9月のコラム集
つむじ風9月19日

 7、8、そして今月と、毎月のように県内は大雨に見舞われ、大雨や洪水警報が発令、法面の崩落や冠水などによる路線の通行止めや住家での浸水被害も発生している。避難指示などが出されるような状況になった大雨もあった。秋雨前線や台風による大雨の季節は、これからが本番で注意が必要だ▼今年は、カスリン・アイオン台風から70年で、さまざまな催しなどが展開されている。地域の水害リスクを知って防災意識を高めることなどを目的としたもので、台風で被災した際の写真を見たり、体験談を聞く機会を持つこともあるが、涙なしには聞いていられなくなる▼こうした体験談などを教訓にして、備えることが大事になる。ダムや堤防といった施設の能力には限界があり、防災意識をいかに浸透させるかなどのソフト面の強化が課題の一つとされている▼ソフト面の強化は確かに必要なものだが、ハード面の整備推進も同様に重要なもの。県内を流れる大河・北上川にもまだ無堤区間が多くあり、70年が整備推進の契機にもなっていくことが望まれる。

つむじ風9月15日

 19・20年度の県営建設工事競争入札参加資格審査基準では、土木CPDS・建築CPDの履修要件の引き上げや、女性活躍への取り組みに対する評価が盛り込まれる見通し。県では今後、業界団体からの意見も聞き、具体的な内容を詰めていく考え▼17・18年度の審査基準では、地域貢献活動に対する評価の大幅な見直しが議論された。「評価のためのボランティアになっている」などが主な理由で、清掃や環境美化などへの加点を廃止する内容だった▼地域貢献への加点は業界内でも早くから賛否が分かれていた。「活動のインセンティブになる」と歓迎する人がいる一方、「これ見よがしのボランティアを誘発するだけ」との声もあった。尊敬する業界の先輩が、「地元企業にとって当たり前の活動だったものが、いつの間にか『地域貢献』と名付けられていた」とあきれていたことも覚えている▼加点廃止の是非はともかく、建設業の地域貢献を考え直す機会ぐらいにはなっただろう。ボランティアに取り組む企業が激減し、足元を見られる結果を招いたかもしれないが。

つむじ風9月14日

 今年は、北上川の濁った姿を何度見たことか。雨音で目が覚めてしまうほども度々。翌朝、堤防の上部まで水位が上昇している北上川を見て、何とも言えない恐ろしさを感じた▼8月24−25日の大雨では、北上川も一部で氾濫危険水位を超過。北上川ダム統合管理事務所によると、5大ダムで東京ドーム約41個分の水を貯め込んだ。四十四田、御所の両ダムがなければ、盛岡市街地で堤防が決壊した可能性もあったという。その場合は約4600戸の浸水被害が発生したと想定される▼先月の大雨では深夜、避難勧告などのエリアメールが入る度に驚いて飛び起きた。洪水はいつ襲ってくるか分からない。携帯電話は、人的被害を防ぐための重要なツールだと改めて感じた▼と同時に、社会福祉施設や高齢者・障がい者のいる家庭では、メールが入ってから迅速に行動できるか疑問に思った。多分、夜間の場合は避難基準を下げたり、早めに情報を流したりしているのだと思うが…。カスリン・アイオン台風により甚大な被害を受けてから、間もなく70年の節目を迎える。

つむじ風9月13日

 総務省が公表する通信利用動向調査。2016年9月末の結果を見ると、過去1年間のインターネット利用者数(個人)は推計1億84万人。インターネット利用者の割合は83・5%で、1998年のインターネット世帯普及率6・4%に比べ、飛躍的に向上している▼1988年のきょう、コンピュータ・ウィルスが日本上陸。電子掲示板に意味不明の文字列が書き込まれていたことから、ウィルスによる仕業と発覚。本人のIDやパスワードが電子掲示板に暗号化して書き込まれていたという▼30年後の現在、休み明けに会社のパソコンでメールソフトを立ち上げると、多いときで50件ほどのメールが届くことがある。必要なメールは数件で、残りはウィルスが添付されているであろうメールということも▼実際、資料や画像などをメールでやり取りする機会が増えている。「添付写真の件」「請求書について」「お知らせ」など、悪意ある第三者は、あの手この手で添付ファイルを開かせようしている。まずは相手の名前やメールアドレスを確認することを習慣付けたい。

