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2024年
3月29日(金)
18:59

コラム集

●つむじ風 3月29日
 建設業における時間外労働時間の罰則付き上限規制が4月からスタートする。これに伴い国交省や県にとどまらず、市町村においても発注者指定型による週休2日工事が導入されるようだ。東北地方整備局によると、24年度は地整、6県、市町村の75%が発注者指定型による週休2日工事に取り組むとのこと▼本県は73%に当たる24市町村が年度当初から適用。7市町村が年度途中から適用予定で、2市町が未定だとか。昨年9月下旬に本紙が県内市町村の週休2日工事実施状況を調査した時点では、実施している市町村は11市町で、全体の3分の1。発注者指定型を導入していたのは3市のみだった。半年もあると状況は大きく変わるものだ▼発注者指定型による週休2日工事の拡大は「2024年問題」への対応だけではなく、中長期的な担い手の確保と育成に向けた危機感の表れだろう。ここ10年ほどは「仕事はあるが、人がいない」状態が慢性化していた。これからは「仕事はないが、それ以上に人がいない」の時代。建設業で働く意義の認知度向上も急務だ。
●つむじ風 3月28日
 県総務部管財課では、県庁舎の30年後を見据えた改修・建て替えの判断に資する資料として、「県庁舎の在り方報告書」の作成作業を進めている。先ごろの県議会2月定例会の総務委員会では、同報告書の骨子案の概要などを説明した▼骨子案に盛り込まれている県庁舎のあるべき姿としては、①防災拠点として安全・安心な庁舎②環境に配慮した長寿命な庁舎③将来の変化に対応できる機能的・効率的な庁舎④誰にも親しまれる利用しやすい庁舎―の4点を柱に掲げている▼県庁舎の位置に関し考慮すべき事項としては、交通のアクセス性や官公署などとの関係性、災害に対する安全性、用地に係る費用負担などの面から整理。盛岡市と県内各地を結ぶ主要道路からアクセスしやすい場所が望ましいとの方向性などを盛り込んでいる▼県では今後、有識者懇談会やパブリックコメントなどを実施し、出来るだけ早期に同報告書の最終案を取りまとめたい考えだ。将来、立地エリアのまちづくりに貢献する県庁舎とするためにも、丁寧・着実に議論を深めてほしい。
●つむじ風 3月27日
 県と花巻市、NEXCO東日本が共同で整備を進めてきた東北自動車道の花巻PAスマートインターチェンジ(IC)が20日に開通した。荒天のため現地での式典はなかったが、花巻市文化会館でテープカットやくす玉開披で開通を祝った▼式典で東北地方整備局の山本巧局長は、全国で1500ほどあるICの中で、1割を超える150カ所ほどがスマートICとして整備されたことを紹介。さらに、「日本のICの間隔は平均10㌔だが、欧米は約5㌔ピッチで整備している」とも▼花巻PAスマートICは、県内では初となる環道型退出路を採用。誤進入やETC車載器にトラブルが生じた場合、立ち往生することを防ぐ。また、花巻PAはバリアフリー化やトイレのリニューアル工事を実施し、より使いやすいPAとなって生まれ変わった▼開通により新たな流れを生み、産業や観光の振興につながることが期待される。一方で、他のスマートICでは、スマートICへの案内や観光施設までの案内に対する不満が出されている。今後の動向を注視していきたい。
●つむじ風 3月26日
 能登半島地震の被災地へテックフォース(緊急災害対策派遣隊)を派遣していた東北地方整備局岩手河川国道事務所は先週、活動報告会を開催。派遣隊員が活動の内容や留意点を示し、他の職員と情報共有を図った▼同事務所では、1月6日から2月27日まで、道路班4回、砂防班2回、河川班1回の計7回にわたり、隊員として職員延べ28人を派遣。1班4人構成で、河川、砂防は石川県珠洲市、道路は同県穴水町の被災状況を調査してきた▼報告会では隊員が活動の留意点として、4WD・車高の高い車両の有用性や、トイレの場所、スマホの通信可能エリアなど事前確認の大切さを指摘。交通渋滞や移動ルートが限られ、所要時間がかかることも語っていた▼特に積雪で被災箇所が覆われてしまったことには苦慮した様子。地割れ、段差などが雪で隠される中、安全を確保しつつ除雪しながらの徒歩調査。隊員からは「調査は天候との闘い」との言葉もあった。限られた時間で、どれだけ最善を尽くせるか。今回の報告内容を糧に、次の支援活動につなげてほしい。
