11月のコラム集
つむじ風11月17日

 県営建設工事に条件付一般競争入札が全面導入されて10年が経過した。単純な時間の刻みが制度の見直しに対する物差しになるとは思わないが、10年を経て、公共調達に対する社会的な要請も変化。制度疲労が生じてきたことも否定できない▼入札制度改革に当たって真っ先に挙げられていたのは「競争性・透明性・公正性の確保」。この場合、発注者の基本的なスタンスは、一定の条件を踏まえつつも「この案件を受注したい人は誰でもどうぞ」となる。応札するもしないも受注者の自由。災害復旧事業で入札不調が多発しても知ったことではない。このケースでの模範的な答弁は「制度上、問題は無いものと認識しております」だろうか▼実際にそんなことを考える行政職員は(少なくとも今は)いないだろう。建設企業の側も、条件が悪い中でも可能な限り受注したいと考えているはずだ。「競争性・透明性・公正性」よりも「公共性」が優先されることが、受発注者の共通認識ではないか。そうであれば、10年目の今が、制度の見直しにちょうどよい時期かもしれない。

つむじ風11月16日

 19日の開通を控えた三陸沿岸道路「山田宮古道路」。先ごろ、東北地方整備局三陸国道事務所の建設監督官に、同道路を案内いただいた。供用開始へ準備の最終段階に入り、現地で最後の作業に当たっていた人たちの笑顔も印象的だった▼同道路は、山田町山田の山田インターチェンジ(IC)と、宮古市金浜の宮古南ICを結ぶ延長約14`の自動車専用道路となっている。車の中で下方から道路を見上げた場合と、実際に道路上に立った場合では、スケール感などの印象が全く違った▼同事務所や業務・工事関係者、地域が一つになって造り上げた道路。東日本大震災からの復興を体現する道路の姿を見つめていると、県民の一人としても感慨深い▼開通式典は19日午前11時30分から開かれる。午前10時からは、地元児童による郷土芸能の披露などの記念イベントも催される予定だ。震災津波からの復興を進める被災自治体にとって、新たな道路の開通は希望となる。開通の喜びをかみしめながら、着実に整備が進んでいる他の事業区間の姿も見つめていきたい。

つむじ風11月15日

 2014年以降、木造家屋建築工事業で死亡労働災害が発生していなかった花巻労働基準監督署。だが、10月に死亡労働災害が発生した。重く受け止めた同監督署は、今月13日から17日にかけて「木造家屋建築工事業災害防止強調週間」を実施している▼監督指導の重点事項として、元方事業者の統括管理や木造家屋建築工事現場で必要な資格の選任および職務の遂行状況、墜落防止対策、木造加工用機械│の4項目を挙げている。期間中に20〜30現場を集中的に監督指導する方針だ▼厚生労働省では、元方事業者が実施する望ましい安全管理の具体的手法として「元方事業者による建設現場安全管理指針」を公表。安全衛生管理計画の作成や過度の重層請負の改善、作業手順書の作成、協議組織の設置・運営│などを挙げている▼ぐっと寒さが増してきた。冬季特有災害を含めた労働災害の発生するリスクが高まり、年末・年始の慌ただしさなどによる労働災害の一層の増加も懸念される。刻一刻と変化する現場で、それぞれの現場に適した安全管理を徹底したい。

つむじ風11月14日

 震災からの復興に向け、被災地各地で整備事業が進む商業施設。釜石市の鵜住居地区でも新たにテナント型の商業施設が計画されており、19年春頃の開業が見込まれている▼同地区の人口は、震災前の11年2月時点で6630人だったが、今年3月時点で4割減少。周辺には災害公営住宅や学校施設が新設されてきており、新たなまちづくりの中で、地域のにぎわいを醸成していくためにも、商店街の再建は大きな課題となっている▼先日開かれた鵜住居まちなか再生計画策定委員会では、同地区の商業施設について、佐々木憲一郎委員長が「まちの顔となるだけに、計画が遅れれば地区に戻ってくる人も少なくなると考え、迅速に取り組む必要がある」と指摘。隣のまちも含めた、商圏の考え方の重要性などを語っていた▼鵜住居地区では17日に、駅前津波復興拠点整備の安全祈願祭が予定されており、いよいよ追悼施設などの工事が動き出す。公共施設の整備とともに、なりわいの復興を示すためにも「まちの顔」の再生事業を着実に進めていく必要があるだろう。

