3月のコラム集
つむじ風3月28日

 大船渡市三陸町綾里の白浜│小石浜間で整備が進められてきた、主要地方道大船渡綾里三陸線「小石浜地区」が、25日に供用を迎えた。開通式には地元住民も大勢訪れ、生活の利便性向上を図る新道の完成を喜び合った▼区間では、険しい山並みに沿って続く急カーブ、急勾配を、恋し浜トンネルなどで解消。式典では開通の喜びを語った小石浜地域の地元代表が、「徒歩で1時間半の山越えをしなければ、通院も通学もできなかった」と、昔を振り返っていた▼さらに「今日からは、山越えの下をわずか数分で通過することができる。遠い祖先の方々に、トンネルの完成を報告できたら、どんなに驚き喜ぶか」と、悲願達成への思いを語り、道路を活用した地域振興に期待を込めた▼開通前、海沿いで曲がりくねる区間を走行しながら思い起こしたのは、震災前に通った宮古│山田間の重茂半島線だった。小石浜同様、重茂半島線も県が復興関連道路として、現在、改良を進めている。沿線地域の復興、防災力の向上を図るためにも、着実な整備が求められるだろう。

つむじ風3月27日

 運送業界、特にも宅配サービスの直面する課題に関して近頃、盛んに叫ばれている。ネット通販の普及で配達する荷物の量は増えているものの、時間指定や配達料無料といったサービスなどで、配達員の労働環境は悪く、給料も良くないため人材不足というもの。物流が立ち行かなくなるとして深刻な課題とされる▼課題解決へ効果は不透明とされているものの、業界の大手企業では配達料の値上げ、賃金や労働時間面など労働者の待遇改善を実施する方針を打ち出している。取り巻く状況を周知して、環境改善を強く訴え続けることが現状の打破には必要だろう▼建設業にとっても、若手を中心とした人材、担い手の確保は喫緊の課題。さまざまな方策が講じられてきているが、現状として地元業者にはどの程度の若手社員が在籍しているのだろうか▼ただでさえ減り続けている若年者を、いかに建設業に就きたいと思わせるか。やはり、さまざまな場面で建設業の魅力などをPRしていくとともに、一定程度の安定した稼ぎが見込める業界にしていかなければならない。

つむじ風3月24日

 「東日本大震災の教訓を生かして」との言葉をよく耳にする。東日本大震災は不幸な出来事だったが、震災体験を教訓として生かすことは残された私たちの責任と言える▼台風10号災害の復旧工事で技術者・技能者不足が懸念されることから、県では東日本大震災と同様の対策を講じる方針。現場代理人・主任技術者の兼務要件の緩和、労働者の宿舎建設費や宿泊費に要した費用を工事費に変更計上することなどを検討している▼これら人手不足への対応をはじめ、復興工事では施工確保対策が手厚く講じられ、CM方式による工事間調整などの新しい取り組みや受発注者間の情報共有なども進められた。一方で発注調整など、実施されずに終わる対策もいくつかあると思われる▼台風第10号の復旧工事は、あらゆる道路や河川に沿って小規模な現場が連なり、山深く狭隘な場所での工事も多い。震災復旧・復興工事とは異なる技術的困難さを伴うと考えられる。過去に行われた対策をなぞるだけでは教訓は生かされない、かつて導入を逡巡した施策に挑戦することも必要だ。

つむじ風3月23日

 県は16年台風10号災害への対応として、県管理河川となる小本川の上流(岩泉町)や刈屋川(宮古市)などにおいて、災害復旧助成事業や災害関連事業により、3〜5年間で緊急的な治水対策を実施する。このほど事業が採択されたことを受け、本格的な河川改修を進める▼被災市町村の動きとして、岩泉町は「いわいずみ型」と称する発注者支援型CM方式を導入。同町と独立行政法人都市再生機構(UR)、鰍tRリンケージの三者は、復旧・復興まちづくりの推進へ、相互協力を確認する覚書を締結した。URは復興計画の策定支援を行い、URリンケージは事業調整など公共土木施設災害復旧工事における発注者支援を行う▼伊達勝身町長は覚書への調印後、「広域的な災害はどこでも起こりうる。三者協定を一つの災害対応のモデルとしたい」との考えを示した▼県や被災市町村などは、台風対応のハード事業を本格化していく。災害に強い中山間地域・集落の在り方や、いわいずみ型防災まちづくりといった考えを発信できるよう、今後の事業展開を見つめたい。

