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2025年
11月17日(月)
10:06

コラム集

●つむじ風 11月17日
 県と盛岡市の初の共同整備となった「きたぎんボールパーク(いわて盛岡ボールパーク)」。今年で2年目を迎えた。プロ野球1軍の公式戦や高校野球のほか、さまざまなイベントも開催。屋内練習場も併設され、今や本県スポーツ拠点の一つとなっている▼共同整備の第2弾として、動物愛護管理センターの整備を計画。人と動物が共生する社会の実現に向けて、動物愛護思想の普及啓発の拠点施設として整備されるもので、設計プロポーザルにより三衡設計舎・槇総合計画事務所設計共同企業体を最優秀者に特定。今後、27年度の着工に向けて、計画の具体化が図られる▼ところで県と盛岡市は、内丸地区にある現庁舎の老朽化が進み、再整備に向けた検討が進められている。現時点ではともに「内丸地区」での再整備を前提に、計画の具体化を図っている段階だ▼庁舎を再整備する上で、課題の一つに挙げられるのが駐車場。限られたエリアでの敷地の確保は容易ではない。ともに内丸地区での再整備となるならば、それも共同整備とはいかないものか。
●つむじ風 11月14日
 帝国データバンクが先ごろ公表した全国の「増収増益企業」の分析調査によると、24年度の増収増益企業は14万社余り。分析対象の約44万社のうち32・2%に当たるとのこと▼業種別で見ると建設業が約5万8000社で最も多い。同社によると「公共事業が底堅く、半導体工場の新設や都市部の再開発事業のほか、省エネ投資、データセンターの新設など、民間の設備投資が需要を支えた」とある。岩手にいると、どうもピンとこない▼都道府県別で見た増収増益企業の出現率トップは石川県。やはりというか、この中の半数近くが建設業。同社では「幅広い分野で災害復旧関連の特需があったことが要因の一つとして考えられる」とする。これは岩手にいても実感できる。そして、その後に何が待っているのかも予想が付く▼ちなみに本県の増収増益企業の出現率は26・6%。本県を下回っているのは4県で、うち3県は東北管内。本県では企業倒産も増えてきた。人材確保やIT化、価格転嫁などの必要性が説かれるが、何よりも需要を創出する対策が必要になるだろう。
●つむじ風 11月13日
 2日間にわたり、社外の現場リーダー研修に参加した。製造業を中心とした25人が研修に臨み、5チームに分かれて、課題解決に向けた検討などに取り組んだ▼冒頭、講師は「現場とは、顧客に対する価値を生み出す場所。製造業のみならず、建設業、物流業、小売業なども同様だ」と切り出した▼チームでは最初に「作業と仕事の違い」を話し合った。機械類の製作に携わっているという一人は「作業は細分化された工程、仕事は社会への貢献」と語った。思わずハッとさせられると同時に、建設業が担う公共事業の重要性にも結び付くと実感した▼建設業では、技術者や技能者らが専門的な技術や経験などを駆使し、チームとなって現場を造り上げている。県内でもさまざまな現場が出来上がっていくことにより、住民らの生活や社会経済などを支えている。まさに、なくてはならない大きな仕事だと改めて強く思う▼実のところ、筆者は上司に報告書を提出する必要があるのだが、まだ手を付けていない。まずはこの欄をもって、一つの報告としたいところだ。
●つむじ風 11月12日
 県建設業協会青年部連絡協議会(木下伸一会長)の25年度交流会が先日、遠野市内で開かれた。交流会前の交流事業では、ドローンサッカーやeスポーツが行われ、青年部会員の楽しそうな姿が印象に残っている▼ドローンサッカーでは、主管した県建設業協会遠野支部青年部会員が審判やサポート役を務め、先日発足した日本ドローンサッカー連盟岩手支部の馬場貴之支部長がMCを務め会場を盛り上げた。3人が1チームとなり1分間の練習後、3分間の試合で得点を競い合った▼会場の一角には、仮想現実(VR)を体験できるコーナーも。実際に体験してみると、イスに座ったままにも関わらず、音と映像による重力の変化は不思議な感覚だった。体験後には、すぐに立ち上がることができず、手には冷たい汗が流れていた▼ドローンやVRは、建設業界でも身近な存在となってきた。実際に現場に足を運び、建設業の魅力を伝えることも大切だが、ドローンやVRなどを組み合わせることで、建設業そのものやその魅力を伝えることができるのではないだろうか。