●つむじ風 3月25日
 高校生を対象とした就職説明会の取材をしていた際、とある建設企業のブースに多くの生徒が訪れ、熱心に説明を聞いている様子を目にした。生徒から人気を集める企業と感じ、企業の方に話を聞いたなら「あまり、あてにならないかもしれない」とのこと。さらに話を聞くと「前年は、この高校からの採用は0人だった。かすりもしなかった」という▼就職説明会は、2年生を対象に開かれたもの。以前に高校側から聞いた話では、2年生の学年末の時期には、進路について漠然と考える程度の生徒も多いようで、3年生になってから職業について詳しく調べたり、求人票を見比べるなどして進む道を固めていく傾向にもあるようだ▼2年生末の時期の生徒に対しては、職業に興味を持ってもらうきっかけを与える程度にして、その後さらに踏み込んだ取り組みというのが有用なのだろうか。それとも、もっと早い段階となる高校1年生や中学生のころから建設業への興味を抱かせるような取り組みを進め、少しずつ着実に地盤を固めていくような形が良いのだろうか。
●つむじ風 3月22日
 県北広域振興局土木部二戸土木センターは、除雪功労者表彰と併せて、県内で初めて「除雪若手技術者奨励表彰」を行った。「近年新たに除雪業務に従事した人」「満40歳を迎えていない人」を対象に、今回は4人を表彰した▼除雪業務の担い手不足が深刻化していることを背景に、新たに除雪業務に従事した若手の励みとするとともに除雪技能の向上を目指して実施するもの。今後は、ほかの土木部・土木センターにも拡大していくことになるだろう▼県土整備部では21年度から、熟練オペレーターの技能や知識の継承を目指して、県から除雪を受託している企業を対象とした若手除雪オペレーターの育成支援事業を実施。これら一連の取り組みを通じて、発注者として除雪の担い手の育成確保に努めている▼建設業の「新3K」、時間外労働の罰則付き上限規制、若年労働者の確保と育成等々…。災害や除雪への対応に限らず、制度と現実、本音と建て前が複雑に交錯し、一筋縄ではいかないが、「県民の安全で安心な生活の確保」という本質を見失わない議論が必要だ。
●つむじ風 3月21日
 東北土木技術人材育成協議会がこのほど、仙台市内で開かれた。24年度も土工や舗装、コンクリート、構造物設計の土木コースと、ICT・UAV、インフラDX、遠隔操作式バックホウの計7コースで、基礎技術講習会を開く▼17年度に始まった同講習会は、順調に受講者数を伸ばしたが、コロナ禍のため減少。21年度は約300人とコロナ禍前の3割まで落ち込んだ。23年度は行動制限が解除されたことや、新たにインフラDX講習を開設したことから、過去最多の982人が受講した▼同講習会のカリキュラムの一つにICT・UAVがある。会合の中で、同協議会の副会長を務める東北地方整備局東北技術事務所の高橋秀典所長は、市町村の受講者推移を示し、「23年度は24市町村が新たに受講し、岩手県や宮城県からの参加が多い。両県が各市町村に周知した成果」とした▼24年度も東北6県で開催予定で、座学や現地での実習、見学も企画している。23年度の受講者に対するアンケートでは、実習が特に高評価を得ていた。官民問わず積極的に参加したい。
●つむじ風 3月19日