つむじ風3月22日

 東北地方整備局と建設関連業界が連携し昨年2月に開設した「おもしろ物語@工事現場」。開設当初は16だった現場リストが44に増え(3月16日現在)、内容も充実してきている▼同サイトは、建設現場から生まれる物語を記録した工事情報ホームページを集めて、簡単にアクセスするための玄関口。「へぇー」「ほっこり」などをキーワードに、災害現場や工事現場などで生まれる物語を配信中だ▼お堅いサイトを想像しがちだが、配信されている物語は「★キラリ★土木技術」「カッコイイ!!建設機械」「何これ?新発見?」「ほっこりできごと」「とっておきの一枚」「スゲー ハウマッチ?」「気になる動画」。思わずクリックしたくなるような内容ではないだろうか▼本県内の現場からも物語が紡がれている。すべてが建設に関するものばかりではなく、「ほっこりできごと」「とっておきの一枚」では、思わず笑顔になってしまう物語が記されている。近くて遠い工事現場だが、工事現場への理解が深まれば、建設業の正しい理解にもつながるのではないだろうか。

つむじ風3月21日

 雪に見舞われる日があるものの、暖かさも実感できる時期になってきている。春の足音を感じられる気候だが、まだまだ寒さの厳しい日も多いことだろう。体調には気を付けて、慌ただしい年度末を過ごしたい▼春先には、「三寒四温」をよく見聞きする。三寒四温は、冬季に寒い日が3日程度続いた後に4日程度温暖な日が続き、また寒くなるとの7日周期で寒暖が繰り返される現象をいうが、本来は冬の気候の特徴として使われる言葉となっている▼ただ、近年では春先に使われる言葉として定着し、春に向けて次第に暖かくなってくるとの意味合いで使われるケースの方が多いように感じる。こうした時代の流れとともに、本来とは違った使われ方をするようになっていき、意味合い自体が変化していく言葉は多く存在する▼言葉に限らず、時代の移り変わりとともに本来とは違う使われ方などをしていき、違う方が主流になっていくことは多くある。そうした変化を察知して柔軟に受け入れることが、何にしても長く続けられる秘訣の一つになってくる気がする。

つむじ風3月17日

 建設業の振興対策は、思い切って各振興局ごとに任せた方が、良い結果をもたらすかもしれない。地域に必要な社会資本のジャンルや維持管理における課題など、業界が抱える問題は地域ごとにさまざま。土着性の強い産業である地域建設業は、その地域特性の影響を強く受ける傾向にあり、画一的な振興策がなじまない面もあると考えられる▼入札参加資格審査基準や入札制度における失格基準価格などマクロ的な部分は県の統一的な対応が必要だが、案件によっては指名競争入札や随意契約を活用したほうが合理的なケースもあると思われる。また、建設業のイメージアップや担い手確保などは、より地域密着型のアイデアが喜ばれるのではないだろうか▼盛岡広域振興局では、災害時の応急活動など地域の安全・安心のために特に顕著な功績のあった個人・団体を表彰する「災害対策功労者」制度に続き、振興局独自の優良建設工事表彰もスタートした。同様の動きが広域振興局に広がれば、より地域に密着した建設産業としての価値が高まることが期待される。