●つむじ風 11月11日
 9日夕方に三陸沖で発生した地震。7月30日にカムチャツカ半島付近で起きた巨大地震以来、県内では津波注意報が発表され、沿岸部では津波が観測された▼地震の規模は、マグニチュード6・9。県内では盛岡市、矢巾町で最大震度4、津波も最大波として大船渡市と久慈市で20㌢、釜石市と宮古市で10㌢が観測された。地震発生時は盛岡にいたが、強めの長い横揺れを感じた。10日も規模は小さいが横揺れの地震が続いている。気象庁では、地震が発生した地域で過去に続発事例があることから、1週間程度、最大震度4程度の地震に注意するよう呼び掛けている▼三陸沖の地震で津波注意報が発表されたのは、2015年2月以来。今回は対象規模とならなかったが、後続の地震でマグニチュード7・0以上の地震が発生した場合は、「北海道・三陸沖後発地震注意情報」が発表されることになるとのこと▼避難ルートや避難場所はもちろん、今後は冬本番を迎えることから寒さ対策、備蓄品などのチェックも重要だろう。改めて災害時の備えを確認しておきたい。
●つむじ風 11月8日
 「過疎地ではあるが、ふるさとを守り、国内で消費する食料を生産し、納税している人たちがいる。地域の若者を見捨てず、岩手のふるさと、日本のふるさとを守るための地域づくり、道づくりを」▼10月29日に花巻市で開かれた「いわての地域づくり・道づくりを考える大会」で、㈲カネシメ水産代表取締役の金子太一さんが意見発表した。普代村を拠点に、魚の水産加工事業を展開。鮭のみを使用した魚醤「―KEISYO―」を開発するなど、数々の賞を受賞している▼「三陸沿岸道路が開通し、普代村にも観光客が訪れるようになった。社業も道路の恩恵を大きく受けている」とメリットを語る金子さん。一方で、「人口減少が進み、以前は村内で購買していたものが村外に流れるようになった」とデメリットも感じている▼今後、急激な人口減少を迎える中、病院や学校などの公的施設も少なくなっていく。地域と地域を結ぶ強靱な道路が必要となるのは言うまでもないが、その結びつきをどのように地域活性化につなげていくのか。待ったなしの状況にある。
●つむじ風 11月7日
 県は子ども向けのパブリックコメント「やさしい版」の試行を開始した。「こども基本法」に基づき、子どもの視点に立った施策の立案や子どもたちが活躍できる社会の実現に向けて実施するものだとか▼早速「いわて汚水処理ビジョン2025」のやさしい版を開いてみる。漢字にルビを振ったり、項目を「どんな計画なの?」「計画にはどのようなことが書かれているの?」などと親しみやすく言い換えたりと工夫が感じられる。「早期に汚水処理の普及を進め、施設を計画的に改修し、将来にわたり持続可能な汚水処理の運営管理を目指していく予定です」という部分については、ターゲットにする年齢層によっては、もう一ひねりが必要かも▼専門性と分かりやすさのバランスは難しい。東日本大震災からの復興事業における住民説明の場で行政側が技術的に意を尽くして説明したものの、住民の不安が払拭できなかったこともあったようだ。相手の立場に立って、一番伝えたいことは何かを明確に…。これって、うちらの仕事にそのまま通じる話じゃないか。
●つむじ風 11月6日