つむじ風11月13日

 主要地方道大更八幡平線(八幡平アスピーテライン)や県道八幡平公園線(八幡平樹海ライン)が冬期通行止めの期間に入るなど、冬の足音を感じる時期となった。寒さも日に日に厳しさを増している▼県内各地では、除雪車の出動式が催されている。正式には今シーズンの除雪担当業者が決定していない地区もあるようだが、円滑に決まり降雪時、着実に作業が行われることが願われる▼除雪も技術力が大きく問われ、地域によって除雪の巧拙に大きな差があると聞く。除雪を担当するオペレーターらの高齢化が進んでいる中、技能の伝承、担い手の確保が必要になっている。住民協働による歩道部の除雪が実践されている地域もある▼除雪作業については、ICT建機を活用することはできないかとの提案もあるようだ。実際に可能ではあるものの、降雪時にGPSの精度が落ちる上、除雪延長が長い場合、膨大な量のデータを作成する必要があることなどが課題に挙げられている。ただ、ICT建機が除雪作業の簡略化へ可能性を秘めている部分はあるだろう。

つむじ風11月10日

 10月31日に秋田県で開かれた東北建設業ブロック会議。東北6県の建設業協会と国土交通省の幹部職員らが参加し、公共事業予算の確保、復旧・復興事業の推進、適正な利潤の確保など7項目で意見を交わした▼今年度、全国9地区で行われたブロック会議では、事業量の地域間格差や週休2日制の導入が主な議題だったとのこと。東北においても震災復興の推進という大命題を抱えつつ、大型補正予算の編成や働き方改革などに話題がシフトしているように見える▼特にも週休2日制に対しては、受注者側も本腰を入れて取り組む考えのようだ。いささか性急な感もあり、技能労働者の手取り減少や企業負担の増加なども懸念される。東北建設業協会連合会では、週休2日制を導入しても給料を減らさないための「(仮称)担い手係数」の創設を提言している▼週休2日制はあくまでも、働き方改革や担い手確保における手段の一つ。これが自己目的化しては、別の部分に歪みが生じることは避けられない。本来の目的を明確にした上で取り組みを着実に進める必要がある。

つむじ風11月9日

 災害が発生した時に、学校施設は地域の避難所に指定されている。被害が大きく、滞在が長期間に及ぶ場合には、厳しい生活を強いられる。本県は積雪寒冷地。東日本大震災が厳冬期に発生していたら、避難所での生活はもっと厳しいものになっていただろう▼日本は周りを海に囲まれた島国であり、地震の巣の上にある。さらに急峻な地形ゆえに、あっという間に河川が氾濫。浸水や土砂崩れが発生する。温暖化の影響からか、近年は台風の大型化も目立つ。大規模自然災害に対し、余りにもぜい弱だ▼全国の公立学校の92・1%が避難所に指定されている。文科省が実施した防災機能に関する調査によると、95・2%が防災担当部局と連携・協力体制を構築しているものの、防災機能の保有状況は▽備蓄72・0%▽飲料水66・4%▽電力53・4%▽通信77・2%▽断水時のトイレ49・5%▼スロープや多目的トイレの設置も徐々に進んでいるが、これから。これらの整備が進めば、被災者だけでなく、子どもたちの学校生活も過ごしやすいものになるのではないか。