つむじ風3月16日

 14年度から道路管理者に対し、橋梁やトンネルなど道路構造物の5年に一度の近接目視が義務付けられている。今年度で3年目。本県の点検実施率は、今年度末までに道路橋全体で57%、トンネルで57%、道路附属施設で59%に達する見通しだ▼特に道路橋については今年度、当初計画の2−3割増しで点検を実施したものの、東北の平均にまだ及ばない。管理施設数は、道路橋1万3877橋、トンネル290カ所、道路附属施設512カ所。岩手は広い▼これまでの点検結果から劣化の傾向を見ると、東北は全国に比べ劣化割合が多く、劣化の進行が早い傾向にあるという。本県は、特に30年経過後から判定区分U(予防保全段階)の割合が増えるとか。やはり凍害が要因で、凍結抑制剤の散布も劣化を早める傾向にある▼国は判定区分V(早期措置段階)以上について、次回点検時までに改善措置を図る方針を示している中、まずは全施設の点検実施が最優先。昨年の台風10号のように、災害が発生することもあり得る。今後も可能な限り、点検の前倒しが求められる。

つむじ風3月15日

 小学校にある階段から、ふと下を見て小学校時代の遊びの一つだった階段ジャンプを思い出した。3段、5段と余裕でジャンプしていくが、10段となると一歩が踏み出せなかった。先生からは手厳しい注意を受けたが、振り返ると恐ろしい遊びだったと思う▼厚生労働省のホームページの職場のあんぜんサイトでは、労働災害事例やヒヤリ・ハット事例などを公表している。労働災害事例では、業種を建設業に、事故の型を墜落・転落に設定すると200件近くの事例が検索結果として示され、発生状況や原因、対策がイラスト入りで紹介されている。事例を見て感じることは、施工内容が特殊な現場で発生しているわけではなく、多くはどの現場で発生しても不思議ではないということ▼高さは1bだが、頭の位置は自らの身長を加えた高さになる。自らの意思に反して落ちた場合は、階段5・6段の高さでも、命を奪う可能性がある。年度末を迎え、現場での最後の追い込み、現場を無事に引き渡したことによる気の緩み…。「1b」は「一命取る」を肝に銘じたい。

つむじ風3月14日

 東日本大震災で甚大な被害を受け、復旧工事が進められていた大船渡港の湾口防波堤は、現地での整備を終え、19日に完成式を迎える▼復旧工事には12年7月に着手。規模は北堤が延長244b(ケーソン10函)、南堤が同291・36b(同13函)、開口部が同201b。工事では明治三陸地震津波を設計津波に、防波堤天端高をT・P+10・4b(D・L+11・3b)に設定。ケーソンの幅員も旧堤の2倍の21・6bにし、津波防災の要として増強を図っている。総事業費には約255億円が投入された▼ケーソンの整備では震災を教訓に、基礎マウンドの洗掘を防止する対策などが施され、大規模な津波にも粘り強い構造としている。現地では、昨年9月までに全ケーソンの据え付けが完了。現在は、最後に残る南堤の付け根エリアの整理作業が進められている▼大船渡市では中心部の整備など、復興事業が徐々に形に成りつつある。津波防護の前提となる湾口防の完成が、暮らしの安全安心を支え、まちの復興、にぎわい再生を後押しするものになればと思う。

つむじ風3月13日

 震災の発災から6年目となる3月11日を挟んだこの週末、読者の皆さまはどのように過ごされただろうか。さまざまな状況で発災の時刻を迎えたことと思うが、誰もが「あの日」を思い返したと想像する。改めて日頃からの備えの大事さを考える契機にもしたい▼発災日に先立ち、県建設業協会一関支部(佐々木一嘉支部長)では10日、災害情報伝達訓練を実施して連絡体制を再確認した。きょう13日は、県建設業協会(木下紘会長)で情報伝達訓練を行うことで予定している。こうした訓練は有事への備えが目的の一つだが、災害のことを忘れず風化させないことにもつながる▼今年は、一関地域などで甚大な被害が発生したカスリン・アイオン台風から70年目の節目の年でもある。国交省や県、一関市などでは17年度一年を通して各種取り組みを展開していく▼取り組みとしては、水害の記憶や教訓を後世に伝えるパネル展、住民参加の実践的な訓練、防災知識を普及するシンポジウムなどを計画している。活動が国土強靭化の推進へつながっていくことも期待したい。