つむじ風9月12日

 先月末に、学校施設環境の復興を宣言した大船渡市。震災以降進めてきた、被災校舎の高台移転や、校庭からの応急仮設住宅の撤去などが完了したもので、市内の復旧・復興事業は一つの節目を迎えた▼同市では震災の津波により、越喜来小、赤崎小、赤崎中の校舎が全壊。発災した3月から5月にかけ、小学校5校・中学校4校の校庭では応急仮設住宅の設置工事が開始され、運動の場が長期間にわたり制限されてきた。被災3学校については、16年度で高台移転の整備が完了。学校施設の耐震化や、校庭の使用再開に向けた取り組みも図られた▼大船渡の隣、釜石市では鵜住居や唐丹地区で新校舎が供用を開始。陸前高田市では、16年に高田東中が完成したほか、今後も、今泉地区の高台で気仙小の新築工事、高田地区の高台でも、高田小の移転整備が予定されている▼学校施設の復旧・復興事業が、終わりに近づく沿岸被災地。生徒や、地元住民の期待も大きい施設だけに、被災前以上の機能の充実を図り、新たなコミュニティを育む基盤になってほしいと思う。

つむじ風9月11日

 ここ数週、県内に新規に進出してきた企業の工場新築、すでに立地する企業の工場増設工事に関する取材の機会に多く恵まれている。いずれの企業も、地元から多くの雇用を計画し、働く場が増えることでさまざまな効果が期待される▼地元雇用に関して、企業の代表者が口をそろえるように話しているのが、「良い人材が集まった」というもの。岩手には優秀な人材がそろっているとの感触を持っているようで、当初は他工場からの異動も含めての操業を計画していたものの優秀な人材が集まったことで、ほぼ地元雇用だけで操業し、実質的な経営も地元で雇った人材に担わせるビジョンを描く企業もあるようだ▼県内の実業系の高校は、少子化の影響なども重なって定員割れしている学科も多い。学科の統廃合なども余儀なくされている▼専門的知識やスキルも要される製造業の働き場が創出されることで、実業系高校へ進む学生の増加を期待したい。優秀な人材が着実に成長し、養った能力が発揮される進路へ進むとともに、地元への就職を促す環境整備も求められる。

つむじ風9月8日

 毎年10月1日からの1週間、「全国労働衛生週間」が実施される。今年は「働き方改革で見直そう、みんなが輝く、健康職場」をスローガンに、労働衛生に関する国民の意識高揚を図るとともに、労働者の健康確保を目指す▼9月は準備期間に当たり、メンタルヘルス対策や過重労働による健康障害防止など、重点項目4点への対策が呼び掛けられている。具体的な取り組みとしては、各種研修や情報提供、ストレスチェック制度の適切な実施、時間外・休日労働の削減などが上げられる▼16年の定期健康診断の有所見率を見ると、建設業が74・4%と不名誉なトップ。運輸交通業と比較しても10ポイント近く上回っている。項目別では、血中脂質、肝機能検査、血圧など生活習慣病に関連する項目や、聴力での有所見率が高い傾向にある▼復興事業がピークを過ぎたとはいえ、いまだに工事量は高水準。台風10号の復旧工事も本格化する。労働災害防止に目が向きがちであるが、社員や現場で働く人たちの体調管理や暮らしへの気配りも、建設企業における重要なテーマに違いない。