つむじ風11月8日

 先日、宮古市の新里トレーニングセンターで開かれた国道340号宮古岩泉間整備促進住民総決起大会。同センター内には同市や岩泉町の住民ら約1000人が参加。仮称・押角トンネルの一日も早い完成と未改良区間の早期事業化という熱い思いを決議という形で採択した▼大会では、沿線の2小学校の児童が意見発表。大川小(岩泉町)の児童は、宮古市から同路線を利用し通勤する先生が、大型トラックとのすれ違いに緊張し、大きな音のクラクションに怖い思いをしていると訴えた。未改良区間の事業化にもつなげてほしいと願った▼新里小(宮古市)の児童は、昨年の台風10号で道路が寸断。休校を余儀なくされ、当たり前の生活ができくなった。不安な一週間を過ごしたが、道路がつながると便利なだけでなく、安心して生活でき、多くのヒトやモノが今まで以上につながるだろうと発表した▼道路、トンネル、橋梁…。すべてははつながってこそ効果がある。この思いもつなげることで、単なる足し算ではなく相乗効果となって現れるのではないだろうか。

つむじ風11月7日

 2019年ラグビーワールドカップ日本大会の試合日程と会場が、2日に公表された。今後、19年9月20日の開幕に向け、全国12の会場では本格的な準備に入っていくことになる▼全48試合中、釜石では1次リーグの2試合(9月25日のフィジー│アメリカ地区第2代表、10月13日のアフリカ地区代表│敗者復活予選勝者)が行われる。野田武則市長も開催試合の決定に、「選手がベストパフォーマンスを発揮できるよう環境整備にまい進していく」と、コメント。被災地として世界に向け震災支援への感謝を示していく考えだ▼12会場で唯一の新設となる(仮称)釜石鵜住居復興スタジアムは、4月に着工し現在、18年7月の完成に向け整備中。観客席は常設で約6000席、仮設で約1万席を設ける予定となっている▼鵜住居地区で計画される公共施設や、スタジアムへのアクセスを担う幹線道路なども、鋭意事業の進捗が図られているところ。被災地唯一の開催地として注目されるだけに、復興整備を着実に進め、世界に震災から立ち上がる姿を発信してほしいと思う。

つむじ風11月6日

 12月1日から来年1月31日までの2カ月間、「いわて年末年始無災害運動」が実施される。今年度のスローガンは「あなたの安全家族の願い、年末年始も無災害」。主な実施事項として、冬季特有災害の防止や「安全決意宣言」などが挙げられている▼この運動は、「岩手県から死亡労働災害をなくそう運動」を発展させ、06年度にスタートしたもの。年末年始の慌ただしさに凍結・積雪などの自然要因が加わることを踏まえ、運動の対象を死亡労働災害から労働災害全般に拡大している▼積雪寒冷地である本県は、冬期間の労働災害が年間の発生件数にも影響する。冬期間において特に留意すべき労働災害は、転倒災害と交通事故。加えて施工条件の厳しさが予想される台風10号災害の復旧工事での労災防止は重点課題だろう▼近年は長時間労働の是正や過重労働の未然防止など、労働衛生面に注目が集まっている。一方で時短のしわ寄せが安全面に生じるようでは本末転倒。無災害運動を契機として、労働災害のない安全で健康な職場づくりに努めていただきたい。

つむじ風11月2日

 東北地方整備局三陸国道事務所が全力で整備を進める三陸沿岸道路。同道路のうち宮古田老道路(宮古市松山〜同市田老字小堀内、延長約21`)の区間内では、(仮称)閉伊川橋の桁を接続する締結式が行われた。関係者や地域の代表者らは最後のボルトを締め、笑顔で喜びを分かち合っていた▼取材で宮古市を訪れ、国道106号や県道宮古港線を通るたびに、同橋の姿を目にしてきた。山側では切土区間が見え、新たな道路のイメージが浮かんでくる▼同橋の全長は502bで、幅員は12・79b。上部工は市街地側、閉伊川側の2工区に分けて施工した。桁が架かったことで、今後はコンクリート床版や高欄などの工事が展開される▼同橋の施工に当たっては、16年台風10号災害に伴う段取りの再調整のほか、国道や線路、市街地がある中での架設作業など、多くの難題を乗り越えてきた。施工者からは「風景の一部になり、地元に親しまれる存在となってほしい」との声も。三陸沿岸道路の一部として、地域の未来を支える橋となることが期待されている。

