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2024年
12月11日(水)
08:09

コラム集

●つむじ風 12月11日
 岩手労働局の粟村勝行局長は、いわて年末年始無災害運動の取り組みの一環として、安全パトロールを実施。盛岡市内で進む国道46号西大橋床版工事現場を訪れ、冬季特有災害の防止へ自覚を持って取り組むことを求めた▼パトロール後に粟村局長は、足場に関して「全国的に風による崩落や転落する事例が発生している。気象状況を把握し、作業前に点検するなど対応してほしい」と注意喚起し、現場での作業前点検の重要性を強調。改めて、現場における強風、暴風、突風の影響を確認したい▼粟村局長は、作業計画と作業手順書の作成と、それに基づく手順の順守も呼び掛ける。現場は一人でなくチームで動いているもの。企業ごとに独自のルールがあるかもしれないが、チーム内のルールを守ることが大切だろう▼県内では朝晩の冷え込みが厳しくなり、今後は凍結・積雪が予想される。年末を控え、「ここまでは作業を進めておきたい」との思いが出てくるかもしれない。はやる気持ちを抑え慎重に作業を進め、まずは年末までを無事故・無災害で乗り切りたい。
●つむじ風 12月10日
 釜石市は、三陸沿岸道路の釜石両石インターチェンジ(IC)のフル規格化を求めていくため、フル化必要性検討業務を先月入札。年度内で、交通の現状やニーズなどを調査していく▼同市両石町に位置する同ICは、大槌町側へのハーフICで設置。東日本大震災の6日前に開通した三沿道「釜石両石―釜石北」区間に位置し、震災時は避難経路や支援物資輸送など「命の道」として機能した▼釜石港公共ふ頭や整備が進む同市の新庁舎からは、三沿道にアクセスする最寄りのICだが、ハーフICのため、近辺のフルICとなる釜石中央ICを使う場合、将来的な市街地の交通量の増加や、津波浸水エリアを通らなければならないことなどが課題になっていた▼市では今回の業務で、より具体にフル化に向けた課題などを整理し、国への要望資料とする方針だ。三沿道では、他のICでも地元からフル化を求める声が上がっている。沿岸地域の縦軸幹線として産業振興や災害時の対応を支えるためにも、アクセス向上を図る取り組みを進めていく必要があるだろう。
●つむじ風 12月7日
 山梨県大月市の中央自動車道上り線笹子トンネルで天井板のコンクリート板が落下し、走行中の車3台が下敷きとなって9人が死亡した事故から2日で12年が経過。現地では慰霊式が開かれた。式の様子や遺族らの声などが報じられたが、当時の衝撃は今でも思い出される▼同日は、県県土整備部道路環境課が高校生と協働で行っている橋梁点検が、一関工業高校の土木科3年生を対象に開かれた。橋梁点検の場でも、インフラメンテナンスの重要さが叫ばれるようになったきっかけとして、笹子トンネルの天井板落下事故について説明されていた▼現在の高校生は、当時を覚えてない生徒が大半と思われる。ただ、説明や点検などを通して、その重要さは生徒に十分伝わっていた様子が見受けられた▼5年に一度のサイクルで行われている構造物の定期点検の結果について見ても、修繕などの措置が必要な構造物は多く見られ、安全・安心の確保へ必要な予算を確保し、着実に進むことが願われる。専門知識を学んでいる高校生が、関係する職業に進んでほしいと思う。
●つむじ風 12月6日
 今年も1日から「いわて年末年始無災害運動」がスタートした。この運動は、年末年始における労働災害の防止に向けて、岩手労働局と岩手労働災害防止団体連絡協議会が主唱して06年度から実施しているもの。事業者は「冬季特有災害の防止」「リスクアセスメント・危険の見える化の実施」「安全決意宣言の実施」「労働災害防止団体が実施する年末年始無災害運動への参加」などに取り組む▼2日には矢巾町流通センターでキックオフセレモニーが催され、労働局や労働災害防止団体の役職員が、のぼり旗を運動期間の日数と同じ62本設置した。設置に当たって労働局の粟村勝行局長は「無災害への思いを込めながら、のぼり旗を設置したい」と話した▼運動期間は25年1月31日まで。期間中には安全パトロールなどを通して「積雪・凍結による転倒災害・墜落災害の防止」「車両等のスリップ事故等の労働災害の防止」をはじめとする冬季特有災害の防止が呼び掛けられる。労働災害防止に特効薬はない。基本に従い、日々の無事故無災害を積み重ねていきたい。