つむじ風3月10日

 08年の岩手・宮城内陸地震、11年の東日本大震災、13年の内陸豪雨災害、16年の台風10号。本県だけを見ても、2〜3年のスパンで大規模な災害が発生している。東日本大震災から間もなく6年。建設業は災害に強いインフラをつくるハード部分だけではなく、災害時への対応というソフト部分を担う産業であることを改めて認識する必要がある▼これら大災害を経て、建設業の重要性を説く声が各方面から聞かれるようになった。誤解すべきでないが「災害を経たことで建設業が必要になった」のではない。災害の有無に関わらず、地域と共存する産業として、地域建設業はその社会的責任を全うしてきたはずだ▼業界に向けられる視線も、以前と比較して好意的になったような気がする。ただし繰り返しになるが、変わったのは地域建設業それ自体ではなく、外部環境が一時的な変化を見せたに過ぎない。建設業の社会的存在意義が不変であるのと同時に、建設業を取り巻く本質的な課題は何一つ改善を見ることなく、ただ先送りになっているだけとも言える。

つむじ風3月9日

 東日本大震災からの復旧・復興事業が着実に進む宮古市。同市の田老地区を訪れると、新たな「道の駅たろう」を構成する様々な施設が形になっていた。飲食店や休憩所などが建ち、新しいまちなみの訪れを実感する▼道の駅の敷地内には、施設の全体完成イメージ図が掲示されている。現地の状況を図に照らし合わせると、多くの施設が建設されたことに気付く。子どもたちのグループが大人に付き添われながら、イメージ図を確認する姿も見られた▼田老地区には、震災遺構として保存された旧たろう観光ホテルがあり、ひと目で津波の脅威が分かる。同市では学ぶ防災などを通じて、津波の教訓や災害に対する備えの大切さを全国に訴えている。震災遺構の背後の山側には、同市が防災集団移転促進事業を導入して整備した高台団地も見える▼新たなまちの中核をなし、地域の特産品や観光資源、災害の教訓などの情報を発信していく道の駅たろう。国が整備する三陸沿岸道路などを活用し、イメージを具現化した完成後の道の駅に人々のにぎわいを描きたい。

つむじ風3月8日

 県溶接協会(小泉幹男会長)の県溶接技術競技会選抜大会が4日、花巻市内で開かれた。大会には、アーク・半自動溶接の部に20〜40歳の32人が参加し、全国大会出場に向け日頃研さんした技術を競い合った▼本県からは、かつて1994年にアーク溶接、97年には半自動溶接で国優勝者を輩出するほどレベルが高かった。過去形となっているのは、近年は本県ばかりでなく東北6県からの上位入賞者が少なくなっているためだ▼今大会では、初の試みとして事前に希望者を対象に審査項目のX線透過試験と曲げ試験を実施し、その結果を簡単なコメントとともに返却したという。当日、審査委員会の桑嶋孝幸委員長は、「個人的には3年以内に全国大会の上位に入ることができるように支援していきたい」と話している▼4月下旬に成績が通知され、全国大会は10月21・22日の2日間、横浜市で開催予定。全国レベルの大会では、ケアレスミスが大きな差となってしまう。会場の独特な雰囲気に慣れることは難しいが、目の前の競技課題に集中し、平常心で臨んでほしい。

つむじ風3月7日

 陸前高田市の高田松原地区に整備される「津波復興祈念公園」が、公園が計画される被災3県の先陣を切って5日、起工式を迎えた。今回着手する(仮称)国営追悼・祈念施設の基盤整備に続き、今後は園内全体で工事に向けた動きが加速していく模様だ▼式では、公園有識者委員会で委員長を務めた、中井検裕東京工業大学教授が、公園の意義について▽震災の記憶を世代を超えて伝えていく▽三陸、陸前高田の歴史的風土と自然の再生▽まちの復興を後押しし、世界に向けて復興を発信する│の三つを説明。式を節目に「造るだけでなく、共に育てる公園事業」が、大きく前進したことを語った▼式後、戸羽太市長は、「震災の教訓を伝承する公園が当市に整備されることに、責任を感じる」と述べ、将来にわたり防災文化を醸成する公園の意義、役割りに期待を込めた▼(仮称)国営追悼・祈念施設は20年度までの完成を計画している。追悼と鎮魂、復興の象徴として、広く市民に見守ってもらいながら、公園の価値を高め、震災の教訓を国内外へ伝え続けてほしいと思う。