つむじ風9月7日

 東北地方整備局三陸国道事務所が急ピッチで整備を進める三陸沿岸道路。17年度開通予定の山田宮古道路などで工事が最終段階に入る中、工事状況のかわら版やパネル展示による進捗状況の見える化にも力を注ぐ▼山田宮古道路の施工状況(8月28日現在)を見ると、多くの個所で舗装工事を展開中。山田第2トンネル(延長1985b)の内装板の設置や、津軽石パーキングエリア(仮)の盛土工事・舗装工事などを実施している▼16年台風10号災害の被災地のうち岩泉町内においては、田老岩泉道路が17年度に開通する予定だ。同町役場の地域整備課・復興課長が先ごろのインタビュー時、震災・台風災害からの産業再生に向けて「復興道路を活用し、知恵を出すことがわれわれの責任」と話していたことが印象深い▼震災復興だけでなく、観光や産業の振興、台風からの復旧なども支える道路。自治体側としても復興の先を見据え、復興道路の活用策や利便性などを県内外に積極的に見える化し、三陸地域に人を呼び込んでいくことが大切になるだろう。

つむじ風9月6日

 国土交通省と厚生労働省は1日、18年度予算の概算要求を公表した。その中で、人材確保と人材育成、魅力ある職場づくり│の3点を重点事項に挙げており、建設業の人材確保・育成に取り組む▼人材育成の観点から、新規で地域建設産業における多能工化・協業化を推進する。9800万円を要求し、技能者間・企業間で連携し、技能者の技能・ノウハウや個社の建機・労働力などの地域における限られた経営資源を有効活用する仕組みを形成。地域における中小・中堅建設企業の生産性向上を推し進めるという▼多能工化・協業化とも、モデル事業の実施を計画している。多能工育成・活用や協業化に向け計画を策定し、実施を支援する方向。例として、土木では鉄筋、型枠、コンクリートなど。建築では塗装、防水、内装などの職種や企業間で多能工化や協業化を目指す▼いずれも、腰を据えて取り組まなければならないことだが、建設業の技能労働者の約3分の1は55歳以上。他産業と比べ高齢化が進行していることを考えれば、待ったなしの対応が求められている。

つむじ風9月5日

 沿岸被災地の自治体で公共下水道事業の取材をしていると、新たに設定した事業認可分の計画汚水量の数値が、前回を下回っている。人口減少が影響したそうで、全体計画についても復興事業の終了後、精査していくとのこと▼汚水処理場の整備なども進められているが、下水道事業の自治体担当者によれば、「造ることは、施設について短期間勉強すれば出来てしまうが、大変なのは造った後。状況に合わせうまく管理・運営していくためには、10年程度の経験がいるのでは」と語っていた▼公共下水道事業では、今後の人口減少などを見越した取り組みも図られている。大船渡市では、浄化センターの運営手法に、設備の改良や維持管理などを、包括的に複数年にわたって民間事業者へ委託する、新たな方式を導入。事業者選定に向け準備を進めている▼下水道事業のコスト縮減や効率的な運営への取り組みは、今後一層、重要度を増していくはず。被災地では事業の担当者を派遣職員で賄っている自治体もあり、人材の育成も含め、将来を見据えた対応が必要だろう。

つむじ風9月4日

 9月に入り、各発注機関の発注件数が年度のピークを迎える時期となっている。これから仕事が忙しくなってくる業者もあることだろう。忙しい中でも、作業員らの心身の健康には気を配っていきたい▼今夏は、ぐずついた天気の日が多かったが、今月以降はどうなっていくか。雨天が続けば当然、現場での作業は遅れがちとなり、残業して仕事をしていく機会が多くなることも懸念される。残業時間が増えていけば、心身の不調につながりやすくなる▼労働者50人以上の企業でメンタルヘルスチェックの実施が義務化され、従業員数に関わらずチェックに取り組んでいる企業も多いと思われるが、実際にどのような活用のされ方がなされているか。有効なツールの一つとして使われることが願われる▼過剰なストレスは、うつや自殺にもつながる最悪の事態となる。過剰な時間外労働による自殺という痛ましい事件も発生している。本県は、自殺率が全国ワーストワンにもなったことがあるほど、高い自殺率で経過している。メンタルヘルスの重要性は再認識しておきたい。