 県が大船渡市ー住田町間をまたぐ国道107号の改良として、新トンネルなどを整備する白石峠区間。事業は、主要構造物となるトンネルの詳細設計を担当する企業が決まり、着工に向け大きく前進していく▼区間の全体計画は、総延長が2・7㌔で、計画幅員はトンネル東側区間が6・5(9・0)㍍、西側区間が6・5(9・5)㍍。区間内には、2市町を結ぶトンネル2・3㌔と、住田町内に橋梁1橋を予定している。大規模事業評価での事業期間は31年度までで、総事業費は約94億円となっている▼現道約3・5㌔は、急勾配とカーブが連続。現道の南側をトンネルで直進するルートとすることで、走行上の課題を解消し、安全で円滑な交通を確保することができる。整備規模・効果ともに、地域を支える事業として期待されている▼白石峠区間を含む、大船渡市ー釜石自動車道・宮守インターチェンジ間は、暮らしや産業振興を後押しする重要な幹線横断道路だ。横断ルート全体の交通環境の向上に向け、まずは白石峠の解消を円滑に進めてほしいと思う。
●つむじ風 3月16日
 定期的に通っている病院では近ごろ、予約による診療が優先されるようになった。4月からは、休診日を増やす措置も行うという。医師も4月から、時間外労働の上限規制が適用となる職業の一つだが、対応に向けた取り組みなのだろうか▼4月から時間外労働の上限規制が適用となる建設業、運送業、医師。それぞれ抱える課題、背景などに違いはあるものの、人手不足という点は同様となっている。担い手や人材の確保が思うように進まない現状にある▼4月からの時間外労働の上限規制適用を控え、2024年問題がクローズアップされる場面が非常に多くなっている。現状を広く理解してもらうことは必要なものの、対応に苦慮している描写に、次代を担う人材は果たして建設業や運送業、医師の道に進みたいと思ってくれるのかと考え込んでもしまう▼2024年問題は、各業界の待遇などを見つめ直す機会にもなるものだろう。待遇などの改善に取り組み、快適に働くことのできる職場を形成したことなどについても、しっかりとクローズアップしてほしい。
●つむじ風 3月15日
 国土交通省社会資本整備審議会道路分科会事業評価部会は、国道4号水沢金ケ崎道路について「24年度新規事業化は妥当」と判断した。本県の中心を貫き、県内のみならず国内の産業経済を支える縦の大動脈づくりに向け、早期事業化が期待される▼達増知事は「自動車関連産業や半導体関連産業などの産業集積が進む県南地域において、立地企業の安定的な生産活動や円滑な物流の確保に大きな効果を発揮するものと考えている」と歓迎のコメント。早期に整備着手されるよう、沿線自治体などと連携していく考えも示す▼国道4号の4車線化が着実に進み、東北縦貫自動車道や三陸沿岸道路と合わせて、充実した縦軸が構築されている。横軸も東北横断自動車道釜石秋田線が完成。秋田自動車道の4車線化や国道106号宮古盛岡横断道路の「田鎖蟇目道路」「箱石達曽部道路」の整備も進む▼となれば「その先の国道46号も…」との声が挙がっても不思議でない。お隣の秋田県とも連携し、宮古から秋田までを貫く横の大動脈の実現を、国に対して強く訴えてほしい。
●つむじ風 3月14日
 県建設業協会(向井田岳会長)は、東日本大震災の教訓を踏まえ、3月11日を「防災の日」と設定している。7日には、広域的な災害を想定した「防災の日」災害情報伝達訓練を実施。本部・支部の役職員らは衛星携帯電話などを用い、被災支部への支援を想定した訓練を行った▼訓練は、岩手県沖を震源とするマグニチュード7・6の地震が発生し、沿岸北部などで震度6強を記録したとの想定で行われた。今回は、応援依頼先の支部を事前に非公開とするなど、初めてブラインド方式を導入した▼沿岸地域の支部は「重機や燃料、防塵マスク、破傷風防止のための革手袋が必要」などと本部に要請。本部は内陸地域の支部へ、次々と応援を依頼した。訓練後には、衛星携帯電話の更新の必要性など、さまざまな課題を洗い出した▼参加者からは「ブラインド方式で緊張感があった」との声も。向井田会長は「問題点を修正し、今後に生かしたい」と語り、訓練を進化させていく考えを示した。岩手の震災の教訓を確認する機会として、「防災の日」を大切にしたい。
●つむじ風 3月13日