 16年台風第10号災害から9年余りで、県の台風関連の復旧・復興事業が完了した。中居健一岩泉町長は本紙のインタビューの際、「長いようで短く、短いようで長い―。そのような復興の道のりだった」と切り出した。町民がワンチームとなって持続可能なまちづくりに取り組む決意とともに、国などによる「地方の強靱化」への期待を示した▼1日の復旧・復興記念式典では、来賓の鈴木俊一衆議院議員が国土強靱化実施中期計画を踏まえ、「国としても防災・減災、国土強靱化に力を入れる。今後の5カ年で20兆円強程度の事業規模をもって、主に事前防災に取り組む方針だ」と話した▼式典では、9年を振り返る動画が上映された。発災後の道路啓開の様子や、インフラの整備効果なども紹介。出席者らは、建設業が地元に根差すことの重要性を再確認したことだろう▼国土強靱化に向けた次期計画において、台風災害からの復旧・復興で得られた知見なども生かせるはずだ。さまざまなインフラの整備などを通じて、本県を含めた「地方の強靱化」を進めたい。
●つむじ風 11月5日
 花巻労働基準監督署は、管内の県建設業協会花巻、北上、奥州の3支部を対象に合同研修会を初めて開いた。各支部の会員企業の安全管理責任者ら約50人が参加し、7班に分かれ3テーマについて意見を交換した▼3支部による合同開催に至ったのは、花巻支部の菅原陽一支部長の働き掛けだった。菅原支部長による「建設業の労働災害防止の取り組みは、花巻労働基準監督署管内の3支部が合同で行うことで、より安全意識の共有を図ることができると思う」との話がきっかけだったという▼テーマは、リスクアセスメントや自社の安全衛生活動の取り組み、安全管理について確認したいこと―の3点。班ごとの発表では、現場で実践した熱中症やストレスチェック、安全対策にAIを活用している事例など多岐にわたった▼同署管内における建設業の労働災害は、県内建設業の労働災害の約3割を占めている。特に管内では「墜落・転落」「転倒」「挟まれ・巻き込まれ」が多い。今回の研修を生かし、リスクアセスメントによるそれらの災害防止対策の徹底を図りたい。
●つむじ風 11月4日
 盛岡市郊外の道路端でワラビを採っていると、眼前に大きな物体がすごい勢いで迫ってきた。逆光のため、色が分からない。「クマだとマズいな…」と思いながら、目の前に着地した物体を見るとシカで、互いに見合った後、スタスタと森の中に消えていった▼クマによる被害が社会問題となって久しい。以前は食べ物を漁っていただけだったが、近頃は人間に危害を加えるようになってきた。「アーバンベア」と呼ぶそうだが、街中に現れる動物はシカやイノシシ、タヌキ…と数多い▼エサとなるドングリが凶作だからとの話もあるが、人口減少も一因なのだろう。人間が活動エリアを広げていた時、野生動物は山の奥に追いやられ、人口の減少とともに動物が生息範囲を拡大してきた。ヒトも地球上の動物。野生動物とのせめぎ合いに負けているだけだ▼ところでクマは、川から侵入してくることが多い。河川敷には樹木や雑草、排水路などがあり、隠れる場所に事欠かない。河川敷の環境整備に取り組むことでクマが侵入し難くなるし、何より洪水時の障害除去にもなる。
●つむじ風 10月31日
 新政権における経済財政政策は「責任ある積極財政」。所得増と消費マインドの改善、事業収益の向上、税収増という好循環を目指していく考えとのこと。高市総理は所信表明演説の中に「令和の国土強靱化対策」という項目を設けており、建設産業界としても積極財政や国土強靱化というキーワードに期待したいところだ▼大規模な災害が毎年のように発生する昨今、国土強靱化対策が必要であることは論を俟たない。その中には当然、防災インフラの整備や既存インフラの老朽化対策などが含まれる。また、食料安全保障や稼げる農林水産業の創出という考えから、農業基盤整備などへの投資は今後も一定程度は続くものとみられる▼一方で、開発型の公共事業を今後どのように位置付けていくか、十分な議論が必要。経済成長や地域未来戦略などと関連させながら良い方向に進めていきたい。このところ一般世論の関心が公共事業に向いていないことが気になっている。「災害の多発で公共事業が見直されている」と楽観もしていられない。一番怖いのは無関心だ。
●つむじ風 10月30日