●つむじ風 12月5日
 県と県建設業協会(向井田岳会長)が先ごろ開いた「いわて建設業みらいフォーラム2024」。現場で活躍する技術者の発表や、パネルディスカッションなどが行われた。当日の様子は、YouTubeで配信しており、ぜひご覧になっていただきたい▼同フォーラムは、次世代を担う若者をはじめ、県民の建設業への理解や関心を高めることを目的に、13年度から実施しているもの。向井田会長は冒頭のあいさつで、「苦労して手掛けた道路や建築物などが完成した時の感動は、建設業でなければ味わえない」と高校生に語り掛けていた▼フォーラムでは、技術者や発注者の視点から、建設現場をつくり上げる魅力を生徒らと共有した。県建設業協会青年部連絡協議会が製作した除雪動画も映し、社会資本整備だけでなく、昼夜を問わず除雪に貢献していることも伝えた▼建設業界団体からは、建設業の魅力発信に向けて、行政・業界の一層の連携を求める声が上がっている。フォーラムを進化させながら、共に担い手確保への取り組みに工夫を凝らしたい。
●つむじ風 12月4日
 田瀬ダム竣工70周年を記念し11月30日、クレストゲートの点検放流が行われた。午前と午後の点検放流に、県内外から400人を超える来場者が訪れ、70年ぶりという歴史的な瞬間を見守った▼ゲートは1門ずつ計6門開き、2㌢、4㌢、最大6㌢開いた。「サー」という音とともに濁水が流れ落ち、6㌢の開放になると音が力強くなり水流も勢いを増し、雪化粧をまとったような姿に。6㌢開放時は6門で毎秒19㌧なので、10分間で1万1400㌧ほど放流したことになる▼当日、濡れてもよい服装で現地に赴いた。左岸下流広場では、バルブ放流の段階から水煙が飛び散り、点検放流でも降り注いだ。愛好家の中では「ダム汁」というらしい。カメラには注意したが、メガネや髪はダム汁でびしょ濡れに…。ただ、冷たさよりも喜びが上回っていた▼来場者からは「県内のほかのダムも訪れたい」「また放流の様子が見たい」との声が上がっていた。今回の点検放流をきっかけにインフラに対する興味や関心が広がり、インフラツーリズムの拡大にもつながってほしい。
●つむじ風 12月3日
 宮古市は旧商業施設「キャトル宮古」の跡地整備に向け先週、「宮古駅前エリア官民連携検討業務委託」の公募型プロポーザルを公告。計画の具体化に向け準備を進めていく▼業務では、店舗跡地を中心とした駅前の公共用地について、官民連携事業を想定した方針を検討。跡地利用に係る市民ワークショップの意見を反映させた事業内容や、収益性のある事業手法を詰め、25年度末までに基本計画案を策定する予定だ▼市民ワークショップは9、10月に開催。20代から40代の若者・子育て世代が、利用者を▽未就学児▽小学生から高校生まで▽働き盛り世代▽高齢者▽観光客―に分類し、対象ごとにどのような場所が求められるかアイデアを出し合った▼参加者からは、小学生から高校生向けに「学校以外で仲間と楽しくチャレンジできる場所」、観光客向けには「観光を楽しむ準備ができるワクワクを増幅する場所」などの声が寄せられたという。地域に親しまれ、にぎわいを創出する拠点としていくためにも、市民の意見を計画の中にうまく落とし込んでほしいと思う。
●つむじ風 12月2日