つむじ風9月1日

 小紙を含めた建設専門紙には、ほぼ毎日のように「働き方改革」の言葉が紙面に上がっている。担い手確保の観点からも不可欠という考えだと思われ、関係省庁や建設産業界がそれだけ真剣に取り組もうとしている姿勢の表れなのだろう▼働き方改革における重点対策の一つが、建設業に対する時間外労働の上限規制の適用。そのためには適正な工期の設定が不可欠であり、ガイドラインも策定されている。業界団体トップのコメントを見ても、概ね歓迎の意向のようだ▼では時間外労働を減らすための適正工期とは何か。単純に工期を長くすれば良いわけではなさそうだ。工期が長くなり現場の回転率が低下すれば、経費の増加や受注機会の逸失につながる。これでは企業経営が成り立たない▼それならば「生産性向上で対応」となるが、地方の特にも小規模零細企業に、建設ICTやプレキャスト化を望むことは酷というもの。「限られた人員がどのように働くか」が鍵となる。地方の現場を見ることで、建設業の「働き方」改革へのヒントが見つかるかもしれない。

つむじ風8月31日

 確かにルーは湖水、ご飯は堤体に見えないこともない。カレーライスをダムに見立てた「ダムカレー」が増え続けている。道の駅などで販売され、全国で100種類以上のダムカレーが存在する。湯田ダムや入畑ダムをモチーフにしたカレーがあるとか▼ダイナミックな堤体と木々の緑、広大な湖…。全国には、多くのダムマニアがいる。湯田ダムでは、錦秋湖大滝(貯砂ダム)の通行開始15周年を記念し、全国初の「貯砂ダムカード」を配布。開始から4日間で2500枚以上が配布されたとか。同カードを提示すれば、湯田ダムカレーが50円安く食べられる特典もある▼洪水調節や発電など本来の目的だけでなく、観光資源としてもダムが注目されている。御所ダム(御所湖)も全国有数の来訪者を誇っている。間もなく秋の行楽シーズンを迎えるが、一人でも多くの人にダム本来の役割を学んでほしいものだ▼建設中の県営簗川ダムは、9月7日に定礎式を迎える。ゲリラ豪雨が多発するなか早期の完成を願うとともに、完成後は県民の憩いの場となってもらいたい。

つむじ風8月30日

 国土交通省と民間企業チームが開発中の「洪水時に特化した低コストな水位計」。国が管理する鶴見川水系鳥山川(横浜市港北区)に設置し、いよいよ試験計測が始まる▼開発は、革新的河川管理プロジェクトの第1弾として12チーム(21者)が参加。今後、今年の台風期に同河川の水位上昇時に計測を実施し、17年度内に計測の確実性や計測データの精度などを検証。18年度から全国の国管理河川への設置を進める予定だ▼水位計の特徴は、無給電で5年以上稼働するほか、省スペースなため橋梁などに容易に設置が可能。機器設置費用は1台100万円以下に抑え、洪水時のみの水位観測で初期コストの低減に努めるとともに、IoT技術と併せ通信コストを縮減。維持管理コストの低減も図っている▼最近の雨の降り方は、これまでとは違うと感じている人は少なくないだろう。特に、普段は穏やかに流れる中小河川こそ、変貌が激しい。近隣住民の不安も、そこにあるのではないだろうか。中小河川への設置が容易となるよう、さらなるコスト縮減が期待される。

つむじ風8月29日

 高田松原津波復興祈念公園の整備事業では、園内の中核となる(仮称)国営追悼・祈念施設(国営施設)の整備工事が28日付で公告された。工事は土工関係の概成を目指すもので、完成すれば施設内に計画される築山や追悼広場などの姿が見えてくることになる▼国営施設の整備では、奇跡の一本松の北東側、10fほどに、築山や切通し空間、追悼広場などの設置を計画。現地では基盤整備が進められているほか、7月末には追悼広場と防潮堤を結ぶ人道橋や、防潮堤上に据えられる「海を望む場」の工事も公告されている▼施設隣に新設される「道の駅」については、建築工事の入札が終了。施設規模は、鉄筋コンクリート造一部鉄骨造の地上2階建てで、延べ床面積は4325平方b。残る設備工事も既に公告済みで、9月の開札が予定されている▼今回公告された工事も含め、整備が本格化していく国営施設。釜石も開催地となるラグビーW杯など、今後、沿岸被災地に注目が集まる中、国内外に復興を発信するためにも、一日も早い整備が求められるだろう。