つむじ風3月6日

 小池百合子東京都知事の政策の一つとして、都庁内保育所の「とちょう保育園」の開所が話題になった。民間事業者等における地域に開放した事業所内保育所の設置を促進し、待機児童解消を進めるためのシンボル的な取り組みとしており、都職員のほか近隣企業や地域からの乳幼児も受け入れる施設となっている▼保育所における待機児童の解消を課題に掲げる地域は多いと思われるが、トヨタ東日本では本県と宮城の同社敷地内に企業内保育所を開設することとしている。園児の募集開始時期は別途公表するとしているが、同社従業員だけでなく、工場の立地する工業団地内企業の従業員や近隣地域の乳幼児も受入対象とする予定となっている▼設置に際し、同社では地域の就業環境の向上と雇用促進の一助となればとしている。どのような運営がなされ、効果が出るか注目される▼一般企業における企業内保育所の設置が今後どの程度普及するか分からないが、乳幼児を抱える女性らも働きやすい環境の形成が望まれる。官民一体での効果的な取り組みが待たれる。

つむじ風3月3日

 宅配便大手が時間指定配達の一部取りやめなど、宅配サービスを見直すという。人手不足と現場の疲弊に対応した苦肉の策と思われ、報道を見ると残業の削減などによる労働環境の改善に取り組んでいく考えのようだ▼人手不足は建設業も負けていない。特にも50歳代が半数以上である本県は、現在第一線で働く人たちが全国平均よりも早くリタイヤすることになり、若手の確保と育成は待ったなし。若手を確保できない企業は、事業縮小や撤退を余儀なくされる可能性もある▼県土整備部では、労働力不足に対応した生産性の向上と担い手の確保、産業としての魅力アップなどを目指し、17年度からICT活用工事の試行を開始する。UAVによる3D起工測量やICT建機による施工など、ICTの活用に必要な経費を設計変更で計上するほか、工事成績評定でICT活用を加点評価する▼そういえば離島や過疎地における宅配にUAVを活用するとの話題もあった。いかなる業種も新技術の導入が不可避であるが、人の手に負う部分に産業の力が宿るような気もする。

つむじ風3月2日

 昭和22年9号台風、別名「カスリン台風」。日本に接近してきた時点で台風自体の勢力はすでに衰弱していたものの、台風接近により停滞前線の活動が活発化。県内では大雨により北上川が氾濫し、一関市を中心に大きな被害が発生した▼特に関東の被害がすさまじく、群馬・栃木の北関東2県だけで死者・行方不明者は1100人以上に達したという。死者・行方不明者は全国で1900人以上、負傷者1500人以上、住家損壊9200棟以上、浸水38万4700棟以上にのぼった▼本県では、5大ダムの建設や計画的な護岸、それに一関遊水地の整備などで、北上川が当時のように大規模に氾濫することはなくなった。だが多発するゲリラ豪雨により、川幅が狭く流下能力の低い中小河川で、毎年のように浸水被害が発生している▼今年は、カスリン台風から70年の節目を迎える。長らく洪水が発生していない地域では、安全性への過信から危機意識が欠如しているケースも見られる。過去の災害を振り返りつつ、いずれ発生する洪水への対策を万全にしたい。

つむじ風3月1日

 国土交通省は、小型無人機(いわゆるドローン)を使用した荷物配送の実現に向け物流用ドローンポートシステムの検証実験を行う。今月3日には、長野県で荷物輸送実験を予定している▼実験では、同県伊那市で物流用ドローンポートの各システムのサポートで一連の荷物輸送の流れを検証。道の駅南アルプスむら長谷を出発し、高度50bで高齢者宅までの片道400bほどを往復飛行する。機体に搭載する荷物は、商品として雑穀500cという▼70年以上前に開発されたドローン。当初は軍事目的で開発が進み、後に日本では主に農薬散布に利用されていた。現在は、手頃な値段で購入できることから子どもから大人までおもちゃ感覚で遊ぶことができるほか、動画や画像を撮影して楽しむこともできる▼災害時には、人が入れない場所に入り、状況を把握。災害復旧対策に活用されるほか、ドローンからの映像や画像が住民に説得力を与えることは、台風10号災害時に証明されている。単なる動画や画像として記録するばかりでなく、大きな可能性を秘めている。