 寒さが日に日に厳しくなり、思わず身が縮こまる。身が縮こまることで、動作が鈍くなっているのを感じるが、こうした筋肉の硬直に加え、厚着も動作が鈍くなる要因とされる▼これからは積雪や凍結シーズンも本格化していき、足元の状況は悪くなる。動作が鈍くなることも相まって、現場では労働災害の危険性が高まる▼12月からは、岩手労働局で「いわて年末年始無災害運動」を25年1月31日までの期間で展開するほか、2月までを「冬季転倒災害防止対策強化期間」と定め、連動して転倒災害防止に向けた取り組みを行うこととしている。一関労働基準監督署などが主唱する「冬季死亡災害ゼロ100日運動」といった各地区独自での取り組みも展開されている▼各種運動には、重点とする取り組み項目や注意事項などが掲げられ、それらも参考に冬期間の災害防止に努めていきたい。厳冬期に現場安全パトロールを展開する業界団体も多く見られ、活動の一つひとつが危険の芽を摘み、無災害へつながっていってほしい。発生してしまったなら、労災の影響は大きい。
●つむじ風 11月29日
 県は、災害対応力の強化に向けてデジタル技術活用の方向性を検討するため、23年度に復興防災DX研究会を設置。本県における災害対応の現状と課題の整理、先行事例の調査などを行っている▼「デジタル技術を活用した災害対応業務の効率化・省力化・標準化」や「現状の技術にとらわれない将来的な災害対応業務の検討」など4点を重点課題として研究を進め、「被災者データベースの構築」と「災害時のドローン活用」の実証実験を行っている▼被災者データベースの構築では24年度、避難者把握システムの「岩手モデル」について、久慈市と遠野市で実証実験を行った。県では早ければ、26年度以降の社会実装を目指す考え▼ドローンの活用については、災害時における導入マニュアルの作成を進めるほか、防災分野以外での有事に活用可能なドローンの把握、災害時の応援協定の締結など民間と連携したドローン活用の取組検討などを進める予定。建設業との連携も視野に入っている様子であり、どのような協力が可能か、動向を注視していく必要がある。
●つむじ風 11月28日
 今日付の本紙4~5面では、建設DX推進事業特集を掲載している。23年度に続き2回目の特集となる。23年度は東北地方整備局による建設DXの取り組みなどを中心に掲載。24年度は、県内の取り組みなどにスポットを当てている▼県土整備部建設技術振興課の久保田和憲総括課長はインタビューの中で、ICTなどが少しずつ県内に浸透していることに触れ、今後の広がりに期待を寄せていた▼建設業の魅力や現場で働く職人らの姿も話題に。久保田総括課長は「若い人に建設業の格好良さ、目に見えないものを感じ取ってほしい」「表面的な体裁を繕うのではなく、工事の本質を分かっていることが大事」と話していた▼県建設業協会の向井田岳会長が以前、「技術者・技能者は現場を熟知している。ICTやDXなどの施策があるが、地元でしっかりと働けるような仕組みであってほしい。ふるいにかけるような道具としてはならない」と語っていたことも思い出す。熟練の技術者・技能者と若手、ICT・DX。一体となった現場づくりが大切になるのだろう。
●つむじ風 11月27日
 県建設業協会花巻支部(菅原陽一支部長)は先日、建設業労働災害防止安全衛生研修会を開催。研修会では、花巻労働基準監督署の武藤慶蔵安全衛生課長を講師に災害事例とリスクアセスメントの二つをテーマに7班に分かれ、グループワークを実施した▼リスクアセスメントでは、木造建築工事と排水路改修工事を例に、施工前の施工計画段階でリスクを把握。建築工事では墜落・転落災害を、土木工事では重機関連災害を、いかにして軽減するか各班で意見を出し合った▼同署管内では建設業で3件の死亡労働災害が発生している。武藤課長は「残された私達にできることは、同じことを絶対に繰り返さないこと」と話し、事前に危険要因を浮き彫りにし、より安全な施工計画で作業を進めることの重要性を強調する▼本格的な冬を迎え、現場での作業条件は一段と厳しくなる。冬季特有の危険要因もあるため、本格的な施工時期を前に、リスクアセスメントを実施することで安全性を高め、「現場のゼロ災害」を強い意志を持って進めていかなければならない。
●つむじ風 11月26日