つむじ風8月28日

 24日から25日にかけて本県は、各地で豪雨に見舞われ、大雨や洪水に関する警報、避難情報なども発令された。実際に浸水被害、幹線道路で崖崩れによる交通規制も出されるなどの事態になった▼今シーズンは、避難準備情報などの緊急速報メール(エリアメール)を受信するケースが多い。就寝しているような時間にメールを受信するのは、やはりびっくりするもので、こうしたメールが頻繁に届くのは、災害に対する危機感を持って過ごすようにはなるものの、気持ちが落ち着かず安心できない▼ゲリラ豪雨は、例年発生するものだと想定した治水整備が、今後は必要に感じる。治水整備の実施は、災害時の対応を期待される業界にとっても、必要な資機材や人材の確保の面などで有用なものとなる▼今年は、例年と違う気象の夏となっているなど、自然災害への備えを改めて考えさせられる機会が多い。戦後直後に甚大な被害をもたらしたカスリン台風から70年の年となっているほか、来週には岩泉町などが台風10号で大きな被害に見舞われてから1年が経過する。

つむじ風8月25日

 日本技術士会東北本部県支部の新支部長に、県土整備部や復興局で技監を務めた小野寺徳雄氏が就任した。小野寺氏は、一般向けの講演会の実施やイベントへの出展、公益的な活動への参画など支部活動の充実を通じて、技術士の社会的認知度の向上を目指す考えを示している▼技術士は合格率が約1割と難易度の高さはトップクラスだが、業務独占資格ではないため「最も割に合わない資格の一つ」とも言われている。ただし、業務独占資格とすることが相応しいか否かは、技術士の中でも意見が分かれているようだ▼日本技術士会が取りまとめた「技術士制度改革について」と題する提言の中間報告には、資格取得のメリットに対する疑問の声を紹介しながら「業務独占の法制度化は困難と考えられている」との文言を盛り込んでいる。業務独占化ではなく、幅広い活用拡大に向けた議論が今後進むと考えられる▼中間報告の中には、更新制度の導入なども盛り込まれた。地方組織の活性化と制度見直しの両輪で、技術士に対する信頼の向上が図られることを期待する。

つむじ風8月24日

 岩泉町は、16年台風10号災害からの復旧ロードマップや主な復旧・復興の進捗状況をホームページで公表している。岩泉地区や安家地区など6地区を対象にまとめたものとなっており、地図上に工事名や予定工期を記載するなど、事業の見える化を図っている▼同町は、災害復興まちづくり計画(仮称)の策定作業も推進中。計画期間は17年度から21年度までのおおむね5年間とし、復興の柱は集落の形成、防災体制の強化、産業経済の再生―の3点を設定した。同町は地域の意見を踏まえながら、具体的な計画づくりを進めている▼7月には災害公営住宅・移転地の整備などに関する住民説明会も実施。一部住民からは、町側が示した候補地以外への再建を希望する声もあった模様だ。8月公表の計画概要を見ると、地区によっては、災害公営住宅などの候補地が7月時点よりも数カ所増えている。地域の意向を反映した結果だろう▼災害復旧や住宅再建が本格化していく。地域の声に耳を傾け、見える化を進めながら、ふるさとの形成に力を注いでほしい。

つむじ風8月23日

 国土交通省内に設置した「自転車活用推進本部」。第1回自転車の活用に推進に向けた有識者会議が今月8日に都内で開かれ、現状の取り組みや今後のスケジュールなどを確認した▼会議で示された資料では、国内の自転車保有台数は年々上昇傾向という。16年度は人口の約6割相当の7238万台。自転車関連事故の発生状況では、自転車乗用中死者のうち、約8割に何らかの法令違反があり、自らの法令違反が交通死亡事故の一因とも指摘している▼全国的な取り組みとして、自転車ネットワーク計画の策定による自転車通行空間の整備をはじめ、サイクルトレインやサイクルバス。シェアサイクルの導入に関しては、年々増加し、16年10月時点で全国87都市で導入。北海道やびわ湖ではサイクルツーリズムを進めている▼人・車・自転車。良好な関係を築きながら自転車の活用を推進したいが、通勤・業務中に三者がからむヒヤリハット体験は少なくないのではないだろうか。自転車を活用した取り組みは色々考えられるが、乗り手の意識改革も併せて考えていきたい。

