7月のコラム集
つむじ風7月27日

 想定外の大雨は、いつ襲ってくるか分からない。梅雨前線の影響で22、23日に降り続いた雨は、秋田県内陸部を中心に河川が氾濫し、各地に甚大な被害をもたらした。本県でも断続的に雨が降り続き、北上川などが増水。避難情報を知らせる携帯の警告音が鳴り続いた▼幸いにも本県では、23日午後2時ごろをピークに四十四田ダムへの流入量は減少した。ただ最大時の流入量は毎秒670立方b。23日早朝から防災操作を開始し、東京ドーム5個分に当たる約590万立方bをダムに貯め込んだという▼これにより下流の館坂橋付近で0・56b程度、北上川の水位を低下させたと推定されるという。これを加えれば、最大時の水位は2・95bとなり、はん濫水位の2・8bを超える。御所ダムも同様で、ダムによる水位低減効果は2・28b。ダムがなかった場合の想定水位は4・99bになるという▼今年は、カスリン・アイオン台風から70周年。歴史を振り返れば、5大ダムの建設と河川改修が、いかに県民の安全・安心に重要な役割を果たしてきたかが分かる。

つむじ風7月26日

 高校1年生の夏目理子ちゃん。朝起きて学校に、コンサートに…。日常の中に、建設技術はいくつあるだろうか。来月10日に東京で、建設専門紙と大学が主催し、国土交通省が後援するイベント「わたしが住むまちをデザインする仕事」が開かれる▼イベントでは、建設産業界の仕事が、実はさまざまな場面で貢献していることを中高生に気付いてもらうのが最大の狙いであり、目的でもある。25社の技術者が模型やパネルなどを使って紹介し、女子の理工系進学の後押しを目指す▼いつもは穏やかに流れる北上川。先日の大雨で、水位が増し大きな塊が流れる川に一変。それでも、一例だが、上流からの水量を調節するダムや流れに耐え洗掘されない橋梁などにより、デザインされたまちのまま存在している▼建築・土木工作物を作り上げるためには、コンサルや専門工事業など多くに支えられている。これからは、完成後の適切な維持管理という視点も重要になってくる。本県の理子ちゃんにも、建設産業の裾野の広さを知ってもらう機会があってもいいのではないだろうか。

つむじ風7月25日

 仕事で高速道路を使う機会が多いが、最近、心なしか車線変更時にウインカーを出さない車が増えたような気がする。薄暗い夕暮れ時などは、特に危険。走行時は注意したい▼一般道でも今月に入り、右折レーンにいた車が、いきなり左折したり、完全に赤信号に変わっても、強引に交差点を渡る車に遭遇。急いでいたにせよ、一歩間違えば重大事故を招きかねない行為だ。自分の運転が「慣れ」や「過信」、身勝手なものになっていないか、もう一度見直していきたい▼建設企業の安全大会では、安全衛生活動の重点課題として労働災害とともに、交通事故の防止も呼び掛けられている。大会で警察署側は、事故発生の時間帯として午後4時から午後6時までの薄暮時が最も多いと説明。事故の原因として油断や強過ぎる優先意識を挙げ、危険を予測する「かも」運転を励行するよう指導していた▼運転時の軽微なルール違反も、社会に蔓延していけば、最終的には重大事故につながるはず。事故の発生を抑えるためにも、業界全体で法令順守を訴えていく必要があるだろう。

つむじ風7月24日

 地元の悲願となっている一関市大東町と陸前高田市にまたがる国道343号の新笹ノ田トンネルの事業化実現。先日、市の要望や期成同盟会の取材をしていて、改めて路線の重要性などを感じさせられた▼事業化の実現に関しては、県議会でも話題になったと聞く。その際には、「まずは杭を打ってみてはどうか」との声も上がったようだ▼事業化を求め、14年には一関、大船渡、陸前高田、住田の4市町、各商工団体らで署名活動を行い、9万人を超える署名簿を県に提出。署名活動の中心となった一人が、県建設業協会長や一関商工会議所会頭などを務めた宇部貞宏さん。宇部さんが逝去されて、先週末で丸2年となった▼先日、宇部さんの音声データを改めて聞き直す機会があり、その中に新笹ノ田トンネル整備の実現を県に要望した際のものがあった。通年、安全・安心に通行できる路線整備の重要性を訴えたほか、「国交省代行による整備を考えてもいいのでは」と提案されていた。事業化へまず、アクションを起こすことが必要と思われ、動きが注視される。