 社会資本整備審議会道路分科会の第43回東北地方小委員会が開かれ、新規事業採択時評価対象の国道4号水沢金ケ崎道路が事業妥当となった。金ケ崎拡幅と水沢バイパス間に位置する3・5㌔を現道拡幅し、4車線化を図る▼東北の直轄国道は全線で約3200㌔で、1652区間に分割される。そのうち改築事業等の実施中以外の区間は807区間。交通課題と道路構造、防災・災害の観点から課題を抽出すると551区間。交通課題151区間のうち、具体な対策方針が決定している10区間の一つが同路線だ▼小委員会で、現道の状況をドローンからの画像や動画で紹介。冬季の交差点や側道から本線合流時の混雑状況が映し出された。委員は「動画による渋滞状況を見て、資料からは分からないリアルな状況を見ることができた」と評価した▼今後、本省の部会での審議結果などを踏まえ、最終的には24年度予算の国会審議を経て、事業化に向けて手続きが進む。県南部の国道4号は4車線化が進んでおり、水沢金ケ崎道路もスピード感ある事業展開が求められる。
●つむじ風 3月12日
 東日本大震災の発災以降、県事業で進めてきた復興工事は、今年度で大船渡市内の普金地区防潮堤が完工。残すは宮古市内の閉伊川水門のみとなり、現在、26年度の完成を目指し整備の進捗が図られている▼宮古市街地を経て宮古湾に注ぐ閉伊川は、震災発生時、河口部から河川堤防を越流した津波が背後の市街地を襲い、広範囲に甚大な被害をもたらした。市街地の津波対策として整備される同水門は、本体の延長が164・4㍍で、ゲート数は4門。カーテンウォールはTP+10・4㍍の高さで設置される▼水門に並行して、一般車両が通行可能な管理橋も整備される計画で、完成すれば水門両側の藤原地区│光岸地地区間が管理橋で行き来できるようになり、宮古盛岡横断道路の宮古港インターチェンジと、景勝地・浄土ケ浜とのアクセス性も向上することになる▼水門本体は左岸側が完成し現在、右岸側の基礎工を推進中。今夏以降でコンクリート工に取り掛かっていく見通しだ。市中心部を守る津波防護の要となるだけに、一日も早い完成を図ってほしいと思う。
●つむじ風 3月11日
 東日本大震災の発生から13年。きょう11日は当時を思い返す機会にもなるが、元日に能登半島地震が発生し、新年から東日本大震災を思い起こした読者も多かっただろう。11年の震災は未曽有のものだったが、能登半島地震もこれまでに経験したことのないような事象が多く起きているとされる▼能登半島地震では、復旧がいまだ思うように進まず、地震前まで営んでいたなりわいについて、「これを機にやめようかな」といった考えに傾く地元住民らの姿を、映像などを通して多く目にする。元の生活を取り戻すまでの時間を要すれば要するほど、なりわいの再生は厳しいものになる▼急がれはするものの、11年の震災で受けた支援への恩返しや震災の経験を生かした支援などを、どんな形で実行していくのが有効になるのか見えてくるのは、少し先というのが現実なのかもしれない。その際には、業界を挙げて支援に動きたい▼目に付きやすいハード面の復旧・復興が進捗したとはいえ、本県の震災からの復興も決して完遂したわけでない。次への備えも求められている。
●つむじ風 3月8日
 岩手河川国道事務所の1階ロビーに、能登半島地震への対応で石川県に派遣したTEC-FORCEの活動状況を紹介するパネルが展示されている。派遣隊の活動状況を周知することで、被災地に思いを寄せてほしいという願いもあるようだ。ご近所の誼で、近隣の公的施設も展示してくれればよいのに▼小紙読者には釈迦に説法だが、災害時に土砂や災害廃棄物を撤去し、命の道を切り開くのは地域建設業の役割。そしてその事実が正しく伝わっていないことを誰よりも知っているのは、いま当欄をご覧になっている皆さんだろう。だからといって被災地での「活躍」を大々的にアピールすることを是とするかとなれば、それはまた別の問題▼間もなく東日本大震災から13回目の3月11日。この間、建設業に対する社会的な認知度と好感度は本当に向上したのだろうか。ならば被災地で揃いのベストを着用すれば、建設業への好感度が上がるのか。そもそも建設業という産業に対して、社会全体がどの程度関心を持っているのか。少し遡って考えることが必要かもしれない。