 東北地方整備局三陸国道事務所が事業を進めている宮古盛岡横断道路の「田鎖蟇目道路」。終点部に新設される橋梁では、このほどA2橋台下部工の施工業者が決まり、工事の進捗が図られていく▼田鎖蟇目道路は、宮古市田鎖から同市蟇目を結ぶ延長7・2㌔の自動車専用道路。事業区間の国道106号は、急峻な地形を通り閉伊川も並行。16年台風10号の際には、道路決壊に伴う全面通行止めが発生した。このため田鎖蟇目道路の整備により、災害時の交通障害や孤立集落の解消が期待されている▼A2橋台が整備される同橋の規模は、橋長が228㍍、有効幅員は12―30・632㍍。上部形式は鋼3径間連続細幅箱桁橋で設置される。対岸のA1橋台は発注済みで現在、工事が推進中。P1橋脚下部工も入札が公告されており、橋梁工事が本格化していく見通しだ▼同橋の下流でも災害に強いインフラ整備として、宮古市による道路改良や、県による花輪橋の架け替え事業が進められている。着実に事業の進展を図り、地域の安全・安心な暮らしを守ってほしい。
●つむじ風 11月25日
 県内に立地する北上川五大ダムのうち、竣工から奥州市胆沢の胆沢ダムは10周年、西和賀町の湯田ダムは60周年、花巻市の田瀬ダムは70周年の節目を迎えた。さまざまなイベントが展開されている▼胆沢ダムに関しては、みちのくダム湖サミットin胆沢や記念式典でパネルディスカッションが催され、ダムへの期待などを探った。地域振興などの観点で、これまでもさまざまな活動が実践され、今後も多くの期待を寄せる発言が相次ぎ、ダムに秘められた可能性の大きさが伺えた▼近年の豪雨、猛暑などに伴う水不足といった気候変動にも、ダムは大きな役割を果たす。事前にダム湖の水位を下げての運用により、豪雨時により多くの雨水を貯水でき、下流河川の治水安全度向上が図られる。胆沢ダムでは、今シーズンの少雪・少雨でも胆沢平野に農業用水などを補給し続け、農業被害の回避に貢献した▼カーボンニュートラルの観点では、春の雪融け水を活用して水力発電量を増やす、ハイブリッドダムの取り組みが進む。ダムの担う役割は、大きくなり続けている。
●つむじ風 11月22日
 岩手労働局は先ごろ、23年度に実施した長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導の結果を公表した。監督指導を実施した240事業場のうち47・5%に当たる114事業場で、違法な時間外労働が確認された。うち1カ月当たり80時間を超える時間外・休日労働が確認された事業場は47・4%で、13・4ポイント上昇した▼建設業では、監督指導を行った28事業場のうち、85・7%に当たる24事業場で法令違反が認められており、違反率は22年度の81・4%から4・3ポイント上昇。このうち違法な時間外労働は64・3%で、22年度からは23・6ポイントも上昇した▼24年4月からは、建設業にも時間外労働の罰則付き上限規制が適用となっており、これが来年の調査結果にどのように影響するか。上限規制に対応したことで改善につながればよいが、結果的に違反率が上昇するようでは本末転倒▼今回の調査結果からは違法な時間外労働が発生する背景は読み取れないが、受注産業という特性を踏まえて問題点を検証し、発注者とともに対策を講じていかなければ、「違反」が増えるだけだ。
●つむじ風 11月21日
 国土交通省と北海道・東北6県などが、入札契約制度や建設産業の課題に対する取り組みについて意見を交わした「24年度下期北海道・東北ブロック監理課長等会議」。同会議では、全ての市区町村で25年度中に週休2日工事が実施されるよう、働き掛け・助言に取り組むことなどを申し合わせた。公共発注体制の強化のテーマでは、全国の取り組みのうち、本県の事例を取り上げて情報共有した▼県では東北地方整備局と連携し、時間外労働の上限規制の周知をはじめ、週休2日工事の発注者指定型の導入や拡大、施工時期の平準化、書類の標準化―などを市町村側に説明。副首長を中心とする自治体トップに、対話による働き掛けを行った▼国交省の担当者は「他のブロックでは、あまり例のない取り組み。数字としても確実に効果が現れている旨、岩手県から報告を受けている」と評価していた▼毎年開かれている建設業地域懇談会などの場では、業界側からさまざまな声が上がる。引き続き業界の声を丁寧に整理し、発注者と受注者で共に課題を乗り越えたい。
