コラム集
- ●つむじ風 6月17日
- 国土交通省が公開中の「上下水道DX技術カタログ」。さらなる充実のため「上下水道施設のメンテナンスの高度化・効率化に資するデジタル技術」を新たに募集中だ。募集期間は7月24日までで、改訂版は9月末の公開を目指す▼カタログは、国内での水道・下水道事業での導入実績がある「実用段階」と、国内での地方公共団体などの公的機関のフィールドで実証しているが実用化に至っていない「実証段階」がある。実用段階は171、実証段階は18の技術をそれぞれ取りまとめている▼現在のカタログで、実用段階で対象施設を絞らず、目的を点検調査、要素技術をAIで検索すると42件が該当。遠隔監視、漏水調査、路面下空洞調査など上下水道が抱える課題に対し、技術の適用条件や範囲、コスト、導入効果などが記されている▼老朽化や施設に精通した熟練職員の減少などが急速に進む上下水道施設。将来も上下水道サービスを提供し続けるためには、デジタル技術の活用が欠かせない。新技術への期待が高まるとともに、現在のカタログの一読もおすすめする。
- ●つむじ風 6月16日
- 県内各地で展開されている無電柱化事業。安全で快適な歩行空間の確保、良質な景観形成に向け、事業の進捗が図られている▼宮古市では、市道新川町保久田線で無電柱化事業を推進中。同線は、25年3月に無電柱化工事が完成した市道末広町線の「末広町通り」と、国の事業により既に無電柱化が完了済みの築地地区の国道45号を結ぶルートで、「中央通り」商店街を形成している▼新川町保久田線の無電柱化事業は、25年度に着手。全体計画延長は410㍍で、26年度は引き続き詳細設計を進め、地元との意見交換を行いながら、事業スケジュールを含めた計画をまとめる予定だ。末広町線の無電柱化では、整備完了に伴うアンケート調査で、市民から工期の遅れなど工事に対する不満点も出されていた。地域に寄り添った進め方を念頭に、丁寧な事業説明が必要だろう▼無電柱化は、道路景観の改善とともに、災害時に電柱が倒れるなどの危険性が無くなることで、防災面の向上にもつながる事業。安全かつ災害に強いまちづくりに向け、円滑に事業を進めてほしい。
- ●つむじ風 6月13日
- 本県では春から夏にかけ、沿岸部を中心にヤマセという気象現象が発生する。本来暖かい季節であるはずが、その影響で曇りや小雨が降るどんよりした天気になることがしばしばあり、この状態が続くと冷夏・冷害の原因となる(気象庁)。プールの授業がある日と被った際は、かえって水の中にいる方が温かった記憶がある▼地元では鉄板の、あるある話だが、内陸では通じないようだ。社内での雑談で珍しい現象として話題に上がったが、自分にとっては「ヤマセは珍しい」という概念そのものが驚きだった▼所変わればとは言うが、県土の広大さと多様な環境が組み合わされることで、同じ県に暮らしていても異なる認識が生まれるのだと思うと興味深い▼豊かな環境に恵まれた本県を巡っていると、開けた平野に家屋が点在する土地や、逆に山が迫り家屋が密集している土地など、地区ごとの美しい景色を目にする。インフラの整備を進め、地域ごとの暮らしを守ることは、住民の命や財産だけではなく、その土地独自の文化や思いを守ることにもつながるのでは。
- ●つむじ風 6月12日
- 今年も7月1日から全国安全週間がスタートする。今年のスローガンは「多様な人材 全員参加 みんなで育てる安全職場」。スローガンと言えば、過去10年で「みんな」が使われているのが7回。加えて今年は「多様な人材」。労働安全衛生も「多様性」の時代。どちらかと言えばインクルージョンに近いイメージだろうか▼県内建設業といえば、25年の死亡労働災害がゼロ。記録が残っている1950年以来で初めてのこと。今年に入ってからも4月末まで0人を継続している。もう一つ大きいのが休業4日以上の死傷者数が177人と、2年続けて200人を下回っていること▼岩手労働局が公表している「岩手の安全衛生」を見ると、25年以前に過去20年で労働災害が200人を下回ったのは2回。直近の24年と10年。今後は年間の労働災害200人未満が定着することを期待したい▼そういえば今年のスローガンの中に「全員参加」とある。特定の個人に依存するのではなく、労使がそれぞれの役割を果たすことで、納得のいく労働災害ゼロの達成をしてほしい。
- ●つむじ風 6月11日
- 県建設業協会(向井田岳会長)は先ごろ定時総会を開き、今年度の事業計画を決定した。地域の守り手の責務を果たすとともに、社会インフラ予算の確保と国土強靱化の計画的推進などに向けて、関係機関への積極的な要望・提言を実施していく▼総会では、協会活動に顕著な功績のある会員企業や、優良従業員らの表彰なども行われた。緊急対策業務への対応功労では、大船渡市大規模林野火災における災害復旧支援活動に当たった大船渡支部、高病原性鳥インフルエンザ防疫対応に当たった奥州支部に、それぞれ感謝状が贈られた▼表彰状・感謝状の贈呈に当たっては、多くの氏名や会社名などが読み上げられた。地域に根差す人の力が、岩手のインフラを支えている。改めてそのことを強く実感した▼協会職員として長年在職し、3月に退職した藤澤邦雄氏(相談役)に対する感謝状の贈呈も行われた。向井田会長は、万感の思いを込めて、藤澤氏に感謝状を手渡していた。地域の力を結集し、岩手をより良い県土に―。未来に向かって、思いは一つだろう。