つむじ風11月1日

 1928年のきょう、ラジオ体操の放送が開始された。それから約90年が経過した。1951年に現在のラジオ体操第1が制定されてからは、運動会や夏休みの風物詩として、工事現場の朝の風景として、馴染みの光景となっている。今では、知らない人を探す方が難しいのではないだろうか▼軽快な音楽とともに「腕を前から上にあげて…」で始まる伸びの運動から、深呼吸まで。ラジオ体操第1に要する時間は3分強。13の運動で構成されている。ラジオの音と前方で動いている人を見ながら、半ば強制的にさせられていた子どもの頃。だが、意識して映像を見てみると、指先がしっかり伸び、踵・膝・肘の位置が思っていた以上に動いていた▼秋も深まり、最低気温は一桁の前半に。吐く息は白さが濃くなる11月。冬はすぐ目の前に来ている。寒さに体が慣れるまで時間が必要だろう。特に現場では、寒さに慣れるためにも就業前に体を動かし、温めてから入ることが求められる。今の時期こそ、意識して取り組みたい。意識するか、しないか。その差は大きい。

つむじ風10月31日

 復興道路の整備を進める南三陸国道事務所は先週、施工現場を報道関係者に公開。完成し、つながった橋梁やトンネル区間を実際に走行するなどして、大詰めを迎えた道路の進捗状況を示した▼釜石の市街地で進む(仮称)釜石中央インターチェンジ(IC)の現場も視察したが、国道283号をまたぐ橋梁は桁の架設が完了。構造物の整備にめどが付いたことで今後、盛土が進めば、来春にもICの形が見えてくるとのこと。18年度の開通に向けネックとなっていた部分だけに、ICの姿が実感できるようになれば、開通への機運も高まりそうだ▼管内では(仮称)唐丹第3トンネルが6月下旬に貫通したことで、全トンネルが完成または貫通済みとなった。橋梁も大槌町内の二つの高架橋で上部工が完了すれば、管内の道路はおおよそ一本につながることになる▼同事務所では、来年度で延長41・6`にもわたる復興道路・復興支援道路が開通することになる。完成へラストスパートに入る時だからこそ、現場には着実かつ無事故無災害での施工が求められているだろう。

つむじ風10月30日

 あす31日までの期間で発売されているハロウィンジャンボ宝くじ。昨年まではオータムジャンボの名称で発売され、今年から名称変更となった▼ハロウィンジャンボ、サマージャンボ宝くじは、市町村振興宝くじとなっている。収益金の一部が公共施設の建設、災害対策、少子高齢化に対応するための事業など、住みよいまちづくりの推進に使われる。宝くじを購入した県の市町村に分配されるもので、県内の売り場での購入を促すCMもよく見聞きするが、少しでも公共事業費増につながることが願われる▼国交省で推進するi│Constructionに関して、業界側から「ICT建機などの導入は、発注件数が増えないことには踏み切れない」との声も聞かれる。ICTの普及にはコスト面などの課題をクリアしていくとともに、一定の工事量確保も必要に感じる▼今後減っていく予測は誰もが容易にできる中、工事量をいかに確保していくか。業界が地域の安全・安心を守る役割を担う体制を維持するため、官民が一体となって知恵を出し合ってほしく思う。

つむじ風10月27日

 このほど設立40周年を迎えた県測量設計業協会。77年の設立以降、測量設計業界の健全な発展と社会的地位の向上を図るとともに、社会資本整備の推進に貢献し、県の産業振興や公共の福祉増進に寄与することを目的に、各種事業を実施している▼岩手・宮城内陸地震、東日本大震災、台風10号などの大規模災害時には、発災直後から被災地の最前線に赴き、被災状況の調査などに従事。建設業界が果たした道路啓開作業と同様、早期の復旧・復興に多大な貢献を果たしている▼復興需要の一段落に伴い、いち早く復興後の社会に足を踏み入れている測量設計業。災害時における貢献が強調されがちであるが、インフラ整備の最上流を担う立場として、その存在意義が正当に評価される必要があるだろう▼長期的に公共投資が右肩下がりとなっていく一方で、若年技術者の確保と育成、建設ICTの導入、老朽化施設の維持更新など、取り組むべき課題は山積している。測量設計業界の社会的な位置付けや将来像を明確にする意味でも、課題の一つである業法の制定が求められる。