●つむじ風 11月20日
 米大リーグのアストロズからフリーエージェントとなった菊池雄星選手が手掛ける全天候型複合野球施設「King of the Hill(キング・オブ・ザ・ヒル)」が完成。17日に花巻市南新田の現地でオープニングセレモニーが行われた▼菊池選手は「この場所からプロ野球やメジャーリーガー、野球以外でも社会を支えるリーダーを育てたい」と期待を込めた。会見では、「自分の能力に制限をかけるのは自分。夢を更新しながら、自分で問題解決できるかが重要」とも▼施設の説明を受けながら、「ボールを切って投げる」「打つ時はボールに右腰をぶつけるように」「腰を落として捕球するように」…感覚的な助言。雑誌に掲載された連続写真と解説を参考に、見よう見まねで取り組んでいた過去を思い出していた▼施設は野球に特化し、投球や打撃に関する最先端の測定機器を備えた施設。解析結果は体の仕組みを理解する上でも貴重なデータだろう。解析結果をほかのスポーツにも活用することで、岩手のスポーツ全体の底上げにもつながってほしい。
●つむじ風 11月19日
 盛岡市の水道事業が90周年を迎えることを記念し、17日に開かれた同市の水道フォーラム。当日はパネルディスカッションが企画され、水道事業の在り方について意見を交わした▼パネリストとして戦場カメラマンの渡部陽一氏は、「日本は水が豊富で、生活の中で安心して水に向き合うことができる」とし、「風呂や洗濯など、水を選択して使える生活というのは、諸外国からみるとまさに奇跡」と自身の経験から語っていた▼自社のビール製造で盛岡市の水道水を使う、㈱ベアレン醸造所の嶌田洋一社長もパネリストとして、「清潔な水が毎日、ふんだんに飲める大切さを実感する。水道水をビールを通して世界中に広めたい」と、改めて水道のありがたみについて話した▼長澤秀則同市上下水道事業管理者は、「施設の耐震化は最重点課題」とし、自然災害に備えていく考えを強調していた。豊かな水環境を次世代に伝えていくためには、市民の事業に対する理解が不可欠。水道の重要性を発信し続け、次の100周年に向け安全でおいしい水を守ってほしいと思う。
●つむじ風 11月18日
 初霜や初氷、初雪の便りが届き、冬期閉鎖する区間を有する路線で冬期通行止めの措置が講じられるなど、県内も着実に冬への歩みが進む。県内各地では、除雪機械の出動式が催され、作業を担当するオペレーターも気を引き締めていることだろう▼近年の出動式などでは、長年除雪作業に従事してきたオペレーターを除雪功労者として表彰することが多くなってきている。長年の従事に対する表彰に加え、作業に従事し始めた若手のオペレーターらを応援する思いで、若手技術者を表彰している地域も出てきている▼表彰は、除雪業務を周知する目的も含まれている。除雪は住民の足確保へ重要な仕事で、厳しい環境下での作業の一方、作業が未明の時間帯とあって、あまり知られてない状況から、除雪を広報する活動は近年、盛んになってきている▼県建設業協会青年部連絡協議会でも除雪に関して、マンガ冊子や「You Tube」での公開に加えて、今年度はポスターを製作。ポスターは、各地の部会員が知恵を絞り、広く県民の集まる場所に掲示されている。
●つむじ風 11月15日
 10月下旬に「米代川圏域流域治水プロジェクト」が策定されたことで、県内48全ての水系で流域治水プロジェクトの策定に至った。本県では21年度までに1級水系2水系と2級水系5水系で流域治水協議会を設置し、流域治水プロジェクトを策定。流域全体のあらゆる関係者が協働で、事前防災対策の取り組みを進めてきた▼近年の気候変動によって豪雨の発生場所や時間などの予測が困難になっており、既存のモデル水系以外にも豪雨の発生が懸念されていることを受けて、県は23年度から流域治水プロジェクトの対象を、「水系」から「圏域」に拡大した。県内全水系で流域治水プロジェクトが策定されたことを受けて、県では流域治水とその事業効果の普及啓発などに努めていく考え▼流域治水における「あらゆる関係者」の中には、国や県、流域自治体だけではなく民間も含まれる。主に自主防災組織などが対象となっているようだが、日頃から地域に根差して社会資本の整備と維持管理に当たり、事前防災と応急対応の両面で最も活躍できる存在を忘れていないだろうか。