つむじ風2月28日

 東日本大震災で被災した沿岸市町村では、来年度の当初予算案がほぼ出そろい、案の内容が示された。来月11日で震災から丸6年が経過する中、各地のまちづくりは再建事業の推進と並行し、復興後を見据えた取り組みにも力点が置かれていくことになる▼17年度当初予算案では、被災地の多くの自治体で復旧・復興が終盤の局面を迎え、震災関連予算が減額。一方、市街地が大きく被災した大槌町、陸前高田市では土地区画整理事業など基盤整備のさらなる進捗に向け、予算が増額した▼市役所など大型施設の復旧事業が残る自治体もあり、終盤とは言え、防潮堤や水門、道路、公共施設の整備は震災7年目も各地で継続・加速化が図られていく見通し。インフラが一斉に構築される中で、整備後の中長期的な維持管理のあり方を考えることも重要度を増している▼にぎわい創出に向けた動きは来年度、核となる商業施設等が供用を迎えるなど、大きく前進する模様。持続的なまちの形成を支える原動力として、中心部の魅力づくりも進展させていく必要があるだろう。

つむじ風2月27日

 この週末は、どのように過ごされただろうか。先週の金曜24日は、初のプレミアムフライデーとなった。今月から各月末の金曜日は午後3時をめどに仕事を終えることを奨励するもので、買い物や旅行などに時間を充てることで個人消費の増につなげることや長時間労働の是正など働き方改革にもつなげる狙いがあるとされる▼政府や経済界が提唱するキャンペーンで、建設企業でも取り入れるケースがあるようだが、本県のような地方、さらには中小零細企業でどの程度実行しただろうか。さまざま課題も指摘され、果たして今後定着していくか注目される▼プレミアムフライデーを実行するまでとはいかなくても、月に決まった回数は「ノー残業デー」にしたり、半日でも有給を取得しやすいよう促していくことは、良い職場環境を形成することにつながるだろう。現場で労災の軽減につながることも期待される▼今週から3月に入り年度末となる。工期が迫っている現場もあるだろうが、働くときは作業に集中しつつ、休息や気分転換も大事にして作業に当たりたい。

つむじ風2月24日

 本紙はきょう2月24日、創刊60周年を迎えた。読者の皆様からの叱咤激励を糧に、皆様に役立つ紙面づくりに精進していきたい▼10年前に創刊50周年を迎えたのは増田県政下、原則すべて条件付一般競争入札とする県の入札制度が確定した直後。本欄を振り返ってみると、厳しい価格競争の到来に始まり、三位一体改革の遅れ、市町村合併、自治体の破綻などにも触れ「地方解体が進められている」と訴えている。少々大仰にも思えるが、増田寛也氏が座長を務める日本創生会議が、後に「地方消滅」なる流行語を生み出したことを考えると、偶然ながら何やら暗示的でもある▼足元の業界動向を見ると、東日本大震災などの災害を経て建設産業の社会的意義が再認識され、復興需要に伴い一定程度の事業量も確保されているが、基本的な構造は当時と何ら変わっていない。数少ない光明は「企業を減らせ、人も減らせ」から、若者や女性をはじめ担い手の育成に目が向けられるようになったことか。本紙も業界と足並みをそろえ、次世代の県土を支える人づくりに貢献したい。