つむじ風10月26日

 台風21号の通過で引き込まれた寒気により、北海道は季節外れの大雪に見舞われた。幸い本県には大きな被害はなかったが、今度は台風22号が日本列島に向かって勢力を強めながら北上中だ▼11月を間近に次々と台風が上陸するなど、以前はまれなことだった。これも地球温暖化の影響だろうか。ただ地球が多少暖かくなろうと北国・岩手。冬の足音は、一歩一歩近づいている。山間部は、いつ雪が降ってもおかしくない▼岩手河川国道事務所では、各防災除雪ステーションで除雪機械の出動式を開催する。除雪機械を点検するとともに、作業の安全を祈るものだが、近年では幼稚園児や小学生を招いて除雪学習会も実施。県も出動式とともに、除雪功労者表彰などを行っている▼作業は夜間や早朝が多く、降雪が続けばなかなか寝られない。ホワイトアウトで視界や方向感覚が失われた中での作業は、いかに熟練した技術と経験が必要なことか…。オペレーターの高齢化が進み、さらに人材確保が困難になっている中、除雪作業の重要性や大切さを広く伝えていきたい。

つむじ風10月25日

 今月14〜19日まで、アラブ首長国連邦のアブダビで開かれた第44回技能五輪国際大会。日本を含め59カ国・地域から1251人が参加し、51職種で競技を実施。日本選手は3職種で金メダルを獲得した▼その職種の一つは情報ネットワーク施工で、金メダルを手にしたのは葛ヲ和エクシオの清水義晃さん。同競技は、38回大会から新設され、光ファイバの施工や測定技能、LANの設計や施工技能など競う競技。課題を4日間、計16・5時間の規定時間内で競ったという▼国際大会は2年に一度で、製造や建設分野をはじめとする幅広い職種を対象とした唯一の世界レベルの大会。19年はロシアのカザン、21年は中国の上海に決定。政府は、大会に先立つ総会で、愛知県を候補地に23年開催の47回大会の開催地として正式に立候補した▼国際大会の参加資格は、大会開催年に満22歳以下(一部の競技を除く)。日本での開催が決まれば、現在の中学生あたりが中心選手だろうか。本県で生まれ育った若者が地元企業に就職し、世界の最高峰に輝く日を楽しみにしている。

つむじ風10月24日

 新たな市庁舎の建設を計画する釜石市。市の復興事業で整備する、最後の大型公共施設と見られており、今後、20年度末の完成を目指し準備が進められていく予定だ▼先日開かれた市議会の議員全員協議会では、市側が新市庁舎の建設について説明。議員からは、建設候補地やアクセス部の安全対策などに関する質問、さらに地元業者の活用について要望が出されていた▼新たな庁舎の特色についても問われ、市側は「ただ箱物を造れば良いというものではなく、釜石らしさをどうやって出していくかが課題」と回答。今後、具体的に検討していく考えを示した。議員からは木造の採用など「無難なものではなく是非、こだわりを持った庁舎にしてほしい」との要望が出され、野田武則市長も、「震災の教訓を後世に伝えられる施設にしたい」と答えていた▼事業では、来年度で基本設計が予定されている。設計の形が見えてくる段階になれば、市民も新庁舎に対する意見を出しやすくなるはず。施設へのさまざまな思いを参考に、釜石らしい特色を見出してほしいと思う。

つむじ風10月23日

 特にも朝や夜、寒さが厳しくなっているのをひしひしと感じる。県内でも、冬の使者・白鳥の飛来が確認された。白鳥が飛来してくる時期になってくると懸念されるのが鳥インフルエンザだろう▼前年度は、県内各地で野鳥の死骸から鳥インフルエンザの陽性反応が出る事態となった。隣県の養鶏場では、死んだ鶏から高病原性鳥インフルエンザウイルスが検出され、養鶏場から半径10`以内の一関市南部が搬出制限区域に指定。県建設業協会一関支部では、県と結ぶ「家畜伝染病における緊急対策業務に関する協定」に基づき、会員業者が資材の荷卸しや看板設置などを行った▼白鳥の飛来が本格化するのを控え、同協会奥州支部では防疫対応実地訓練を実施。防護服などを着衣し、重機での掘削や埋却、石灰散布作業に取り組んだ▼奥州支部では、手順などを会員業者に浸透させるため、当面は毎年訓練を重ねていく見通しでいる。訓練に定期的に取り組むとともに、多くの作業員に体験させるのが、有事の際には有効なものとなる。体制の着実な強化が期待される。