●つむじ風 11月14日
 県と県建設業協会(向井田岳会長)が主催する「いわて建設業みらいフォーラム2024」は、25日午後1時から、盛岡市のトーサイクラシックホール岩手(県民会館)で開かれる。現場で働く技術者の事例発表やパネルディスカッションを通じて、建設業の魅力を高校生らに発信する▼パネルディスカッションでは、県建設業協会青年部連絡協議会会長の木下伸一氏がコーディネーターを務め、4人のパネリストとともに、建設業の面白さなどを高校生にPRする▼コーディネーターの木下氏は、7月に東北建設業青年会の会長に就任した。木下氏は建設専門紙による共同記者会見の際、「公共事業への理解を促進し、建設業の応援団を増やすことが必要」と語った。中高生らを対象とした体験型現場見学や意見交換を通じて、地域建設業の魅力を伝えたいとの思いも強調していた▼今回のみらいフォーラムにおいては、高校生からの質問コーナーも企画されている。「高校生から見た建設業の姿」を知ることで、これからの業界発展のヒントも探れるのではないだろうか。
●つむじ風 11月13日
 東北地方整備局岩手河川国道事務所は、県内2カ所の道の駅で、今年1回目の冬タイヤ装着率調査を6日に実施し、結果を公表した。石神の丘(岩手町)で27・7%、雫石あねっこ(雫石町)で27・1%、全体で27・3%だった▼調査台数は249台で、両道の駅駐車場の駐車車両を対象に、県内・県外ナンバーに分け目視で調査。県内ナンバーの装着率は24・7%に対し、県外は34・3%。過去5年で最も早く観測された主な峠の初雪日も紹介しており、国道106号の区界峠や釜石道の花巻付近は11月19日という▼国土交通省は、大型車の冬用タイヤへの交換時期に車輪の脱落事故が増加する傾向を踏まえ、「大型車の車輪脱落事故防止キャンペーン」を実施している。点検整備や増し締めの実施、さびたナットの清掃・交換、ナット・ワッシャーの隙間への給脂などを呼び掛けている▼車輪の脱落事故は、大型車に限らず普通車でも発生している。交換後50~100㌔をめどにタイヤの締め付け状態を確認するとともに、増し締め作業を実施し、脱輪を未然に防ぎたい。
●つむじ風 11月12日
 朝夕の気温が一段と冷え込み、山沿いでは雪の便りも聞こえるようになってきた。路面凍結の可能性も懸念されるところ。今週くらいから、雪道への備えが本格化していきそうだ▼東北地方整備局三陸国道事務所は5日、「早めの冬タイヤ装着運動」の一環として、管内2カ所の道の駅でシーズン1回目の冬タイヤ装着率調査を実施した。うち、道の駅「いわて北三陸」(久慈市)では、調査台数106台中、装着台数27台で装着率は26%。道の駅「みやこ シートピアなあど」(宮古市)では調査台数107台中、装着台数16台で、装着率は15%にとどまった▼2カ所合計では、調査台数213台に対し、装着台数は43台で、2割の装着率となった。特に県外ナンバーの装着率は、「いわて北三陸」で43%と高く、広域移動に伴う備えが進められているようだ▼雪が無くても凍結の恐れがあるため、同事務所からは早めのタイヤ交換が呼び掛けられている。峠部や川沿いなどは気象によって路面が変化しやすいだけに、万全な対策を講じ安全走行を心掛けていきたい。
●つむじ風 11月9日