 県北広域振興局農政部農村整備室は、洋野町の城内地区で、新たなほ場整備事業の実施を構想している。面積としては、56㌶を見込んでいる。事業化が実現すれば、久慈広域管内としては、宇部川地区(久慈市、野田村)や林郷下地区(洋野町)などに続く大区画化の面整備となる▼同室では25年度、地域への説明会を重ねながら、合意形成を進めている。26年度にも調査計画に着手する予定で、29年度までの4カ年で調査計画を進めていくことを想定している▼同地区は、同町北部の川尻川沿いに広がるエリアで、米を中心に生産している地域だ。ほ場整備の構想と並行して、スマート農業の導入検討も進められている。地元では「基盤整備を進め、次代に農地を引き継ぎたい」との強い声が上がっており、県側に大きな期待を寄せているようだ▼日本の食料基地とも表現される東北地方。昨今の情勢として、米の生産量や価格などに対する全国からの注目度も高いだろう。ほ場整備には、地域建設業の力が必要に―。建設業は安定的な食料生産も支えている骨格の産業だ。
●つむじ風 10月29日
 国土交通省は、今月から12月までに抜き打ちで施工体制に関する全国一斉点検を実施する。今回で24回目となる取り組みで、点検を通し、公共工事のより一層の適正な施工体制の確保と徹底を図る▼対象工事のうち、低入札価格調査対象工事は、請負金額に関わらず全ての工事が点検対象となる。点検内容は、監理技術者等の配置や下請け契約、施工体制台帳の備え付け、下請負人―に関する点検を予定している▼24年度の点検状況を見ると、全体で稼働中工事7776件の約7・1%に当たる555件(うち低入札工事は10件)の工事を点検。点検結果は、おおむね良好だった。一方で、監理技術者証の不携帯や施工台帳に記載すべき内容の元請け人に関する事項のうち作業員名簿に不備があったなど、建設業法違反に該当する工事が延べ3件あったという▼公共・民間工事に関わらず、工事の品質や安全等を確保するためには、適正な施工体制のもとで工事が実施されていることが重要だ。直轄工事のみならず、各現場を今一度確認し、適正な施工体制の確保を図りたい。
●つむじ風 10月28日
 各地で展開されている、建設業の担い手確保に向けた取り組み。重機の試乗体験だけでなく、最近は建設DXの流れの中で、ドローン関連や3D測量などを紹介する企画も、かなり広まってきたように感じる▼取り組みを取材する機会も多いが、参加した児童などを見ると、高所作業車の試乗と同じように、こうしたDX関連の体験のリアクションが良い。タブレットで実際に対象を撮影し3Dモデルを作る体験をはじめ、ドローンシミュレーターやドローンの操作、VR(仮想現実)を使った安全教育などが企画され、現場では目を輝かせながらドローンを操る児童など、最新技術を楽しみつつ学ぶ姿を目にする▼堅苦しくなくゲーム感覚でできるところも、若い世代には取っ付きやすさにつながっているのだろう。ドローンだけでなく重機のシミュレーターなどを使ってみるのも有効かもしれない。業界へ興味を持ってもらう入り口として、実際に使用している重機の迫力とともに、DX技術にも触れてもらいながら建設業の面白さを感じてほしいと思う。
●つむじ風 10月27日
 10月も下旬となり、日々の寒さ、白鳥の飛来や岩手山の初冠雪など、冬の足音をひしひしと感じるようになってきた。今後は、八幡平アスピーテラインや樹海ラインなどの冬期通行止め、除雪業務の出動式などと、冬が徐々に本格化するのを感じていくのだろう▼除排雪業務では、廃業で除排雪業務を請け負う業者数が減ったことなどで、今年度も件数や担当する距離など見直して公告した地域があるようだ。住民の足確保、経済活動のために重要な除排雪業務。見直された内容で、無事に担当業者が決まることが願われる▼先日は、除雪車が国道を走っている場面を見かけた。本格的なシーズンに向けた準備などに関わるものだったと思われる▼物価高騰などにより、実質的な仕事量が減っているといった指摘が、業界側から多くなされている。自治体から出された発注見通しを見ても、実際に件数は減っている。今冬がどんな状況になるか分からないが、降雪量や出動回数にかかわらず、適切に除雪業務を執行できるような措置を講じることが一層重要になってくる。
