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2025年
11月11日(火)
16:19

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雫石町町制70周年 猿子町長インタビュー 一体となってまちづくり推進
 25年4月に合併70周年を迎え、8日には記念式典を開催した雫石町。豊かな自然環境を生かしたまちづくりで、地域振興を力強く推進している。同町では現在、「第三次雫石町総合計画基本構想」の2カ年目を迎え、基本理念である「みんながつくる 未来につなぐ ふるさとしずくいし」の実現に向け、各種施策に取り組んでいる。猿子恵久町長に災害への備えに向けた思いと、今後の同町の課題解決に対する考え、建設業界に対する期待を聞いた。(多田美晴、関連2、4面)
 ―雫石町が合併70周年を迎えるにあたり、町長の率直な思いを。
 首長としてこのような大きな節目を迎えることができ、感無量だ。町の先輩たちに対し、感謝と敬意を表したい。平穏無事にこの節目を迎えられたことはありがたく、何とか若い人たちに町を引き継いでいけるよう、町を盛り上げていきたい。
 ―町長が考える町の魅力・強みとは。
 町の基幹産業は、農業と観光。自然景観の美しさは、ほかの地域にも負けないと思う。小岩井農場やスキー場、岩手山を望む自然豊かなロケーションが魅力だ。
 農業では、米を中心に高品質な農作物を供給している。畜産関係は縮小しつつあるが、雫石牛のブランド化など、生産者の皆さんが頑張っている。産業が安定してきたことが町を強くしたと思う。
 おっとりとした雫石らしい町民性も魅力の一つだが、コロナ禍を経て結びつきが薄れてきているのが心配だ。公民館に集まるなどの町民同士の交流活動が行われなくなってきている。コロナ禍を経験し、町職員が成長できたことから、何とか再び盛り上げることはできないかと各種取り組みを行っている。
 ―町長が考える、現在の町の課題は。
 大型のハード整備などの課題はそのたびに解消してきたが、解消するたびにまた新しい課題に直面してきた。
 一番大きな課題としては、人口減少・少子高齢化が挙げられる。子どもに対する手当を手厚くし、一時的に出生率を伸ばしたが、婚姻数が増えないことには出生率も伸びていかない。今後は婚姻と子育て支援の双方の対策を講じていくことが求められていくと思う。
 ―激甚・頻発化していく災害に備えていく上で、町ではどのようなことを課題と捉えているか。
 盆地という立地条件から、2013年8月に発生した豪雨災害では70億円程度の被害が生じた。砂防ダムの整備など備えを行ったが、大切なのは町民の意識改革だ。この程度の雨なら大丈夫だと思っていても、寝ている間に雨の勢いが増してしまうことがあるため、防災意識を高めていくことが重要だと考える。
 岩手山の噴火警戒レベルがレベル2に引き上げられたことで入山禁止になっているし、駒ケ岳は40年周期で噴火しているが、現在は前回から55年が経過しており、いつ噴火するか分からない。自然というものは、誰も正確に予測できないため、住民の意識向上が鍵となる。自然災害に対する備えについては、日常生活の中でいつでも起こりうるものとして、常に緊張感をもって取り組むべき重要課題だ。
 ―いつ発生するか分からない激甚災害に対し、町ではどのように対応していくか。
 防災に関しては、とにかく迅速に気象庁や盛岡地方気象台から情報を集めるとともに、対策本部の設置を行うことが重要だ。広い町内で災害の状況に左右されず情報を伝達していくために、自主防災組織の強化も必要になるだろう。
 町民に対してだけでなく、庁舎内でも職員を対象にした訓練や、消防署と連携した訓練を継続して行っていく必要があると思う。最も大切なものは住民の命だ。それを守るのが町長の役目だと認識している。
 ―今年度推進していく事業のポイントは。また、国や県、近隣自治体と連携していく点は。
 8市町からなる盛岡広域環境組合で進めているごみ処理場については、それぞれの立場からの意見をまとめ、早く道筋をつけていく必要があると考えている。
 町内では町火葬場の老朽化が進んでおり、施設の修繕を行う必要性が出てきた。これに関しても道筋をつけて事業を進めていきたい。
 バイクやキャンプなど、アウトドア関係に的を絞った観光振興にも力を入れ、まず国内の観光客を取り込んでいく。
 ―地域の守り手である建設業界にメッセージを。
 町を地元として生まれ育ってきた者として、建設業者の重要性を強く実感しており、業者を大切にしたいという思いも強い。
 13年の大雨災害の際には、被害状況をまとめた手元の資料もない中、携帯電話でやり取りをしながら作業に当たってもらったことが印象深く、建設業を大切にしたい思いが一層深まった出来事だった。
 人件費などのコスト増や、工事件数の減少など、厳しい状況下にあると思う。町の財政を見ながら、さまざまな規模の工事を発注していかなければならないし、町内の業者と一体となって頑張っていく必要がある。建設業者の皆さんには「まず一緒になって頑張ろう」と伝え続けたい。
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