●つむじ風 3月7日
 本紙では、県北振興をテーマとした「県北13市町村トップインタビュー」を2月27日付の紙面から順次掲載している。第1回の八幡平市長のインタビューに始まり、きょう7日付の二戸市長インタビューの掲載をもって第7回を迎えた▼市町村長のインタビューを読み進めていくと、歴史や文化、食材、自然、観光スポットの紹介など、それぞれの地域の魅力が感じられる。同時に、人口減少対策や少子高齢化対策の推進、社会資本の着実な整備、にぎわいの創出に向けた拠点づくりなど、さまざまな課題も見えてくる▼ある首長は「産業の振興のためにも、まずは道路が必要だ」と切り出し、国道や県道の整備が力強く進められることへの期待を寄せていた。構想路線の(仮称)久慈内陸道路、(仮称)北岩手・北三陸横断道路の早期実現を切望する声も聞かれる▼暮らしやすい地域づくり、均衡ある県土の発展のためにも、道路に限らず、社会資本整備は重要な視点になる。まずは各地域の魅力を改めて確認することも、県北の将来展望のヒントになるのではないか。
●つむじ風 3月6日
 東北地方整備局は先月、能登半島地震に派遣したTEC―FORCEの活動報告会を開いた。取り組みや活動内容を共有するとともに、今後の災害活動に備えるべく経験と教訓の継承を図った▼報告会では、先遣隊や被災状況調査班、高度技術指導班などとして派遣された延べ約2500人を代表し11人が報告。今回の派遣は、調査班の道路が約5割、砂防が約2割。割合が少ない河川や港湾などの調査のほか、高度技術指導など支援要請の内容が多様化しているのも特徴という▼取材を通して感じたのは、DXが災害の現場に浸透していること。ドローン、TECアプリ、SMART SABO、Teams…。一方で、ネット環境や電源が確保されていることが前提であり、機能しない場合の対応は今後の大きな課題だろう▼過去の災害に学び、以前では考えられないさまざまなニーズに対して柔軟に対応しいると感じた。東日本大震災から得た「備えていたことしか、役には立たなかった。備えていただけでは、十分ではなかった」は、忘れてはならない教訓だ。
●つむじ風 3月5日
 陸前高田市は24年度当初予算案の一般会計に、新たに津波避難シミュレーション分析費として約1390万円を計上。津波避難計画の策定に向け、24年度で車による避難シミュレーションを予定している▼市では県の津波浸水想定を受け避難計画を策定することとし、23年7月に有識者会議を設置。会議では避難の手段として、高齢化の進展から「車での避難は避けては通れない」としつつ、「車避難を手放しで認めてしまえば渋滞が起き、逃げ遅れが発生するのでは」との議論がされてきた▼今回のシミュレーションは、会議の助言を基に実施しようとするもの。市では実施内容について計画段階としつつ、住民のみならず、道の駅や海水浴場などに大勢の人が訪れた時も踏まえ、「どれくらいの車で渋滞が起こるのか、どの場所が渋滞の原因になるのか、まずはコンピューター上でシミュレーションしたい」と話す▼来訪者や高齢者ドライバーへの対応、避難先の駐車スペースなど考えるべき課題は多いと思う。検証によって実効性のある車避難の在り方を検討してほしい。
●つむじ風 3月4日
 県建設業協会盛岡支部(樋下光支部長)が、県立盛岡工業高校(瀬戸和彦校長)の土木科、建築・デザイン科2年生を対象とした合同就職説明会が先日開かれ、70人を超える生徒が参加した。会員企業からは30社が出展し、同校を卒業し会員企業に就職した社員が生徒にメッセージも送った▼各社のブースで生徒は、真剣な表情で説明を聞くとともに、気になる点などを多く質問していた。表情が和らぐ場面も見られるなど、和やかな雰囲気が感じられた▼説明会で生徒は4社を訪れるが、聞けば生徒の希望とともに、教員側が生徒の特性や居住地などを加味して、訪問する企業を促している面もあるという。さまざまな企業との出会いが、生徒にとってプラスになったものと思う▼説明会は、今年度で10回目を迎え、樋下支部長は「地元建設業に就職している生徒も多くなってきているようだ」と手応えを示す。今春から3年生になる生徒の、卒業後の進路に向けた動きは本格化していく。説明会が、地元建設業へ就職する思いを強める機会となったことを期待したい。