つむじ風7月21日

 原則全ての工事を条件付一般競争入札とする県の入札制度がスタートして10年。現行制度の導入に当たっての実施事項を順に見ると「競争性・透明性・公正性の確保」「談合等不正行為の排除の徹底」「価格と品質に優れた調達」「技術と経営に優れた建設業へ」「その他」の並びとなっている▼これを額面通りに読み取れば「競争性の確保と不正行為の排除は、高品質な社会資本の提供や建設業の健全な発展に優先する」となる。06年に福島、和歌山、宮崎の3県知事が官製談合の疑いで逮捕され、本県では「岩手談合事件」の審判が行われている最中であったことから、当時の社会的要請に適応した制度改革だったのだろう▼社会資本の老朽化対策、各地で頻発する大災害、担い手三法を踏まえた生産性向上や働き方改革など、建設業を取り巻く社会情勢も大きく変化している。県の幹部職員が企業経営や担い手の育成確保への影響について言及するなど、当時では考えられなかったことだ。この問題意識を、いかに制度改正に反映させるか。前向きな対応が期待される。

つむじ風7月20日

 宮古市は、スポーツ振興の拠点となる同市赤前地区の宮古運動公園を再建した。落成式の当日は晴天。降り注ぐ日差しの中、多くの市民が足を運び、笑顔で施設の完成を祝っていた。同公園は市民の競技力の向上を支え、自然景観を生かした憩いの場となる▼山本正?市長は「宮古市に新しい息吹をもたらすもの」と話し、交流の促進などにも期待を込めた。同公園の災害復旧に当たっては、シンガポール赤十字社など3団体から寄付や整備支援を受けており、各団体の代表者らに表彰状を伝達し感謝を伝えた▼東日本大震災で全壊した同公園は宮古湾の近くに位置し、全体の敷地面積は約16・1f。復旧概要として、野球場は中堅120b・両翼97b、グラウンド面積1万2919平方bからなる。陸上競技場はブルートラックの全天候走路(400b、8レーン)だ▼復旧記念として、今月末にプロ野球の公式試合の開催も予定される同公園。今後も完成した施設を生かして多くの人を呼び込み、震災復興のステージにある今のバトンを地域の振興・未来に手渡してほしい。

つむじ風7月19日

 数人が集まり対戦や談義している光景を目にする。カードで膨らんだファイルを手にしているのは、子どもばかりではなく大人も。収集、鑑賞、対戦など、名刺サイズのカードには不思議な魅力がある▼対戦はできないが、公共が配布するカードは根強い人気がある。全国展開しているのはダムやマンホールだろうか。このほか、土木学会北海道支部の北海道選奨土木遺産カードや港、橋、小水力発電、発電所のほか、アンテナや文化遺産のカードも▼本県関係では、国管理の四十四田・田瀬・胆沢・御所・湯田の5ダムのほか、県管理の綱取・滝・入畑・早池峰・日向・綾里川・鷹生・遠野・遠野第二の9ダムでもダムカードを配布中。花巻市ではマンホールカードを配っている。いずれも現地で入手可能だ▼湯田ダムの水位が下がる時期に出現する貯砂ダム・錦秋湖大滝。現在、施設を開放中で、8月にイベントを開催予定。同11日からは、全国初となる「貯砂ダムカード」の配布を開始する。イベントや水のカーテンを楽しむとともに、現地でレアカードを手に入れたい。