つむじ風10月20日

 11月は「過労死等防止啓発月間」。過労死防止の重要性に対する国民の関心や理解を深めることを目的に、厚生労働省などがシンポジウムやキャンペーンなど啓発活動を展開する。本県では岩手労働局が、長時間労働の削減に向けた労使団体への協力要請や、各労働基準監督署による重点監督などを行う▼本県においては、復旧・復興工事における過重労働の解消を目指す「いわてリアス宣言」が7月末に採択されている。「気仙宣言」を沿岸全域に拡大したものであり、復旧・復興工事に携わる労働者の適正な労働時間の管理や、過重労働の未然防止に向けた職場環境づくりなどを目指している▼建設業は重層構造の受注産業であることから、個別企業の責任において過重労働を解消させることは困難と思われる。ましてや東日本大震災や台風10号などで甚大な被害を受けた地域では、何よりも早期の復旧・復興が求められている。まずは発注者が過重労働を防止するための工程管理や業務の簡素化を率先して進め、現場の最先端まで浸透させる工夫が必要だろう。

つむじ風10月19日

 AEDと心肺蘇生法をテーマとした救急一般講習を取材する機会があった。地域建設業者が主催した安全大会の中の企画だ。参加した人々は、救急救命士からの説明を熱心に聞き、応急対応の重要性を再認識していた▼私事だが、先ごろ叔父が脳出血で倒れた。叔父は手術を無事に乗り越え、今では懸命にリハビリに取り組んでいる。職場が病院の近くにあったことや、そばにいた職員の皆さんが早期に異常に気付いたことが、命をつないだ大きな要因だと考えている▼取材先での救急講習は、身内の事例があった私自身にとって、非常に勉強になった。講師を務めた救急救命士は「倒れた人を3分放置しているだけで、救命率が低下する。現場に居合わせた人の処置が重要だ」と力を込めて話した。このほかにも、山を挟んだ集落では、救急車両が到着するまでに時間を要するという地域上の課題にも触れていた▼人ごととしてではなく、危機意識を持ちながら日頃からの安全研修や救急講習、チームワーク、心配りなどが大切だと実感する。取材を通して学ぶことは多い。

つむじ風10月18日

 国土交通省と建設産業人材確保・育成推進協議会は、建設業の役割や重要性について理解と関心を高めるため、工業高校等の生徒を対象とした作文コンクールを実施した▼高校生の作文コンクールには1235人が応募。女子が2割を越え、国交大臣賞の2人も女子だった。受賞作品の「魂の継承」は、歴史的建造物の修復・修繕関係の仕事に就くことを夢に持つ2年生の話。宮大工のもとでのインターンシップを通し、「先人たちのものづくりに対する『魂』を受け継ぎたい」と誓う▼同じく2年生の「将来の夢」では、今は亡き祖父と父の影響で土木を身近に感じていた作者が、「地図に残る仕事」というCMをきっかけに土木の道に進むことを決意。「父から私に繋がったように、私から子へ繋げることが私の将来の夢です」と結んでいる▼受賞作品を読むと、建設業に興味を持つきっかけは多種多様。興味から実際に働きたいという決意に至るには、あと一歩が大切。各種イベントやインターンシップなどが、一歩を踏み出すきっかけとなることを期待したい。