●つむじ風 3月1日
 10年ほど前、とある県内行政機関の幹部職員と話していた際のこと。県工事の落札率が前年度から数ポイント下がったことを話題に挙げると「復興係数があるからいいんじゃないですか」と、事もなげに返された。これは当時の行政職員の本音だったのか、あるいはその人が特殊なパーソナリティをお持ちだったのか▼改めて国交省の資料をひっくり返してみる。復興係数とは「大規模な災害の被災地では、機材の調達が難航すること等による間接工事費の増大や、資材やダンプトラック等の不足から作業効率が低下している実態を踏まえ、復興事業の円滑化を目的」に共通仮設費と現場管理費を補正するもの。額面通り受け止めれば、落札率の低下を見越した上で、その分を前もって積み上げておく制度ではないようだ▼国交省では24年度も、直轄土木工事で共通仮設費1・3、現場管理費1・1の復興係数を継続する。岩手・宮城・福島の3県建協の要望が認められての継続は喜ばしい。「復興係数があるから、落札率は下がってよい」とは今どき誰も言わないだろう。
●つむじ風 2月29日
 県土整備部は、「人口減少対策につながる取組事例集(社会減対策編)」の冊子を新たに作成した。同部では、これまでも「5か年加速化対策の実施状況・事例等」「人口減少対策につながる取組事例集(子育て編)」を作成してきた。大きなテーマから同部の取り組みを網羅的に整理した事例集は、今回の社会減対策編が第3弾と言える▼事例集の作成に携わった同部の職員は、「岩手にはポテンシャルがあり、県土整備部の仕事は人の気持ちを動かすことができると思っています。事例集には、いろいろな人の思いが詰まっているんですよ」とほほ笑んだ。県外の多くの人に冊子を読んでもらい、「田舎暮らしへの憧れにもつながれば」との期待感も▼建設行政・業界が携わる公共事業は、地域の安全・安心を守るとともに、地域産業や医療福祉・子育てなどを支えている。建設産業にはポテンシャルがあり、先人の背中を見つめて憧れを抱く人も多いのでは。いわての社会資本整備に携わる誇りを―。事例集のページをめくるたびに、インフラの重要性を実感する。
●つむじ風 2月28日
 県南広域振興局土木部北上土木センター(久保田和憲所長)は、北上地区合同庁舎1階の県民ホール内で「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」実施状況や事例などを紹介するパネル展を開いている▼会場の一角に同センター独自企画として、県と県立黒沢尻工業高校との協働による橋梁点検を紹介するコーナーがある。同センターが管理する広表橋を点検する様子や、実際に提出した点検調書を見ることができる。1ページ目の点検者に「岩手県立黒沢尻工業高等学校」とある▼点検調書を提出する報告会の様子が頭に浮かんだ。生徒の代表は、安全のために日々仕事に務めていることに対する感謝の言葉と、「点検を通して学んだことを将来に生かし、土木業界を担う一員としてがんばりたい」と話したことを思い出した▼同橋の調書は約100ページ。現地状況写真や損傷図、損傷写真などで構成。わずか1行の記名だが、歴代の点検会社と点検者の名前が連なる中、その重みも感じる。開催期間は3月7日まで。一人でも多くの人の目に触れてほしい。
●つむじ風 2月27日