つむじ風7月18日

 地元の長年の悲願だった国道4号の金ケ崎町内の拡幅事業が今年度から着手となり、先日は土地所有者を対象とした測量・地質調査に伴う土地立ち入り説明会が開催された。出席した土地所有者からは立ち入りが了承され今後、出席できなかった残る土地所有者の同意を得た上で、現地での作業に入っていく見通し▼席上では、拡幅の完了時期に関して質問が出るなど、早期の完成が期待されているのが感じられた。順調にいけば、今年度で予備設計に入る見通し。予備設計が固まった後、来年度以降に設計内容を地元説明して、その後は用地関係の作業に入っていくこととなる▼長年要望されていた個所で、土地所有者も協力的と思われるが、公共事業では補償がらみで交渉が難航するケースも見られる。金ケ崎拡幅事業では、260人ほどの土地所有者がおり、丁寧な交渉が願われる▼今回の事業区間内で実施された三ケ尻交差点改良事業では、用地交渉が順調にいったことで、事業が早期に完了となったと聞く。4車線化の早期実現へ作業の順調な進捗が望まれる。

つむじ風7月14日

 完全週休2日制の本格導入について、業界側も概ね前向きな反応を示しているようだ。発注者に対して「弊社では導入するつもりはありません」と面と向かって言える会社は少ないだろうが、その部分を勘案しても、休暇の確保は若年者の雇用における重要な要素であることに変わりはない▼一方で「手取りが減る」として、日給月給制のベテラン作業員にとっては、ありがた迷惑という意見もあるようだ。そこを踏まえた上で週休2日を断固進めるならば「若年者の雇用を進めるため、建設業の現場を長く支えてきた皆さんは我慢してください。嫌なら辞めてください」と言うしかない。もしくは企業側が休日分を上乗せして給料を払うかのどちらかだ▼どうやら週休2日制は、若手の入職を進めて建設業界全体を活性化させるという本来の目的に加えて、企業間格差を拡大させる効果もありそうだ。建設産業は事業形態や企業規模など多様性に富んでおり「対応できない企業は社会的要請に応えられない以上、淘汰されてやむなし」と簡単に切り捨てて済む話ではない。

つむじ風7月13日

 平成の大合併により、盛岡市の東隣は海に面する宮古市、岩泉町。ただ「隣町は海」という実感は全くない。宮古の中心部まで車で約2時間。はやぶさなら、大宮あたりだろうか▼それでも計画的な道路整備により、昔に比べれば盛岡│宮古間の走行時間は大幅に短縮している。以前は連続カーブが続き、常に車酔いに見舞われた。現在は区界峠に登坂車線もあり、凍結時以外は比較的スムーズに通行できる▼復興道路の全区間の整備が完了すれば、盛岡│宮古間は90分圏内となる。都南川目道路では、区間最長の手代森トンネルが14日に貫通式を迎える。同道路は、すでに2・6`が部分供用されており、19年度に全線開通すれば利便性は一気に向上する▼同道路を含め復興道路整備は精力的に進められているが、昨年の台風10号で国道106号は河川の増水により、一部区間が崩壊。迂回を強いられ、緊急医療や経済に大きな影響を与えた。国道106号は宮古│盛岡│秋田を結ぶ大動脈の一部。全線が災害に強い道路として整備されるように、国による直轄管理を望みたい。

つむじ風7月12日

 「宇宙から見ると地球は水の存在によって丸く青く輝く大きな水球のように見えます」。日本水大賞委員会の毛利衛委員長は、16年の日本水大賞のあいさつの中で記し、「この惑星で生まれた生きものは、すべてこの水から成り立っている」とも▼同大賞は、同委員会と国土交通省の主催。国内で水環境におけるすべての団体、個人の研究活動を対象にした唯一の賞。大賞以下、水行政に関わる6省すべての大臣賞を設けている。現在、第20回となる大賞を募集中だ▼第17回では、本県の宮古工業高機械科の津波模型班がグランプリに選ばれた。同校では、津波災害を風化させてはならないとの思いから、05年に津波模型の製作を開始。10年間で11基完成させ、疑似津波の実演回数は100回を超えているという▼毛利委員長は、「地球の表面は重力による水の流れで長い時間をかけ変化。ありとあらゆる生きものも、自然環境に適応するように体の形を変えてきた」とも。大賞で報告された成果により、水に対する知恵が蓄積されるばかりでなく、考えも変えようとしている。