つむじ風10月17日

 大槌町の中心部で今月上旬、上棟式が行われた(仮称)御社地エリア復興拠点施設。市民交流や震災伝承の中核となるもので、施設は今後、来春の開所を目指し内装や設備工事が本格化していく▼建設場所は、被災した旧役場庁舎の近接地。図書館や多目的ホールなどが入る複合施設で、8月には愛称も「おしゃっち」に決定した。規模は木造3階建ての、延べ床面積2216・99平方b。隣接する御社地公園とともに、市民の憩いの場として、町の復興を象徴する建物となる▼隣の釜石市でも、中心部で整備が進む市民ホールの外観があらわになり、完成間近となっている。22日には施設の愛称、愛称ロゴマークの命名式も行われる予定。12月にはホールでの演奏会も企画されており、市では年内の開館に向け準備を進めている▼両施設とも、中心市街地のランドマークとなるもので、震災からの復興を先導する役割りが期待されている。新たなまちの文化を内外に発信していくためにも、施設の利活用を促すソフト面の充実を図っていく必要があるだろう。

つむじ風10月16日

 近隣に商店や医療機関、一般住宅などが多く立ち並ぶ繁華街での道路改良工事現場を訪れる機会を持った。全面通行止めの措置を講じて、医療機関などに向かう人のみが通行できる状況の中、現場代理人らが第三者への災害に気を配りながら作業している様子がうかがえた▼周囲からは、工事を見つめる住民らの光景が見られた。安全面に注意して無事故で作業を終えることはもちろん、いかに振動や騒音、埃などをなくし周囲に配慮して施工できるかが、建設業へ良いイメージを持ってもらうことにつながるように感じる▼現場を見つめる住民らの中には、重機が動く様子をじっと見つめる2、3歳ぐらいと思われる男の子の姿があった。男の子は、ひと時も目をそらさず10分近くは作業の様子を見ていただろうか。少しでも建設業を気に留め、魅力など感じてくれたならと思う▼県内各地では、産業まつりのシーズンを迎えている。重機への乗車体験など建設業とふれあう機会を催すことで計画している地域も多くあり、建設業を広く理解してもらうことが願われる。

つむじ風10月13日

 県建設業協会と県立高校の土木・建築部門の担当教員が意見を交わす「若年者入職促進懇談会」が、先ごろ開かれた。懇談会が催されたのは約15年ぶりとのこと。全産業を通じて人手不足と言われる中、建設業における担い手の育成・確保に業界と教育機関が本腰を入れて取り組む姿勢の現れだろう▼地元企業はもっとPRに力を入れる必要があること、インターンシップは就職先を選択する上での有効なツールであることなど、現役教員からの意見は業界にとって貴重な情報。給与などの待遇以上に、仕事の内容を重視する学生もいるという話もあった。業界側からの積極的な情報発信が、今後ますます重要になっていくものと考えられる▼懇談会が約15年ぶりに行われた背景には、県立高校の再編もあると思われる。再編計画の中には工業高校の学科改編も盛り込まれており、その過程の中で統廃合の対象となる学科も出てくるだろう。若年労働者を雇用し育成する立場として、技術や技能に関する教育機会が損なわれることに対し、業界からも声を上げていく必要がある。

つむじ風10月12日

 首都圏から来た人を案内した時、「道幅が広くていい」と言われた。向こうは「道幅が狭い上に車も多く、常にノロノロ運転。駐車場も非常に狭い」とか。県内では計画的に道路整備が進められてきたお蔭で、渋滞も少なくなり、快適に走行できるようになった▼その一方で、快適さの余りスピードが出過ぎてはいないか。本県の交通事故件数は、10日現在で1663件。前年に比べ7・3%減。死者は前年に比べ17・9%減の46人▼前年より件数、死者数ともに減少しているのは喜ばしい限り。だが死者数を人口10万人当たりで見ると、本県は3・63人。全国は2・11人だから1・52人多い。東北6県でも青森2・63人、宮城1・29人、秋田1・98人、山形2・52人、福島2・58人。本県がワーストだ▼日も短くなり、仕事帰りはすでに真っ暗。視界も狭まり、事故が起きやすい状態となっている。家族を悲しませないためにも「止まる(Stop)、見る(See)、待つ(Stay)」の3S運動に加え、「速度(Speed)を落とす」を徹底したい。