●つむじ風 10月24日
 ここ数日、朝晩には家で暖房を入れるようになった。ついこの前まで上着なしで外出していたような気がするのだが…。「涼しくなった」と快適な季節を実感できる時が年々短くなっているような気がする▼日が落ちるのも早い。長い長い酷暑の夏を乗り切り、熱中症対策をしなくて済むようになったと思った途端、短かい秋が早くも終わろうとしているようだ▼12月1日から来年1月31日までの2カ月間、「いわて年末年始無災害運動」が行われる。路面凍結など冬季特有要因による転倒災害や交通事故などが増えることに加え、年末年始の慌ただしさもあり労働災害のリスクが高まる時期であることから、岩手労働局と岩手労働災害防止団体連絡協議会が主唱し、各労働災害防止団体が中心となって労働災害根絶に向けた取り組みを推進する▼11月は準備期間。作業環境が厳しくなってくる時期を間近に控えて、各現場ともに冬への備えが始まるころ。仙台管区気象台によると11~1月の東北太平洋側の平均気温は「平年並か高い見込み」とのことだが、油断なく備えたい。
●つむじ風 10月23日
 「北海道で今季初の鳥インフルエンザが発生―」とのニュースが、各種媒体で報じられていた。地元の行政機関や建設業界が全力を挙げて、防疫対応に当たっていることだろう▼本県では、年明けに盛岡市内、軽米町内において、鳥インフルエンザが立て続けに発生。県建設業協会(向井田岳会長)の盛岡支部、二戸支部の会員が中心となり、防疫対応に当たった。さまざまな教訓や課題などを踏まえ、組織力の強化を図ってきた▼当時の教訓としては、「夜間の作業も必要とされることから、現場の一番の課題は寒さだ」「埋却場所やスケジュールを言葉で伝達することが難しかった」「会議資料を電子データ化し、会議室でプロジェクターに映しながら、地図などの情報を共有できれば良かったと感じている」などの声が聞かれた。「オペレーターが長時間労働で疲労しているとの話も聞いており、ローテーションを上手く組むことが重要」といった指摘もあった▼関係機関との連絡系統などを今一度、確認したい。地元建設業の機動力は、地域の防災力にもつながる。
●つむじ風 10月22日
 日本ダム協会が任命するダムマイスター。その中の一人、佳(よっしー)さんが先日、湯田ダム60周年記念式典で講演した。テーマは「湯田ダムの魅力を語る」。一生懸命に魅力を語る姿から、湯田ダムに対する思いの深さを感じた▼湯田ダムの魅力的なポイントとして、クレストゲートのフリップバケットを挙げる。左右で形状が異なる点を紹介し、「巨大建造物に計算し尽くされて作られた洪水吐。非常にスタイリッシュな印象を受ける」と話す▼佳さんは、地元・岐阜県の丸山ダムで進む新丸山ダム建設事業において、転流工事の進捗に合わせて初回発破石、ダム軸通過石、貫通石を記念石としたスタンプラリーの取り組みを紹介。ダムのコンクリート欠片を景品としたスタンプラリーも好評だったという▼全国各地のダムを訪れている佳さん。何度も足を運ぶことで、新たな気付きが生まれ、さらなる魅力の発見につながっている様子だった。錦秋の候。その名を冠する錦秋湖には、紅葉シーズンが訪れている。実際に足を運ぶことで新たな発見につながるかもしれない。
●つむじ風 10月21日
 県が各地で開催している防災対策に関する出前講座。先週は、宮古市内の中学生を対象に開かれ、土砂災害から身を守る方法として早期避難を訴えていた▼当日、中学生らは、宮古市赤前地区で整備中の渓流保全工の現場を見学。現地では高さ約80㍍の勾配の中で、土石流から地域を守るため、総延長約800㍍にわたり工事が進められている。県側は渓流を階段状にすることで水の勢いを弱める床固工の効果や、出水で周囲の土石を巻き込まないようコンクリートブロックで固めていることなどを説明していた▼同校での座学では、県側が土砂災害について土石流や地すべり、がけ崩れの特徴、発生状況などを解説。危険な場所や避難所までのルートも含め、事前に確認しておくことや、勇気を持って早めに避難するよう呼び掛けた▼砂防堰堤や渓流保全工は山間部に整備されるため、中学生が実際に目にすることはあまり無いはず。地域を守る防災インフラの役割を現場で実感しつつ、日頃から災害に備えておく重要性について確認する機会になればと思う。