つむじ風7月11日

 新たな市民体育館を鵜住居地区に建設する計画の釜石市。今月にも設計の発注に向け動き出す模様で、18年6月ごろの着工を目指し準備を進めていく方針だ▼桜木町にあった旧市民体育館は、老朽化に加え、震災の影響で安全に利用できない評価を受けたことなどから、13年に解体。市では新施設をJR山田線鵜住居駅西側に移転・新築により、災害復旧することとし検討を進めてきた。規模は旧施設と同程度とする考えで、延べ床面積で3516平方bほどを想定している▼新施設は、2019年のラグビーW杯の開催に合わせ、同年8月の完成を目指す。建設場所の周辺には、追悼施設や津波伝承施設、観光交流施設が計画されているほか、山側高台には今春、学校施設が新設。東側ではラグビーW杯の会場となるスタジアムが整備中となっている▼新たなまちづくりが進む鵜住居地区の体育館として、スポーツや健康増進だけでなく、隣接施設との相乗効果も期待されている。さまざまな施設をつなぐ市民交流の結節点として、釜石の復興を支えるものになればと思う。

つむじ風7月10日

 梅雨入りし県内は、先週までは雨量が少なく暑い日々が続いている。雨の日の少ないことを望む方が多数派かもしれないが、雨量が少ないのが大打撃となる部分もある。結局は、平年並みが最も望ましいということか▼ここ数年は、毎年のように梅雨時期に豪雨による災害が発生する地域が発生しているが、今シーズンも九州北部で記録的な豪雨に見舞われ、死者も発生している。梅雨時期には、全国のどこかで豪雨に見舞われるのが「平年並み」になってしまっている感すらある▼「災害は忘れたころに起きる」とよく表現されるが、毎年のように発生する豪雨災害により忘れることはないものの、豪雨が頻繁に起きることで、災害に対する備えや危機感が麻痺してしまう危険性もはらんでいる気がし、避難等の周知徹底が求められる▼当然、ハード面の整備も重要な要素となる。近年の大雨災害では、「かつて経験したことのないような」との表現が用いられるのも目にする。今後の防災施設は、想定を超えるような雨にも耐えうるくらいのものが必要な気がする。

つむじ風7月7日

 県測量設計業協会は今年度より、ICT活用工事をはじめとするi│Constructionへの本格的な対応をスタート。技術委員会の中に専門部会を立ち上げた。県でもICT活用工事の試行が始まったことを受けて、各種課題に関する調査研究などを行い、地元コンサルにプラスとなる方向性を模索する方針だ▼ICT活用工事の普及拡大に伴い、業際間の競合を懸念する声が建設業とコンサルの双方から聞かれる。建設業は「コンサルと建機メーカーが上下流を押さえ、地元建設企業の存在意義が無くなる」、コンサルは「ICT活用工事を受注した建設企業が、測量設計から全てを自前で行うようになる」と、危機感を募らせている▼最終的には両者の境界線が流動化し、建設産業の再編につながる可能性を指摘する声もある。ICT活用工事が現在の黎明期から過渡期に至る段階で、地方のコンサルや建設企業、そして現場で働く人たちに犠牲を強いるようでは本末転倒だ。各業界団体が連携を図りながら発注当局と協議し、最適解を見出していく必要がある。

つむじ風7月6日

 東北地方整備局三陸国道事務所が整備を進める三陸沿岸道路の「宮古田老道路」。区間内に設ける13本のトンネルのうち、12本目の(仮称)山口第1トンネル(延長406b)の掘削工事に本格着手した。残る1本の(仮称)千徳トンネル(426b)は公告中。半数以上のトンネルは完成した▼宮古田老道路は、東日本大震災後の11年11月に事業化となった区間。宮古市松山の宮古中央インターチェンジ(IC)から、同市田老字小堀内の田老北ICまでを結ぶ延長約21`の自動車専用道路となる。北側の約4`区間(田老第2IC〜田老北IC)は17年度の開通予定で、残る約17`(宮古中央IC〜田老第2IC)は20年度の開通を予定している▼同市は三陸沿岸道路を生かし、田老地区において、道の駅を核とした通過されない魅力あるまちづくりを展開中。宮古港・室蘭港を結ぶフェリーとの連携を見据えるなど、整備効果への期待も大きい▼確実に見えてきた道路の姿。観光ポイントが連なる三陸沿岸地域を訪れながら、復興を体現する道路も見つめてはどうか。