つむじ風8月22日

 釜石市の市庁舎建て替えに係る建設検討委員会は、これまで5回の会合を経て集約した提言書を、今月上旬、野田武則市長へ提出。今後は来年度の設計発注を目指し、市民の意見も交えながら、計画の内容を詰めていくことになる▼提言内容では、建設場所を「天神町の旧釜石小学校跡地」とした上で、建設地周辺のアクセス面の充実、安全対策などを要請。さらに、現在、分散している教育委員会、保健福祉部も集約した総合庁舎で検討すること。機能としては、防災拠点としての役割を重視した庁舎の実現などを求めた▼提出に際して委員からは、東日本大震災を教訓に、孤立化しない庁舎の整備や、「災害時も防災無線は使用不能にならないようにしてほしい」といった要望があったほか、都市づくりの観点から「多くの来客者を、まちの活気に結び付ければ、経済効果になる」との意見も出ていた▼復興後のまちの発展を支える拠点として、さまざまな機能を担うことになる新市庁舎。市民の期待に応えつつ、「釜石らしさ」を備えた施設になればと思う。

つむじ風8月21日

 お盆が過ぎ、学生らは夏休みが終わった時期。県内は比較的涼しい日々で推移し、夏らしさを感じられないまま8月も下旬を迎えたが、蒸し暑さは感じられるし、また暑さが戻ってくることも考えられる。熱中症など体調管理には引き続き注意が必要だ▼水分や塩分のこまめな摂取など盛んに注意喚起されるようになり、熱中症への対応の仕方は浸透してきている感触もある。それでも熱中症による死者は依然、多く発生しており、さらなる対策を講じる必要性も感じる▼熱中症に対する注意喚起を見ると、年を追うごとにより充実した取り組みが求められるようになっている。今シーズン労働基準監督署から特に強調して呼び掛けられていることの一つに、暑さ指数(WBGT値)の把握が挙げられる。暑さ指数は、湿度、気温、日差しの強さの3要素で暑さを表す指標で、JIS規格に適合した暑さ指数計の取り入れが促されている▼工事現場の取材をしていて、暑さ指数計を取り入れる現場も多くなってきた。さまざまな対策を講じて熱中症災害の防止に努めたい。

つむじ風8月18日

 県内建設業における労働災害の死亡者数は、6月末時点で前年比約5%の減。件数自体は減少しているものの、重篤化や死亡災害につながる可能性のある事例が増加しており、岩手労働局では注意を呼び掛けている▼土木工事の労災も前年を下回っているが、事故の型別では「はさまれ・巻き込まれ」と「激突され」がともに倍増。重機関連の労災が増加していることが分かる。岩手労働局によると、作業計画、誘導員の配置、接触防止措置などの不備に加えて、重機自体の転倒も目立つという▼地区別で見ていくと、沿岸被災地を含む二戸と大船渡で減少。反動減の要素もあると思われるが「沿岸部における土木工事の労災増」「工事量の増加に負われての段取り不足」など、ここ数年の傾向を当てはめることが難しくなっている▼下半期からは台風10号災害からの復旧工事が本格化。狭小な山間の土地に多くの現場や工種が輻輳し、施工条件の悪さは震災復興事業を上回ると考えられる。発注の順序や段取りの整理など、川上における準備が一層重要になるだろう。