 22日は取材で盛岡から釜石へ向かうため、雪道の釜石自動車道を運転したが、釜石仙人峠インターチェンジ(IC)と遠野住田IC間が事故で通行止めに。代替路として、十数年ぶりに国道283号の旧道を使った▼釜石と遠野を結ぶ「仙人峠道路」が開通する以前は旧道を走っていたが、釜石自動車道に慣れた後で久々に走行すると、道路環境は別次元。急カーブ、急勾配が連続するルートは覚悟していたが、雪道の中、路線の険しさに終始緊張を強いられる運転となった▼特に危険に感じたのは、2市境をまたがる仙人トンネル。釜石自動車道に設置されているトンネルの車道幅、断面積に慣れてしまうと、「こんなに狭かったか」と思うほどで、通行止めにより交通量が増える中、大型トラック同士が坑内の擦れ違いで四苦八苦していた▼今回、改めて釜石自動車道の重要性を痛感した。県内には、地元から広域道路ネットワークの整備や高規格化の実現が求められている路線も多い。安全安心な交通を支えるためにも、着実な取り組みを図ってほしいと思う。
●つむじ風 2月26日
 県盛岡広域振興局土木部は盛岡合庁前の広域情報板に、23年度の振興局建設工事奨励表彰に選ばれた4工事を掲示している。写真付きで工事概要や工事の優れたポイントなどを紹介する掲示物は、なかなかの大きさ。内丸のバス停前という場所の良さもあり、一般の人からの注目を集めることも期待できる▼盛岡広域振興局では16年度から、同局が発注した工事において工事成績が良好で、施工時に他の模範となる優良な取り組みを行った工事を「奨励表彰」として表彰。ほかにも、災害対応や家畜伝染病発生時の被害拡大防止などに顕著な功績があった個人や団体を表彰する「災害対策等功労者表彰」など、地元建設業の活躍や存在意義を幅広くPRしている▼18年度からは、土木部と業界団体が連携しての中学校向け体験学習会も実施。中学生が建設産業の魅力と社会的な意義を知り、建設産業に対する関心を高めるための契機としている。予算とルールで動く行政機関ではあるが、建設産業のプラスになるような面白い取り組みであれば、どんどん実行してほしい。
●つむじ風 2月22日
 さまざまな地域へ出張した際には、県建設業協会の支部会館に立ち寄ることが多い。「例年よりも雪が少ない」といった近況報告のほか、「冬場となると、建設業界では高病原性鳥インフルエンザの発生なども心配」との話題になることも▼県内では、鳥インフルエンザなどの発生に備えて、何度も防疫対応訓練が行われてきた。過去の実地訓練では、初めて参加した作業員から「視界がゴーグルで狭まり、作業の中で足元が危ないと思う瞬間があった」「帽子の装着などで、会話を聞き取りにくい時がある」などの感想が聞かれたことを思い出す。実際の防疫措置や対応訓練の経験などを基に、県と建協役員らによる意見交換が催されたこともある。埋却候補地の選定や指揮系統の明確化など、さまざまな課題を共有してきた▼地元建設業者は、各地域の専門的な見地を有するプロフェッショナル。県と地元企業などで適宜、情報共有を図りながら、残された課題を洗い出したい。地域を見つめる視点を培うためにも、日常的な社会資本整備の整備などが重要になる。
●つむじ風 2月21日
 北上市近未来政策研究所は、第3弾となる政策レポート「財政課契約検査係の挑戦」を作成。3年間という短期間で電子入札や入札参加資格審査、電子契約の電子化・ペーパーレス化を実現したことを紹介している▼原点は、新たなものを積極的に取り入れていく「挑戦の気概」と、相手の立場に立って物事を考える「誠実さ」。新型コロナの流行に係る感染症対策も強い追い風になった。「自分の仕事がラクになる」「とにかく電子化すればいい」という単純な考えで改革に取り組んだわけではない▼入札参加資格審査では、県南地区5市3町6一部事務組合で統一システムを開発。その結果、申請延べ件数が約1・56倍、審査件数は約4分の1に。電子契約は、導入前の契約書類の紙使用量約5200枚が0枚。受発注者とも業務時間が大幅に軽減している▼同係の職員らは、産みの苦しみや大きなうねり・大波を感じながらも、チーム全員で一丸となってDXを進めてきた。県南のみならず県全体の入札・契約事務革新のトップランナーとして走り続けてほしい。
●つむじ風 2月20日