つむじ風7月5日

 先日開かれた遠野市総合教育会議で、市内の高校生が提案した「学びの場づくり」構想が紹介された。同構想は、「地域の活性化に必要な若い力を伸ばす」をコンセプトにしている▼学びの場とは、授業でも部活でもない「第3の学びの場」。具体的には▽市内だけでは限られる情報や体験を提供▽学校外で集中して学習できる施設▽遠野の地域の特色を生かした自習室│を例示。中高生が地域を発展させる人材となるために、夢や職業について知る機会、普段の自学自習の環境づくり、戻ってこられるまちづくり│が必要と提案する▼建設産業界が抱える人手不足や若者離れ…。国土交通省は、i│Constructionを掲げ、ICTの全面的な活用や施工時期の平準化などを図るとともに、働き方改革として週休2日を進め、魅力ある建設現場づくりを進めている▼ICTや週休2日は、魅力ある業界づくりに向けた手段であることを忘れてはならない。「公共工事」という枠を設けた取り組みでは、現代の若者にはすぐに見透かされるのではないだろうか。

つむじ風7月4日

 釜石市の鵜住居地区に整備が計画される追悼施設「祈りのパーク(仮称)」。先月末の整備推進委員会では、レイアウトの最終案がまとまり、今月、検討結果が野田武則市長へ報告される▼会では、検討の最終段階で委員の中から、「誰のために何の施設を造るのか。デザインの話になってしまって、大事な事を置き去りにしているのではないか」と、慰霊される側から考える必要性について声が上がり、まとまりかけていたレイアウトを再考。意見を受けて修正を加え、今回、最終案を会で了承した▼案では、盛土して小高い丘を造り、丘の上に「祈りの場」を設置。丘の上には碑も建て、碑までの高さで到達した津波高11bを示す。中央部の窪地には、犠牲者の芳名板を配した「慰霊の場」を整備。「慰霊の場」から海側の方向へ、「祈りの場」に上る階段も設置する▼「祈りの場」には、防災市民憲章も示す方針。亡くなられた人を追悼するとともに、震災の記憶と経験を後世に伝える気持ちを新たにする場として、釜石の防災文化を発信する施設になればと思う。

つむじ風7月3日

 平泉の文化遺産が世界遺産に登録されて6年を迎えた。当時は、東日本大震災が発生した11年で、久々の明るいニュースに、震災からの復興に向けた大きな力となるような出来事だった▼この6年間で、平泉を訪れる観光客は、海外からは増加しているものの、全体では12年をピークに減少傾向にあるようだ。観光客の動線に関しては、中尊寺や毛越寺といった知名度の高い個所は訪れるものの、他の史跡などは訪れていない傾向にもあるといい、周遊ルートを充実させることなどが課題とされている▼平泉町内をはじめ、北東北の観光周遊誘導情報発信の拠点として位置付ける道の駅「平泉」の機能の発揮が期待される。ほかにも町内には、世界遺産登録による観光客の増加を念頭に、平泉停車場中尊寺線での歩車共存道路や東北自動車道平泉スマートICの整備といった事業も展開されている▼世界遺産では、骨寺村荘園遺跡などの追加登録も目指されており、周遊ルートの充実はさらに重要となる。事業が進む公共施設も生かし、観光客の増加への取り組みが期待される。

つむじ風6月30日

 県電業協会と県電気工事業工業組合は毎年度、県内の工業高校や県立産業技術短期大学校に対して実習用資材の寄贈を行っている。7月下旬に行われる第2種電気工事士の実技試験に向けて、7月の上旬から中旬にかけて10校を両団体の支部関係者が訪問。生徒らに資材を手渡している▼この取り組みは08年度のスタート。当時は銅資源が高騰していたこともあり、実習に用いる資材が不足しないよう、現場から回収した余剰電線や配線器具を寄贈したもの。最近では新品のケーブルを寄贈するケースも増えているが「現場で使った資材から現場の様子を感じることができ、勉強になった」といった声もあったそうだ▼建設産業における若年労働者の育成確保が喫緊の課題となっており、様々なイベントを通して若者の目を建設産業に向ける取り組みが展開されている。両団体が行う資材の寄贈は決して派手とは言えない。しかし高校生らの資格取得の支援という地に足の付いた活動を、これだけの長い期間にわたって続けてきたこと自体に、大きな価値があると言える。