 工業系学科に所属する高校生が在学中に目標とするものの一つに高校生ものづくりコンテストが挙げられる。技術・技能の向上、ものづくりへの意欲・関心を高め、技能労働者育成と工業教育発展に向けて開催されている。その存在は知っていたものの、今年初めて、実際に取材する機会を得た▼今年は7部門催され、取材した部門では、生徒おのおのが課題の作品を製作。どの生徒も大会での好成績を目指し練習を重ねてきたようで、優勝した生徒は、来年の東北大会での好成績に向けて、さらに練習を積んでいく強い意志を示していた▼審査員からは、「どの選手も良い作品で、甲乙つけがたく、時間内で製作できたかなどの違い程度」などと評価。「毎年、出来栄えが良くなっている」とも話していた。生徒数は年々減っているものの、一人ひとりのレベルは上がっているようだ▼資格取得の分野でも、県内には全国でも屈指の合格率の高さを誇る工業高校が多くある。こうした優れた工業高校生が地元業界へ進み、定着してもらえるよう受け入れる態勢を整えたい。
●つむじ風 11月8日
 ここ数日、世間の関心事はアメリカ大統領選挙一色。はて、前回のトランプ大統領が誕生した17年1月の本県は、と思い出してみると、東日本大震災からの復旧・復興工事がピークにあり、16年台風10号の本格復旧が視野に入り始めたころ。「国土強靱化」が重点ワードになるのはもう少し先▼ここで一度話題をチェンジ。大統領選挙に関する報道の中で出てくる「二極化」「分断」という言葉に、コルソン・ホワイトヘッド『地下鉄道』(早川書房)序盤の一文を思い出した人もいるのでは▼「惨めさには順番がある。惨めさのうちに仕舞い込まれた惨めさ。順に辿るようにできている」。とてつもなく不愉快だが、核心を突いた一文。惨めさの中に惨めさ、分断の中にも分断の入れ籠構造。そうそう単純ではない▼もう一度話題をチェンジ。建設業界でも「二極化」という言葉がよく出るが、こっちもシンプルな二極構造ではない。二極の中にも二極あり、その中にまた二極の入れ子構造。なかなか簡単にはいきませんな。と、せめて最初と最後だけは業界紙らしく。
●つむじ風 11月7日
 県内では、家畜伝染病の発生に備え、関係行政機関や建設業界による防疫対応の訓練などが行われている。先ごろは八幡平市内で、高病原性鳥インフルエンザの防疫措置の訓練が行われた。県建設業協会盛岡支部(樋下光支部長)の会員や県の職員らが参加し、危機対応能力を高めた。この他の地域においても、防疫措置の訓練や研修が企画されているところもあるようだ▼今年の5月に、洋野町内の養豚場で豚熱が確認されたことは記憶に新しい。県建設業協会久慈支部(岩瀬張敏行支部長)の会員らが総力を結集し、埋却溝の掘削など、夜通しで迅速な対応に当たった。防疫対応の後、岩瀬張支部長が今後の課題として「電柱や支障木の有無、実際に埋める場所の整理や試掘調査など、事前の備えが重要になる」と話していたことを思い出す▼今後の訓練でも、さまざまな課題を一つ一つ確認したい。従事者の視点に立てば、防護服を着用した状態での作業の実施など、実務レベルの課題もあるだろう。建設業が地場産業を支える存在であることも、改めて共有したい。
●つむじ風 11月6日
 国民の生命や暮らしを支える上下水道。国土交通省は、能登半島地震の教訓を踏まえ、上下水道システムの急所施設や避難所などの重要施設に接続する水道・下水道の管路等の耐震化状況の緊急点検を実施した▼その中で、給水区域内かつ下水道処理区域内における重要施設のうち、接続する水道・下水道の管路等の両方が耐震化されている重要施設の割合は約15%。本県は466カ所のうち39カ所で8%。一方、遠野市と二戸市、雫石町、岩手町、野田村では100%に達している▼緊急点検の結果を見ると、点検対象の上下水道施設の耐震化が十分でないことを示している。国交省は、全ての水道事業者や下水道管理者等に対して、今回の結果を踏まえた「上下水道耐震化計画」の策定を要請。上下水道施設の耐震化を計画的・集中的に推進していく考えだ▼いつ発生するか分からない自然災害。上下水道施設の耐震化と合わせて、代替水源の確保浄水場間・下水処理場間の連絡管整備など、災害時の代替性・多重性の確保についても進めていかなければならない。
●つむじ風 11月5日