つむじ風8月17日

 東日本建設業保証岩手支店が年4回公表している「建設業景況調査」によると、地元建設業界の景況は15年6月期以降「悪い」傾向が続いている。これは受注総額が減少傾向に転じたことに符合する▼今期の経営上の問題点を見ると、上位に来るのは「受注の減少」「人手不足」「従業員の高齢化」「競争激化」の4項目。特にも16年3月期以降、多くは「受注の減少」が最上位にあり、呼応するように「競争激化」の回答割合も上がっている▼復興需要の一巡に伴い受注減少と競争激化という震災以前からの問題が再び強まり、そこに人手不足と高齢化という震災以降に顕著になった問題が重なっていることが理解できる。復興需要により一時的に事業量が増加している間に、本県建設業界が抱える問題への対処は先送りされ続け、むしろ重症化したようにも見える▼生産性の向上で挽回を図るにも限界があり、企業間格差の拡大や淘汰につながる懸念もある。受注産業という基本的な構造の転換が困難である以上、やはり受注環境の改善が課題解決への第一歩だろうか。

つむじ風8月10日

 食料や水と同様に、現代の生活に欠かすことのできない電力。県内の電力自給率は、2014年時点で18・9%となっており、大半は県外からの融通で賄われている。県は地球温暖化対策実行計画の中で、20年の電力自給率の目標を35・0%としている▼先日、簗川ダムの水を利用して発電する簗川発電所の定礎式が行われた。同発電所は、毎秒4・8立方bの水量と約50bの落差を利用し、最大1900`hを発電するもの。1年間の電力量は一般家庭3300世帯分に相当するという▼水力は風力や太陽光と異なり、気象などの影響を受けにくく、安定した電力供給が可能になる。順調に工事が進めば、18年度に基礎・土木工事を終え、19年度に発電所建屋の建築工事、20年度に水車発電機の据え付けを行い、21年度の運転開始を目指す▼水車による粉ひきなど、水力は昔から人々の生活に欠かすことのできないエネルギーだ。震災直後には、農業用水を利用した小水力発電の導入を推進する動きが見られたものの、残念ながら今は余り話を聞くことがなくなった。

つむじ風8月9日

 国土交通省は、特定テーマ型モデル「道の駅」の募集を開始した。募集期限は9月4日まで。今回のテーマは、地域交通拠点。募集のあった道の駅の中から、より規範性のある道の駅を選定し、広く周知するという▼募集対象は、中山間地域およびその周辺地域で、道の駅が公共交通モード間の接続拠点となっていること。接続機能向上の取り組みにより、現時点で地域住民の生活の足の確保という点で成果をあげていることが求められている▼具体的には、▽道の駅が幹線交通と支線交通の接続拠点となっていること▽乗継利便性向上に資する取り組みなどを現在も実施していること▽地域住民の生活の足の確保および乗継利便性の向上に資する取り組み内容が、先駆性・独創性があること│のすべてを満足すること▼基本コンセプトとして休憩、情報発信、地域連携機能を有する道の駅。1990年に構想が提案され、間もなく30年を迎える。県内にある32施設は地域特性に応じた個性豊かな道の駅が存在する。さらなる進化に向け、知恵と工夫を出し合いたい。

つむじ風8月8日

 市役所新庁舎の整備を目指す陸前高田市は、7月末に施設の基本設計を条件付一般競争入札により公告。今後、国の復興期間内となる20年度までの完成に向け、事業が具体的に動いていく▼建設場所については、さまざまな議論の末、6月議会で現高田小学校跡地に決定。これを受け市は整備方針案をまとめ、計画規模として鉄筋コンクリート造地上7階建ての、延べ床面積約5500平方bを提示。概算事業費としては、約50億円を示している▼ただ、20年度までに完成させるためには、事業期間にあまり余裕が無いのが実情だ。計画では完成を間に合わせるため、高田小の解体前に、市庁舎の建設場所となる校庭側の造成などに入る見通し。建設工事は19年6月議会での契約議決を予定しており、それまでに設計をまとめていくことになる▼被災地では釜石市でも、市役所庁舎の建て替えが計画されている。行政だけでなく、地域防災や復興を支える拠点となるだけに、市民らの意見も交えながら、内部の機能など整備内容を十分に詰めていく必要があるだろう。