つむじ風2月23日

 東北地方整備局三陸国道事務所は、東日本大震災からの復興のリーディングプロジェクトとして、三陸沿岸道路や宮古盛岡横断道路の整備を進めている。本県の横軸に当たる宮古盛岡横断道路「宮古箱石道路」では、工事を本格展開中。地元・宮古市の箱石地区住民は25日に現場見学を実施する予定で、(仮称)新箱石トンネル(延長1493b)の掘削状況などを見学するようだ▼見学会では、ドリルジャンボによる削孔状況デモンストレーション、防水シートへの記念サイン、発破、切羽での記念撮影などを行う。道路への親しみを感じられるような企画になるだろう▼宮古盛岡横断道路などが完成すれば、地域を結ぶネットワークが強化される。同市においては、川崎近海汽船鰍ノよる宮古港〜室蘭港間のフェリー航路開設などの明るい話題もあり、交流・物流の活性化も期待されている▼26日には同市魚市場特設会場で、宮古毛ガニまつりの催しも。復興の応援隊として現地での買い物などを楽しみながら、宮古市〜盛岡市間の道路が出来上がる姿を見つめてはどうか。

つむじ風2月22日

 東日本大震災から6年を目前に控え、先日18日、東京都内で開かれた「風化させない・忘れない」シンポジウム。会場には約700人が来場し、今後全国各地で想定される災害にどう生かすか探った▼日本であれば、地震というと、地面が震動する現象であることは経験的に誰でも知っているであろう。世界的に見れば、地震がほとんど発生しない国もあり、シンポジウムに参加したタレントは、来日して初めて地面が揺れることを経験したという▼シンポジウムを通して、改めて感じたことは「伝える‖伝わる」ではないということ。経験や教訓をどれだけ声高らかに時には声を荒げ、真剣に、同じことを何回も伝えようとしても、伝わらなければ、同じことを繰り返してしまうだろう▼東日本大震災の経験や教訓は、文字をはじめ映像、記憶などいろいろな形で残されている。それらの経験や教訓は、風化させてはならないし、忘れてはならない。伝えれば伝わるわけではないが、伝えなければ伝わらない。これからも、その地道な活動を続けていかなければならない。

つむじ風2月21日

 陸前高田市の新たな中心市街地に整備を計画する(仮称)市民文化会館。今月上旬には設計業者も決まり、今後、19年度の完成に向け事業が本格的に動いていく▼施設は震災で全壊した市民会館と中央公民館の機能を併せ持つもの。ホールの設置をはじめ、日常的に使える集会・練習・学習活動の場、さらに市民の憩いの場、交流・協働の場などとして活用できる機能を備える計画となっている▼施設の建設用地隣では、図書館・大型商業施設の複合施設も整備中。複合施設の名称も「abasse TAKATA(アバッセたかた)」に決まり、4月27日の開業に向け、急ピッチで工事が進められている。図書館の規模は、木造平屋の床面積894・73平方b。蔵書可能数は9万冊で、一般閲覧室や児童・幼児コーナー、ウッドデッキの読書テラスなどが設置される▼徐々に復興事業が形になっていく市中心部。にぎわいを取り戻す核として、市民の期待も大きいだけに、完成後のハードの生かし方や、誘客を図る仕掛けづくりについても検討しておく必要があるだろう。

つむじ風2月20日

 例年、2月に入った時期から、役所などに行くと駐車場が混み合っていることも多い。確定申告の時期を控え、納税の相談や各種証明書の発行などに訪れた人が多いと見られ、高齢運転者標識を付けた車両も多く目にする。中には突然の停止、前進や後進にドキッとさせられることもある▼高齢運転者による交通事故が、相次いで発生している。アクセルとブレーキを踏み間違えるなどの操作ミス、判断ミスなどで歩行者や店舗への衝突、逆走などで死亡者が発生するといった重大事故も多い状況となっている▼各産業において、従事者の高齢化は喫緊の課題となっているが、重機をはじめ各種工具を扱う建設業において操作や判断ミスは、重大災害につながってしまう。高年齢労働者に関しては、特にも日ごろから注意を払って作業することが必要だろう▼高年齢労働者の場合、加齢に伴う心身機能の低下なども事故を起こしやすい要因となる。作業方法の改善、健康の保持増進、快適な職場環境の形成、安全衛生教育の実施などの対策に取り組み事故防止に努めたい。