●つむじ風 10月18日
 今シーズン、本県は台風による直接的な被害には見舞われていないものの、全国に目を向けると被害が発生している。台風シーズン自体は、そろそろ終わる時期だが、近年の豪雨は、いつ発生しても不思議でない状況となっている▼一級河川馬淵川水系の馬淵川上流、二ツ石川、小井田川、女鹿川、平糠川、小繋川、宇別川、山形川、元町川の計9河川が、本県初の特定都市河川に指定となった。農地などの締め固められていない土地で行う、1000平方㍍以上の雨水浸透阻害行為について、調整池などの雨水貯留浸透施設の設置や知事の許可が必要となる▼馬淵川上流の一戸町では、22年8月の大雨で、家屋浸水が発生。堤防整備、護岸、掘削、橋梁の架け替えといった河川改修が盛んに進められている▼特定指定河川への指定、河川改修ともに、災害に強い地域づくりとともに、防災に対する地域住民らへの意識付けにも大きな効果を発揮するものとなる。流域関係者が一体となって取り組む流域治水の取り組みが一層浸透していき、治水対策の進展を期待したい。
●つむじ風 10月17日
 気が付けば特定の社員に仕事を回していることが多い。口では「業務の偏在化解消が課題だ」などと威勢のいいことを言っておきながら、舌の根も乾かぬうちにまた同じ社員に仕事を押しつけている▼県電業協会が会員向けに実施したアンケートによると、技術系職員の1カ月当たりの所定外労働時間は、6月末現在で10時間未満が49%と前年度を上回った。30時間以上は5%で前年度を下回っており、極端な時間外労働は解消されているが、10時間未満の内訳を見ると「5~10時間」の割合が上昇している▼有給休暇の取得状況なども合わせて、同協会では「特定の技術者に仕事が集中する『業務の属人化』が生じているのでは」と分析。同協会の千田新一専務理事は「人材育成にも関わってくる課題」として、幅広かつ本質的なテーマとして問題提起する▼従業員の高年齢化への対応も含めて、人材育成は喫緊の課題だ。入職した若年者の定着と成長。この課題に対する戦略がイメージアップでは限界も近い。見せ方ではない腰を据えた取り組みが必要になる。
●つむじ風 10月16日
 県や建設業界団体などは、建設業の担い手の確保・育成に向けて、県内の小中学生や高校生らを対象とした現場見学会や体験型の学習会などを実施している。現場見学会などは、先生方とも率直に話ができる貴重な場だと感じている▼県北の高等学校から盛岡地区の工業高校に赴任された先生に話を伺った際、「工業高校が少なくなり、寂しく感じる」と話されていた。その担当教諭は、建設会社での勤務経験を経て、教職員になったとのこと。建設業の魅力を伝えるため、生徒たちに熱心に指導している様子だった▼建設業界団体はさまざまな機会を捉えて、行政機関に対し、担い手の確保に向けた要望・提言を行っている。土木の担当部局だけではなく、「教育関係者とも連携し、建設業の魅力をPRしてほしい」といった趣旨の内容が含まれていることもある▼現場見学会や体験型学習会などの機会は、担い手の確保に結び付く重要な糸口となるだろう。引き続き教育面から生徒らをサポートするとともに、行政・業界・教育で連携し、建設業の姿を伝えたい。
●つむじ風 10月15日
 東北地方整備局港湾空港部は、8日からホームページ内に「みなとの社会科見学」を開設。巨大な船が停泊するみなとの整備状況を分かりやすく動画で紹介している▼みなとの事業や工事の重要性や必要性を多くの人に知ってもらうため、普段は目にすることが難しいみなとの工事を港湾建設関係団体と連携し、工事状況の動画を作成し情報発信していく。現在の工事動画は、仙台塩釜港と秋田港で、今後は青森港や酒田港の岸壁などの整備状況を公開予定という▼開設したサイトには、みなと整備プロジェクトとして、釜石港と大船渡港を挙げている。東日本大震災前後の両湾口防波堤の様子を映像で紹介しながら、復旧に至るまでの工事の様子なども紹介。映像後半には、完成した両湾口防波堤をドローンからの映像として映し出し、その威容を示している▼重要性が高まっている港湾インフラ。動画による紹介は、港湾インフラを身近に感じてもらう絶好のチャンスだろう。今回の特設サイトの開設をきっかけにさらに内容を充実させ、その魅力を発信していってほしい。