 大船渡市―住田町間で県が改良事業を進めている、国道107号の白石峠地区。トンネルの新設により峠の解消を目指すもので、先週、トンネルの詳細設計が公告された▼区間の全体計画は、総延長が大船渡市日頃市町―住田町世田米間の2・7㌔。区間内には2市町を結ぶトンネル(延長2・3㌔)と、住田町内に橋梁1橋を整備する予定となっている。大規模事業評価での事業期間は31年度までの10カ年を計画。総事業費は約94億円としている▼事業によって、現道の南側をトンネルで直進するルートとすることで、急カーブと現白石トンネル前後の急勾配を解消する方針。今回公告された業務で、区間の主要構造物となる新トンネルの設計に取り掛かることになれば、着工に向け事業が大きく前進することになる▼国道107号は、気仙地域と内陸部を結ぶ横断軸の要。路線のネックとなっている白石峠の改良は、地元にとっても持ち望んでいた整備だけに、地域の発展を支える道路ネットワークの確保に向け、事業の着実な進捗を図っていく必要があるだろう。
●つむじ風 2月19日
 業界団体が公共施設での地域貢献活動を展開している様子を取材し、施設の管理者からは「こうして取材してもらうことは、施設、業界にとっても良いPRになるのでは」と話してもらった。本紙が業界紙であることから「もっと多くの人に周知したい」として、他のマスコミにも取材依頼したようで、その後多くのメディアが集まってきて、にぎやかな取材現場となった▼広く周知されたことで、業界には地域のために勤しむ姿など、施設には地域などからより親しまれるなどの効果を生むきっかけになればと期待する。周知による現状の理解は、現状打破の一歩になり得るものだろう▼直近となっていることもあり、物流や建設業の2024年問題がメディアで盛んに取り上げられているのを見聞きする。一般にも耳なじみになってきているとは思うものの、「2024年問題」というワードだけが独り歩きしている感もある▼現状を正しく理解してもらった上で、次は実際に配慮の段階へ。時間外労働の上限規制への対応には、発注者の理解と配慮が欠かせない。
●つむじ風 2月16日
 岩手町の地域商社「一般社団法人つなぐ・いわてまち」が1月22日に設立した。岩手町における「地産外商」の取り組みを通じて町の収入向上と地域活性化を目指す団体で、主要な事業としては、ふるさと納税の中間業務をメインに、企業・創業スタートアップ創出と育成事業、プロモーション事業、観光事業などの受託事業を軸としながら、自主事業の拡大も図っていく▼ふるさと納税の中間事業者が地域商社に移行することで、町内事業者にとって身近な存在となり、サービスの向上や新商品開発につなげ、生産者の向上や岩手町のブランド化も図っていきたい考えのようだ。ほかにも、起業支援などの取り組みも進めていく▼団体の代表理事を務める府金伸治さんは「交流人口を増やしながら滞在時間の長い交流をつくり、町の魅力を感じ、体験してもらい、ふるさと納税にもつなげる役割を果たしたい」と話し、観光振興にも取り組んでいく意向を示す。交流人口の増加を契機として、宿泊施設の整備など新たな建設投資の呼び込みにつながることも期待したい。
●つむじ風 2月15日
 県北広域振興局土木部が進めている久慈市内の小屋畑川広域河川改修事業。このほど、施工者主催の安全祈願祭が執り行われた。同土木部は今後、河道付替工事を本格化し、26年度の事業完了を目指す。総事業費は約70億円の見込みだ▼久慈川水系長内川および小屋畑川の周辺では、19年台風19号により家屋の浸水被害が発生した。同土木部は、早期に地域の安全を確保するため、小屋畑川では河道付け替えなど、長内川では橋梁の架け替えや河道掘削などを実施する。河道の付け替え延長は約1㌔。新たな河道は幅約14㍍、深さ約2㍍の計画となっている▼同土木部などは、各種治水対策や流域治水プロジェクトを県民に周知するため、県久慈地区合同庁舎と久慈市役所でパネル展を開いている。実施期間は29日まで▼パネル展などの工夫を凝らすことで、安全な県土づくりに向けた取り組みを県民に発信できる。誇りを持ち、地域に必要とされる仕事をする。建設行政や建設業界にとっては、地域の社会資本整備の重要性を再確認することにもつながりそうだ。
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