つむじ風8月7日

 過去の話になるが、就職活動の際に「求人情報で「週休2日」と書いてあっても、『完全』が付いてないと、毎週が週休2日にはならない」と、最初に指導されたのを思い返す。今も昔も変わらず、休日をどの程度取得できるのかが、学生にとって職業選択する上で一つの大きな要素になるのだろう▼学生を対象とした工事現場の見学会などで、「休みは取れるのか」「週にどの程度休めるのか」といった質問が上がることは多いように感じる。学生には、建設業における休日には、どんなイメージが持たれているだろうか▼担い手確保の取り組みの一環として、現場における完全週休2日制を推進する工事が試行され始めている。県では今年度、31件を対象に試行される見通しとなっている▼今年度の地域懇談会で、完全週休2日制に関して議論に上がっているが、業界側からは「現状で取り入れは厳しい」との声が大半を占めているのが取材していての印象。建設業の特性や現状の体制など実施へ課題は多いが、取り組んでいかなければならないことではあるだろう。

つむじ風8月4日

 県建設業協会は今年度、県内建設産業を取り巻く諸課題に対応するための「建設業振興対策特別委員会」を立ち上げる。7日に初会合を開き、全体の概要や今後の実施方針などを協議する予定▼具体的な課題の検討に当たっては「入札契約制度」「構造改善」「担い手育成」の3テーマでワーキンググループを設置。ここでの議論の内容を取りまとめ、県が18年度に策定予定の次期「いわて建設業振興中期プラン」に向けた提言につなげたい考え▼現行のプランにおける最優先事項は震災復興への対応であったが、次期プランの計画期間内に復興需要が剥落し、台風10号災害の復旧にも一定のめどが立つと思われる。つまり今後4年を待たずに、建設市場は急速な縮小期に入るということ。先送りとなっていた建設業の振興策や構造改革への議論も、いよいよ避けて通れない時期に来たようだ▼業界側と県側それぞれが現状を正しく認識した上で、真のパートナーとなり得るか、あるいは「仕事の切れ目が縁の切れ目」か。厳しい時期こそ双方の本音が問われることになる。

つむじ風8月3日

 県北広域振興局土木部が事業を進める一般国道281号の久慈市案内地区。事業は最終局面を迎え、11月の開通を予定している。総事業費は約40億3000万円。物流や観光を支え、災害に強い道路として期待は大きい▼案内地区の計画延長は2100bで、車道幅員は6・0b。1150bのトンネル1本や54bの橋梁も整備している。事業効果として、約1000bの距離短縮や9カ所の急カーブ解消が挙げられる。12年度に事業着手し、16年度末に進捗率は92%まで到達した。現在、トンネルの照明設備工事や非常用設備工事を展開中。現地には11月供用予定をPRする看板もあり、地域も開通を心待ちにしていることだろう▼同土木部は、案内地区より内陸側の同市下川井地区でも改良を計画している。現在設計中で、18年度に513bのトンネルなどの構造物工事を先行して発注する予定だ▼久慈管内は16年台風10号災害で大きな被害を受け、道路も各所で寸断された。被災経験を踏まえた強靭な道路の形成へ―。県北地域でも道路網の強化を進めたい。

つむじ風8月2日

 夏休みが始まり、多くのイベントが開かれている。先月は、「森と湖に親しむ旬間」として、ダムやその周辺で多くのダムや森林の役割を知ってもらおうとイベントが開かれ、お盆期間にも行事を予定しているダムもある▼取材として、堤体内部や湖面巡視、普段は入ることができない施設を参加者に付き添いながら写真に収めようと努めている。発電施設内の音の大きさや監査廊の涼しさ、ボートからの眺め、現地の味覚…実は自らが楽しみにしている部分もある▼子どもは、正直ということを痛感する。楽しい時は笑顔があふれ、興味があれば質問するが、一度つまらないと思えば二度目はない。近ごろでは、ネットやゲームなどが身近にあるため、目も耳も肥えた子どもらに飽きさせないように工夫するのは難しいのかもしれない▼文章の棒読みでは、大人が聞いていても飽きてしまう。段取り八分と言われるが、子どもの目線に立った準備は必要だろう。あとは、その場の雰囲気に合わせた臨機応変な対応も求められる。難しいが意識しなければならない。