つむじ風2月17日

 岩手労働局では先ごろ、県内建設業一斉監督の実施結果を公表した。今回の一斉監督では、従来の労災防止対策に加えて、建設現場の労働時間管理に関する点検も行った▼123現場中、違法な時間外労働は2現場、1カ月当たりの時間外・休日労働が80時間を超過しているのが2現場、100時間を超過しているのも2現場。これが多いか少ないかは分からないが、過重労働に対する目が厳しくなっている昨今、何らかの対応が求められるだろう▼同局は長時間労働への対応を、17年度における働き方改革の重点課題の一つに掲げており、労働災害の防止には健康管理も含めた総合的な対策が必要と指摘。復旧・復興工事を対象としたパトロールの場などでも、健康障害につながりかねない過重労働解消への呼び掛けを強めている▼労働時間の短縮や休暇の確保は、受注者の努力だけでは不可能であり、発注者の理解と協力が不可欠。台風10号の本格復旧も近くスタートする。過重労働を回避しながらの早期復旧の実現へ、官民の双方で最適解を探っていく必要がある。

つむじ風2月16日

 自分たちの住んでいる地域には、小・中学校はもとより、公民館や児童センター、老人福祉センターなど多くの公共施設がある。子供会や夏祭りなど、さまざまなイベントが開催される▼橋梁やトンネルなどの土木施設と同様に、公共建築物も修繕の時期を迎えている。盛岡市などの都市部では施設数も多く、計画的に手を入れていかなければ施設の傷みが激しくなるばかりだ▼しかも各施設が建設された当時と比べ、人口構成も求められる社会的なニーズも大きく異なっている。建物自体の修繕とともに、現在のニーズに合わせた施設内部の改修、さらには施設の再編も必要になってくる▼盛岡市の17年度予算案が公表された。一般会計の総額は3・2%減の1076億6000万円。8年連続で1000億円台を確保したものの、普通建設事業費は14・2%減の123億1264万8000円となっている▼建設関連事業を見ると、公共建築物の長寿命化に向けて、新規で多くの施設の複合化・大規模改修事業が盛り込まれている。本格的な維持管理時代の到来を感じる。

つむじ風2月15日

 電話、メール、読書、カメラ、目覚まし、地図、財布、計算、スケジュールや書類の作成・確認…。音楽・映画鑑賞に加え、暇つぶしの単純なゲームから本格的なゲームまで。手の平サイズのスマートフォンにどれだけの機能があるのだろうか▼世界初のコンピューターと言われるENIAC(エニアック)が完成し公表されたのは、今から約70年前の1946年のきょう。重量は約28d、大きさは幅24b×高さ2・5b×奥行き0・9b。内部には、真空管が1万7800個余も使われていたという▼現在のスマホのサイズを見ると、縦が12a、横が6a、厚さが1a、重量は100cほど。重量を比較すれば、普通車30台分が、大きめのボトル1本ほどに。処理能力を見ると、数値だけを比べるとスマホの方が30万倍も早く動作する▼これまでは性能や大きさが注目されたが、本体であれば数千円のコンピューターが売られるようになった現在。これからは、身近な存在となったコンピューターと何を組み合わせるかを考えることが求められているのではないだろうか。

つむじ風2月14日

 陸前高田市の高田松原周辺に設置される津波復興祈念公園では、(仮称)国営追悼・祈念施設(国営施設)で、基盤整備の入札が終了。国営施設は2020年度の供用開始を計画しており、今後、工事が本格化していく▼「奇跡の一本松」の北東部に、10fほどを確保し設置される国営施設は、園内の中核となるもの。施設内には、津波の方向を象徴する軸線上に、両側になだらかな築山を配した切通し空間や、芝生の追悼広場、防潮堤第2線堤上には「海を望む場」を設ける計画となっている▼高田松原周辺では、昨年12月に防潮堤が概成。第1線堤と第2線堤の間には、震災の津波で流出した松原も再生する予定で、現在、試験植栽や植生の基盤整備が進められている。今春からは本格的な植栽ができる運びとなっており、5月には記念植樹会も開かれる予定だ▼地元を代表する「名勝高田松原」の再生とともに、次のステージに入っていく公園事業。地域住民と一体となった整備を進めていくことで、松原の美しさにマッチした公園になっていけばと思う。