つむじ風6月29日

 早期復興へのリーディングプロジェクトとして整備が進められている復興道路・復興支援道路。全体550`のうち、開通済み・開通見通し公表区間は約9割に達している。そのうち開通延長は約268`。震災後に14区間約108`が開通している▼東北横断自動車道釜石秋田線では、順次開通している中で釜石−花巻間の所要時間が約20分短縮。それと伴に交通量も増え、利用交通量は約4割増加している。そのほか釜石港のコンテナ取扱量・利用企業の増加や企業の増設・新設、工業団地の拡張決定−など効果が現れているという▼観光面でも世界遺産の平泉から、遠野、釜石方面への観光客が増加。16年には平泉から釜石への立ち寄り客が約1万人増加したほか、「遠野ふるさと村」への外国人入館者数が約400人と前年の2倍になったとか▼19年には釜石でラグビーW杯も開催される中、復興道路の整備も加速し、高速交通網は点から線へとつながっていく。同時に県内の観光地も周遊観光の促進に向けて、点から線となるよう連携を深めていかなければならない。

つむじ風6月28日

 かつてのにぎわいを失ってしまった日本の水辺の新しい活用の可能性を創造していくプロジェクト「ミズベリング」。ミズベリング花巻会議の初会合が25日に開かれた。同会議では、同市にあるイギリス海岸をテーマに意見が交わされた▼同日は、国土交通省水管理・国土保全局の職員が参加。水辺の利活用に関し「コマンド入力で答えが出るものではない」と指摘。河川管理者も挑戦していることを話し、「国交省はこれまでの認めるという立場から、『ともに関わる』に変わってきている」という▼水辺利活用のポイントとして、「どう使うか」から考えることを第一に掲げた。流域の中での多様性や、得意分野が違う人を集めれば実現できることが増えるとか。さらに、成功体験を積み重ね、できることを増やすことの大切さも挙げた。水辺に限らずヒントが隠されているのではないだろうか▼会議では、30分ほどの意見交換の中で多くのアイデアが出された。これからも、意見を川し(交わし)ながら、川いい(良い・可愛い)という視点も忘れずに取り組んでほしい。

つむじ風6月27日

 25日に長野県南部で起きた最大震度5強の地震。余震が相次ぎ、落石や建物への被害なども伝えられている。本県にとっても、地震災害は対岸の火事ではない。有事に迅速に対応できるよう、備えを万全にしていきたい▼震災で被災した沿岸部では新たなまちづくりが進んでいるが、新設された建物内や周辺の道路には、災害時の避難場所を示す掲示・標識が設置されている。今後はラグビーW杯に向けたスタジアムや、津波復興祈念公園など、国内外から人が集まる施設も増えてくる。ひと目で分かる避難経路など、万人が理解できるようなサインの在り方についても、内容を詰めていく必要があるだろう▼避難経路の周知徹底の重要性は、復興工事の現場においても同様だ。海沿いでは湾口防波堤が完成、概成してきたとは言え、防潮堤や水門などは未完の部分もまだ多く、作業員にとって津波への備えが必要であることに変わりは無い▼全国安全週間の取り組みを機に、災害発生時の避難場所や、そこへ向かう現場からの経路について再度、確認しておきたい。