●つむじ風 10月14日
 奥州市では、胆沢南都田の広表工業団地の民間所有で耕作地となっていた残る分譲地について、用地交渉や造成を立地企業が実施するオーダーメイド方式から市直轄方式に切り替えて造成した。先日は、市直轄で造成後初の立地が決まり、調印式が執り行われた。進出する企業では、27年の操業に向けて建物の施工などを進める計画としている▼市内では、江刺フロンティアパークの北隣に整備した江刺フロンティアパークⅡが全12区画で完売。順調に企業進出が進み、新たな雇用創出、経済活性化などに期待が集まる。市では、次期工業団地の整備も構想する▼企業進出は地域活性化などへの起爆剤となる一方、景気後退や業績悪化などによる撤退が懸念材料にもなる。大工場が撤退した事例に対してのインパクトがあまりに大きく、「県外から進出してきた企業へ就職に、ためらう面もある」と話す県内高校の教員の声も聞く▼進出企業に、いかに地域に根ざし、永久的に企業活動を続けてもらうか。行政や地元など関係者が連携して、できることに取り組みたい。
●つむじ風 10月10日
 「いわて汚水処理ビジョン2025」(仮称)の素案がまとまった。今後はパブリックコメントや学識経験者らによる検討懇談会などを経て、年度内に新ビジョンが公表される見通し▼26~35年度の10年間を計画期間として、現行ビジョンの理念を継承。具体的な章立てでは汚水処理施設の経営、汚水処理施設の維持管理、災害対策という項目を立ち上げ、重点事項として取り組んでいく▼新ビジョンでは、人口移動の影響を受けやすい「汚水処理人口普及率」を、従来の目標から参考値とするなどの見直しが行われているほか、能登半島地震や埼玉県八潮市での道路陥没事故をはじめとする社会情勢の変化が取り入れられている。食の安全保障という観点も踏まえ、肥料利用率の向上といった目標も設定されている▼耐震化や耐水化計画の策定・改定、下水道DXの推進やストックマネジメント計画見直し、下水道施設のリダンダンシー・メンテナビリティの確保などの施策は建設産業にも関連が深そうだ。35年度までの集合処理区域の整備概成も含め注目していきたい。
●つむじ風 10月9日
 県は11月1日に、16年台風第10号災害からの復旧・復興記念式典を開く。岩泉町民会館で開かれる式典では、復興関連の動画上映なども行われる予定だ▼台風10号災害の当時を思い返すと、国道455号などの主要な道路が寸断され、現地に入るためには広域的な迂回が必要だった。インフラ関係では、河川の被害や土砂災害の発生などもあり、当時の状況が今も目に焼き付いている読者も多いのではないか▼県は、台風10号で甚大な被害を受けた同町において、道路・河川・砂防の災害関連事業を実施してきた。総事業費は計692・7億円。東日本大震災からの復旧・復興事業が進められていた中にあって、台風10号災害への対応も必要とされた。現場では、多くの課題を克服してきたのだろう▼県土整備行政、建設業界は、共に地域住民の安全・安心な生活を支えている。日頃から地域を見つめる多くの人がいることを、県民の一人として心強く思う。受発注者の立場を超え、引き続き「岩手の担い手」として手を携え、インフラ整備や国土強靱化に向かっていきたい。
●つむじ風 10月8日
