復興を最大限早めるため、概略の図面・数量で発注する「標準断面図等による発注方式」により発注された。
着工は14年3月。以降、水深の深さなどによる施工ボリュームの大きさや、現場の複雑な地質条件による設計の見直し、16年台風第10号で被災した左岸側の手戻り工事などにより、工期は2回延伸された。
全体計画は、水門本体の延長が164・4㍍で、ゲート数は4門(うち航路部1門)。堰柱の高さは約40㍍(航路部堰柱で河床からの高さ)。岩盤に打ち込んだ基礎杭は、全体で約1200本に及ぶ。津波を防御するカーテンウォールの高さはTP+10・4㍍で、中空ボックス断面PC桁構造で設置。津波防御水門としては国内最大級となる。
施設は操作室(上屋)と門柱を一体感のあるデザインとするとともに、上屋をコンパクトに整備。トップヘビーな印象を軽減することで、周囲の景観へも配慮している。
26年2月現在で契約額は、代表的なもので水門土木工事が361・6億円、水門設備工事が84・1億円。
水門左岸側は、21年度までに堰柱やゲートなど主要な構造物の整備が完了。現在は右岸側の整備を進めており、25年度は堰柱やカーテンウォール、管理橋、水叩き工などの進捗を図ってきた。昨年12月上旬には河床部の工事がおおむね終了したことから河川内を締め切っていた仮締め切り内部に水を入れ、現地では仮締め切りの矢板の撤去が進められている。
今後は完成に向け、水門本体の仕上げのほか、機械電気設備やゲート本体、さらに管理橋に接続するアプローチ橋などの整備を実施していくことになる。ゲートの据え付けは、26年度後半になる模様だ。
水門の管理橋部分については、完成後、宮古市道としても利用されることから、市民の利便性の向上や観光振興にも寄与することが見込まれる。
また、工事現場では、小中学校、高校、大学、一般の団体など多くの見学者を受け入れており、24年度は30団体、25年度も同程度の見学者に対応している。岩手県立大学との共同研究により、水門の開閉動作などをAR動画で体験できるデジタルコンテンツを作成し、見学で活用している。
閉伊川水門は、津波防災の象徴的な施設であることから、見学ツールを活用した効果・役割の情報発信、さらに防災学習による防災意識の向上や、観光客の誘客にもつながることが期待される。
事業を担う県沿岸広域振興局土木部宮古土木センターの北館康弘副所長兼復興まちづくり課長は、「宮古市民の安全・安心の確保のため、一日も早い完成を目指し、施工業者と共に工事を進めていく」と、事業の終盤に向け意気込みを語る。