 先日、数年前に取材した高校生に、施工現場で再開する機会に恵まれた。卒業後は地元建設企業に就職し、施工監理の仕事に携わっているようで、順調な成長はもちろん、建設業に従事し続けて頑張っている姿には、当時取材した立場としてもうれしい気持ちになった▼一方で、高校生当時に取材し、その生徒が就職した企業に、どうしているかを尋ねたなら、「離職して別の道を歩んでいる」と聞くこともたびたびある。新たな道で活躍していることが願われるが、やはり寂しい気持ちにもなる▼近年、若手労働者の離職率の高さが、さまざまな場面で指摘される。県建設業協会が調査したデータでも、34歳以下の離職率は増加傾向にあるのが見て取れる。35歳以上は、現段階で34歳以下ほどの傾向は見られないようだが、今後、高齢などを理由に離職者が多くなっていくことが懸念される▼担い手確保に向けて、さまざまな取り組みが進む。併せて、確保した労働者に従事し続けてもらう取り組みも急がれる。成長過程での離職は、さまざまな面でダメージが大きい。
●つむじ風 11月1日
 寒暖差の大きさに参っている。少し前までは上着がいらない日もあったはずだが、ここ何日かは朝のストーブが必須。日中でも日陰に入ると途端に寒くなる。暦の上では晩秋だから当たり前か▼昨冬は雪が比較的少なく、出勤前の雪かきで一日分のエネルギーを使い切るような日はほとんどなかったが、今冬はどうだろう。8月頃から「今年は雪が多そうだよ」という話が各所から聞こえていたけれども…▼9月末現在、県内建設業における労働災害による死傷者数は135人。前年同月から17人、増減率では11・2%の減。事故の型別で「転倒」が10人減少していることが、全体の減少に大きく寄与している。暖冬少雪の影響が大きかったようだ▼きょうから11月。12月1日からスタートする「いわて年末年始無災害運動」の準備期間でもある。県内における転倒災害の約6割が、12~1月に発生している。転倒災害をはじめとする冬季特有災害の防止は、年間の労働災害を減らす上での重要なポイント。気象条件を頼みとしない、納得のいく労働災害防止に努めたい。
●つむじ風 10月31日
 海沿いのインフラ施設と「ふれあい!・学ぶ!」ウオーキングin洋野が27日、洋野町種市で開かれた。県北広域振興局土木部(乙部智明部長)などが主催したイベントで、初めての企画。親子連れや地域住民ら、多くの人が参加した▼日曜日の開催ということもあってか、さまざまな年代の方々がウオーキングイベントに参加していた。参加者は午前10時に、同町の種市海浜公園シーサイドハウス前に集合。取材のため集合場所を訪れた際には、少し肌寒さを感じたものの、天候にも恵まれていたことから、歩き始めると体が温まった▼同土木部職員らは、水門などのインフラ施設が果たす役割を説明。地域住民らの安全・安心を確保するため、県内の社会資本の整備・維持管理が重要になることを訴えていた▼参加者はスマートフォンで写真を撮ったりして、楽しみながら施設を見ていた。久慈市内の小学校に通う児童と、ウオーキングを一緒に楽しむ保護者の姿も。幅広い世代にインフラの重要性を伝える―。社会資本整備を進める上で、地道な取り組みが大切だ。
●つむじ風 10月30日
 韓国発祥のeスポーツ「ドローンサッカー」。先日開かれた遠野市産業まつりで、NPO法人オヴェンセが主催し、体験会が行われた。会場を取材すると年齢や性別を問わず、同じ空間で楽しみを共有していた▼球状のプラスチックフレームに覆われた専用ドローンボールを使用。5対5で戦う最新戦略型チームスポーツ。ドローンボールを専用ケージ内のフィールド両サイドの空中に設置したリング状のゴールにいれることで、その得点を競う競技だ▼同じ向きに並び1対1で、3分間の試合をすることに。地上に置いた状態から試合が始まり、操作できると思っていると、動いていない機体が地上に。相手が操作している機体を自分が操作していると思い込んでいた。機体は浮いたものの、得点できなかった▼昨今では、コスト面や飛行制限など普及へのハードルが高くなっているのも事実。測量や点検、災害時の現場把握など、建設産業界でも普及が進んでいる。ドローンサッカーをきっかけに操作技術の向上ばかりでなく、建設分野への応用にもつなげたい。
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