つむじ風6月26日

 この頃、高速道路を走行していると工事や草刈りなどで走行が1車線に規制されている場面によく遭遇する。先日までは、水沢IC│平泉前沢IC間で大規模橋りょう補修工事が実施され、約4`が昼夜連続1車線通行規制となった▼片側2車線だったのが1車線になった途端、渋滞を引き起こすことも多い。規制になっていることに気付かず走行車線を変更しなかった車両が列を連ねているのも要因の一つだろうが、片側2車線の路線の重要性について改めて気づかされる▼本県の交通の大動脈である国道4号。4車線化が進んできているが、長年要望が出ているものの4車線化への事業化に関して、めどが立っていない個所も多く見受けられる。中には、将来の4車線化に向けて、その分の用地に関してはすでに確保している個所もある▼交通の円滑化に向けて、要望個所などの4車線化の早期実現が願われる。高速道路が通行止めになった際、国道4号は補完道路の役割も果たすが、その際には大渋滞に見舞われる。さまざまな実情を勘案しての事業化を期待したい。

つむじ風6月23日

 今年で90回目を迎える全国安全週間。今年は「組織で進める安全管理 みんなで取り組む安全活動 未来へつなげよう安全文化」をスローガンに掲げ、経営トップの明確な方針の下で店社と作業所とが緊密に連携して安全水準の一層の向上を目指し、実効性のある安全衛生管理活動を進めることが呼び掛けられている▼全国的に「墜落・転落」「建設機械・クレーン等」「倒壊・崩壊」のいわゆる三大災害に加えて、転倒災害や熱中症への対策が重点課題となっている。本県においてもはしご・脚立からの「墜落・転落」、重機による「はさまれ・巻き込まれ」や「激突され」が目立っている▼岩手労働局によると、足元では民間の小規模な現場での労働災害も散見されるという。沿岸部では復興事業による大規模な土木工事が引き続き最盛期にあることから、特定の業種や地域に絞った対策が即効性を持つことはなさそうだ。建災防県支部と労働局、発注当局など関係機関が連携を図り「みんなで取り組む安全活動」を愚直に継続していくことが一番なのだろう。

つむじ風6月22日

 「復興道路や復興支援道路を生かした魅力あるまちづくり、通過されないまちづくりを」。道路沿線の自治体が掲げるテーマの一つだ。三陸沿岸地域では東日本大震災からの復興が進み、復興後を見据えた動きが広がりを見せる。7回目を数えた復興道路会議では、道の駅の整備など地域づくりのアイデアを共有するとともに、道路の重要性を再確認していた▼陸前高田市では、道の駅高田松原などをまち再生の切り札と位置付ける。本県の三陸全体の玄関口として情報を発信し、各地域への周遊を促したい考えだ。宮古市は道の駅たろうを核としたまちづくりを展開。久慈管内4市町村では、連携して広域道の駅を整備するため、基本計画の作成作業を進めている▼会議の出席者からは、三陸ブランドの構築が重要との声も。具体例として、サイン計画の統一や高速道路ナンバリング「E45」のブランド化によるPR―などを挙げていた▼今後、さらに具体性を増していく地域のアイデア。情報共有を図りながら、心を一つに、魅力あるまち・みちづくりを進めてほしい。

つむじ風6月21日

 きょうは二十四節気の夏至。本県各地で、予想最高気温が30度を超える日がやってくるなど、本格的な夏の到来を感じさせる。一方で、各現場では、熱中症のリスクが高まる時期がやってくるとも言える▼近年では、熱中症の予防対策として、作業環境や作業管理、健康面からの見直しが進んでいる。ネット上でも、予防対策や対処法、グッズなどが数多く挙がっている。以前と比べれば格段に充実しており、各現場に合わせて対策を講じることができるようになってきている▼熱中症の災害事例を見ると、意識的に水分や塩分を補給するなど対策は講じていたものの、「この程度なら大丈夫だろう」との思いから発症したケースが見られる。つまり、マニュアル的な対応ではなく、一人ひとりの意識付けと対応が重要なことを示している▼これから、さらに熱中症の危険性が高くなる。改めて、死に至る可能性がある熱中症の怖さを再教育し、事前の準備と日々の体調管理で乗り切りたい。万一、体調に異変を感じたら、すぐに休むことができる環境づくりも心掛けたい。