つむじ風10月11日

 「キャラクター捕獲ゲーム型」と特徴付けられた今年度の新入社員も、働き始めて半年が経過。はじめは熱中するものの、早期離職の傾向も見られ、企業側ではやりがいや目標の提供によるモチベーションの維持に努める必要があると指摘されていた▼今月1日には、主要企業で内定式が行われた。あと半年で、彼・彼女らも先輩となる。取材を通して、県内の建設産業界で働く彼・彼女らと接すると、型にはまらず、先輩の背中を見ながら現場や社内を走り回っている姿が印象に残っている▼自分の年代のタイプを見ると、浄水器型や四コママンガ型だろうか。浄水器型は「取り付け不十分だと臭くてまずいが、うまくいけば必需品」。四コママンガ型は「理解に時間がかからず傑作もある一方で、市場にあふれているので安く調達できる」と、少々辛口の評価が…▼産業能率大学では、新入社員を対象にした理想の上司を尋ねる調査を実施。17年度のトップは、男性が松岡修造さん(3年連続)、女性が水卜麻美さん(初)。上司にこそ、情熱と誠実が求められているようだ。

つむじ風10月10日

 県建設業協会の主催による工業系の高校生を対象とした現場見学会が開かれている。見学する高校生には貴重な体験となった様子で、普段学んでいる部分、見学して新たに発見した部分と双方があり、今後の学習に生かしていきたいとの声が多く聞かれる▼土木系の学科では、公務員も含めて学んだことを生かした進路を考える生徒が、比較的多いと聞く。学んだことを生かし、土木分野での活躍が期待される▼建設業への就職を志望する生徒に聞くと、志望のきっかけに父親など自分に近い立場の人が建設業で働いているのを見たことを挙げるケースが多い印象を個人的に持っている。間近で見る機会があれば、建設業は就きたいと思ってもらえる魅力的な産業であるということだろう▼先日、建設業ふれあい事業を取材した際にも、重機の操作などが楽しかったようで、「建設業を将来の進路に考えてもいい」と話す生徒が、男女問わず多くいた。さまざまな場面を捉え、建設業を周知する機会を増やすのが、担い手の確保へ有効な手段の一つであることは確かに感じる。

つむじ風10月6日

 県の18年度予算編成における要求・調整基準を見ると、公共事業費の通常分は17年度と同水準。通常分には台風10号災害に関連した事業費も含まれることから、総枠も含めて別途協議での対応になる見通し▼震災復旧・復興需要の終了後、県内建設投資額は震災前の規模に縮小すると言われている。参考までに震災前に編成された県の11年度当初予算に計上された公共事業費を見ると、780億5100万円。17年度の公共事業費の通常分は505億9300万円で、震災前と比較して35%も減少している▼復興事業に充てられている事業費がそのままゼロになる訳ではないにしても、以前のレベルに戻すことも簡単ではなさそうだ。さらに人件費や材料費などのコスト上昇分を勘案すると、震災前と同規模は実質的な減額を意味している▼建設業界として公共事業費の増額を求めていくことは当然であるが、業界の内輪内側だけで議論が終始しては意味が無い。一般の県民からも社会資本整備の必要性を訴える声が上がるよう、機運醸成を図っていく必要があると思われる。

つむじ風10月5日

 東日本大震災後に事業化となった県内の多くの道路整備計画。国や県などは、津波被災地を支える道路の構築へ、各地で工事を精力的に展開している。事業中の道路のうち、17年内に大きな節目を迎える道路がある▼代表的な事業の一つは、東北地方整備局三陸国道事務所が全力で整備を進める三陸沿岸道路「山田宮古道路」(山田IC〜宮古南IC、延長約14`)だ。工事が最終局面に入っており、11月19日に待望の開通を迎える。国の復興道路・復興支援道路のうち、震災後に事業化となった区間では初めての開通となる▼二つ目は、県北広域振興局土木部が事業を進める一般国道281号案内工区(久慈市、延長約2・1`)。同日の開通を予定している。地域が抱えてきたあい路区間の一つを解消することとなり、防災面などにおいて地域の連携が強化されることだろう▼津波被災地の事業計画は、にぎわいの創出などにシフトしてきたように感じる。県内で開通という段階に入っていく道路。地域の未来につながる道路として、有効活用していくことが求められる。