 上下水道施設の老朽化は、日本全国で深刻な社会問題となっている。さらに追い打ちをかけるように、それらの老朽化や管理に精通した熟練職員の減少なども急速に進んでいる▼国土交通省は、将来にわたり上下水道サービスを提供し続けるためには、デジタル技術を活用し、メンテナンスを高度化・効率化させる上下水道DXの推進が重要と位置付けている。今年3月、上下水道施設のメンテナンス高度化・効率化に向けデジタル技術をまとめた「上下水道DX技術カタログ」を公開した▼このほど、45件の新たな技術を掲載。その中に㈱一測設計の「維持管理業務の省力化・高度化を実現した下水道統合管理GISシステム」が加わった。住基情報とリンクし排水処理人口集計や敷設後に年数の経た老朽管・特定材質の管路一覧作成などが可能という▼現在、カタログには163件の技術が登録されている。対象施設や目的、要素技術に分類され、検索しやすくなっている。水道事業者や下水道管理者らが抱える課題解決に向け、実際に導入検討する場合の参考にしたい。
●つむじ風 10月7日
 東北地方整備局南三陸沿岸国道事務所が所管する三陸沿岸道路の機能強化に向け、23年度に発足した連絡協議会。先月末には今年度の総会が開かれ、インターチェンジ(IC)のフル化などを求める要望項目を決議した▼同協議会は、宮城県東松島市から山田町までの沿線自治体7市3町で構成。21年12月に全線開通した三陸沿岸道路の機能強化と、それに伴う地域振興の機運を醸成し、結束して国への要望活動などを実施している▼総会では決議案として、主要箇所のハーフICのフル化や新設ICの整備、交通の円滑化に向けた4車線化、付加車線の延伸、さらに既存パーキング施設への休憩施設の整備などを採択。利便性の向上などに向け、取り組みを推進していく▼三陸沿岸道路では山田北ICのフル化や、田野畑チェーンベースのIC化、宮古市内の津軽石パーキングエリアには、トイレ棟の新設も進められているところ。災害に強いネットワークの構築や、物流・観光振興など沿岸地域の発展を支えるためにも、さらなる機能強化に向けた展開が必要だろう。
●つむじ風 10月6日
 今夏は、少雨のため取水制限が講じられるなど雨が待ち焦がれる状況だった。季節が進み、台風シーズンの時期となっているが、今度は雨が恐ろしい存在にもなりかねない。雨は、二面性があるものと言える▼東北地方整備局では、河川環境保全の大切さや「あらぶる雨」「めぐみの雨」といった、雨の二面性などを学習してもらうため「雨展」を各地で開催。県内では、9月18日から今月2日までの期間、一関市の北上川学習交流館あいぽーとで開かれた▼展示では、画面の前に立った人の動きに応じて光の雨が降ってくる映像や雨粒を小麦粉で表現したもの、気象観測装置「転倒ます型雨量計」、過去に起きた豪雨災害の記録映像などを用意。見て・触れて・聞いてもらい、雨の有する大きな力を伝えた▼降雨で得られた水を貯め、必要な時に必要な量を供給するダム、大雨時に増水した河川から市街地を守る堤防など、水をコントロールするために必要な公共施設は数多くある。雨がもたらす恵みをしっかり受け、猛威を軽減するため、着実に整備が進んでほしい。
●つむじ風 10月3日
 「87件かぁ…」。1日に公表された県営建設工事の発注見通しを見て、思わず唸った。前年度から10件の減。年度当初の予定件数は前年度を5件上回っていたので、当局が可能な限り早期発注に努めた成果とも考えられる。とは言え今後の発注が100件に満たないのは、かなり厳しいのが本音▼以前にも県工事が大幅に前年度を下回った時はあった。03~04年度は当時の増田寬也知事の方針の下、発注金額が2年連続で約3割削減され、2年間でほぼ半減。発注件数も2年間で3割ほど減った。06年4月策定の「建設業対策中期戦略プラン」でも件数・金額ともに大幅な減少を試算していた▼当時は「がんばって減らそう」という明確な意図を持って減らしていた。いまは「何とか確保しよう。できれば増やそう」と努力しながら思うにまかせない。だからこそ深刻さの度合いはより大きい。ここ数年は国の経済対策に対応して、国土強靱化関連事業が年度後半の補正予算に計上されてきた。建設産業界からも必要な社会資本の姿を提言し、ともに予算獲得に努めたいところだ。
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