つむじ風6月20日

 区画整理事業で造成した高台に、気仙小学校の新校舎建設を計画する陸前高田市。新築工事の入札は来月上旬に行われる予定で、順調に推移すれば、19年1月に待望の供用を迎える見込みとなっている▼建設場所は、今泉地区で進む区画整理エリア内の、切土造成された高台。気仙川に架かる気仙大橋から、真っ直ぐ今泉の高台を見上げると、小学校の体育館棟とホール棟が見える配置になる。地域にも開放される両棟からは、広田湾や再建が進むまちの景色が眺望できるほか、夜間使用時に高台に見える施設の明かりは、被災地に安心感を与えるものになりそうだ▼以前開かれた建設計画に係る住民説明会では、完成模型も展示。市民らは模型を眺めながら、子供たちの使い勝手や、地域の運動会などイベントに活用する時のことを、うれしそうに語っていた▼学習環境の充実とともに、地域住民が集える新校舎は、周辺に整備される保育所や住宅など、新たなまちの結節点になるはず。教育・交流の拠点として地域に活気を生み、復興の象徴になればと思う。

つむじ風6月19日

 全国の脳卒中死亡率で本県が全国ワーストというのは、さまざまな場面で見聞きする。脱却に向けて、さまざまな取り組みも展開されているようで、食生活の見直しについても広く呼び掛けられている▼脳卒中の大きな要因とされているのは、やはり高血圧。高血圧の解消には、減塩が対策の一つに挙げられる。1日の塩分摂取量に関して、男性で8c未満、女性で7c未満が目安とされる一方、県民の1日平均の食塩摂取量は11・8cと全国で最も多い状況にある▼先日、減塩に関する講演を拝聴する機会があり、その際には塩分量に配慮した弁当も食した。出汁を有効活用することで塩分量を減らしており美味しく食べることができたが、同時に少し味の薄さも感じられ、自分がいかに塩分量を多く摂取してしまっているかを思い知らされもした▼気を許せるような同世代同士が集まると、年齢を重ねるにつれて話題が健康診断などでの数値のことになると聞いたことがある。各企業での安全大会の時期になっているが、健康面についても改めて見つめ直したい。

つむじ風6月16日

 歴史的建造物の保全活用やまちづくりに取り組む専門家である「ヘリテージマネージャー」の育成・登録が、全国で進められている。本県は昨年度からのスタートで、これまでに36人が登録されている▼この取り組みは兵庫県が先進地。阪神・淡路大震災によって歴史的建造物が被災し、取り壊しになった建物も多かった。この教訓を踏まえ、地域の歴史的建造物の保全に取り組む人材の育成を進めている▼新規の建築工事が減少していく中にあっては、建築士の新たなビジネスチャンスとしての期待もあると考えられる。現在は建築士が中心の取り組みであるが、今後は施工部門においても、歴史的建造物の保全活用に向き合っていくことが求められるかもしれない▼決して割のいい仕事ではなさそうだが、自らの仕事を通して培った技術や技能を地域社会に還元し、同時にビジネスとして成立させる可能性と責任を持った産業が建設業。将来的な選択肢の一つとして、歴史的建造物の保全活用に加えて、改修後の施設運営なども視野に入れておく必要があるだろう。

つむじ風6月15日

 2017年度が始まって3カ月目となるが、国・県の来年度予算に対し、市町村は動き始めている。盛岡市はこのほど、18年度国・県予算に対する統一要望をまとめた。要望項目は、国・県合わせ36項目▼要望先を見ると、国関係では国交省が15項目、県関係が17項目と、やはりインフラ整備に関わるものが大半を占める。他の市町村と同様に、道路関係が多い。県内の道路整備は着実に進んでいるが、四国4県にも匹敵する広い県土。未だ十分でないことが分かる。特に震災以降は、災害に強い道路が求められている▼盛岡市の要望項目の中では、「国道4号渋民バイパスへの道の駅整備」が重点項目の一つに挙げられている。平泉を加え、県内に32カ所ある道の駅だが、大動脈である国道4号にはわずか3カ所と余りにも少ない▼「道の駅」はドライバーの休憩施設として、そして近年は地域の観光の核として重要な役割を果たしている。渋民地区では、啄木ゆかりの施設と連携したものとして計画策定中。玉山地区の活性化につながる魅力ある施設の早期誕生を期待したい。