- ●つむじ風 6月10日
- 気象庁が発表する梅雨入り情報。この季節になると特に、線状降水帯や台風という情報に敏感になる。同庁は、線状降水帯や台風のメカニズム解明に向けた大気・海洋の集中観測を昨年度に引き続き今年度も実施する▼昨年度の成果として、航空機によるドロップゾンデ観測では、西日本付近に流入する下層の暖かく湿った空気の詳細な分布や上空の寒気の状況などを捉えた。漂流ブイや水中グライダーなどによる海上での観測も行い、台風近傍での通過前後における海水温の変化などを捉えることができた▼大槌町では、陸上でラジオゾンデとマイクロ波放射計による集中観測を予定。ラジオゾンデは7月上旬に行われ、ゴム気球にラジオゾンデと言われる無線機付き気象観測機器を取り付け、地上から約30㌔までの大気の気温や湿度、気圧、風向き・風速などの状態を観測する▼中層フロートや水中グライダーという新たな機器を投入した観測も行う。メカニズムを解明することで、変化の激しい線状降水帯や台風などの高精度な予測につながることを期待している。
- ●つむじ風 6月9日
- 先月下旬に開かれた国道340号整備促進期成同盟会の総会では、地域における路線の重要性を確認。安全・安心な交通の確保に向け、早急な抜本的改良を求める決議文を採択した▼国道340号は陸前高田市を起点とし、北上山系を縦走して青森県八戸市に至る、総延長約250㌔の広域的な幹線道路。沿線4市4町1村を相互につなぎながら、地域の暮らしをはじめ、産業、観光など経済効果をもたらすとともに、災害発生時は救援・復旧活動を支える「命の道」として重要な役割を担っている▼一方で、依然として幅員が狭い箇所や急勾配、急カーブも多く存在。総会では沿線自治体の代表から、宮古岩泉間等の整備促進や、「子どもたちの交通安全対策のためにも歩行者空間の確保を進めてほしい」などの声が上がっていた▼「道路整備による波及効果は地域にとって非常に大きい」といった意見も。広域的な連携、交通ネットワークの強化は、地域振興にとって不可欠。安定的な予算の確保に向け、今後も地方の実情を中央へ訴えていく必要がある。
- ●つむじ風 6月8日
- 2025年の日本人の出生数は、過去最少の67万人だった。10年連続の減少。死亡者数が出生数を大きく上回り、25年は90万人の自然減という▼都道府県別の合計特殊出生率をみると、関東以北に比べ、関東以西の方が高くなっている。気候(気温)も影響するのだろうか。東北では本県の1・12が最も高く、宮城が最も低い。九州は1・33が最低で、沖縄の1・52が全国で最も高くなっている▼人口100万人超の大都市を抱える都道府県も一様に低い。東京が0・96で全国最低だ。東京は有り余る財力を用いて、さまざまな支援策を打ち出してはいるものの、やはり子育てには厳しい環境にあるようだ。だが現状は、多くの若者が進学や就職を機に地元を離れていく▼国交省の「都道府県別の経済的豊かさ」ランキングで、本県が全国1位を獲得した。単に手取りだけでなく、基礎的な生活費や通勤時間なども費用換算し、それを差し引いて算出したとか。県民としても多少驚きのデータではあるが、若い人たちに「真の豊かさ」とは何か、いま一度考えてほしい。
- ●つむじ風 6月5日
- 半世紀前の小説が話題になっているらしい。堺屋太一著『油断!』。初出は1975年。ホルムズ海峡の封鎖から短期間に日本社会が崩壊していく様子が描かれる、著者曰く「世界最初の予測小説」▼ネタバレにならないよう注意しながら、われわれの業界に関連する部分を探してみると、12月中旬の海峡封鎖直後にまとまった対策案の中に「建設用車両機械等の燃料は、災害復旧工事用を除き60%削減」。これが2月初頭には「建設工事の原則的全休止」となる▼当然、現在の石油備蓄量は当時の比ではない。一方で、浮き彫りになる構造的な問題は、現在も変わらないことが分かる。無謬と平常時に最適化された官僚機構の硬直性、非常時にあっても利益誘導という形でしか保たれない秩序など、既視感を持たれる方も多いだろう▼同書では、日本の組織的弱点を「単層中央集中性」と表現する。中間社会組織は当時よりも弱くなり、最小社会単位は家族から個人まで細分化している。「令和のオイルショック」と言われる今、51年前のフィクションから何を学ぶか。
- ●つむじ風 6月4日
- 台風6号による全国的な降雨量の予測や出水状況などが、テレビニュースで流れていた。本県においても本格的な出水期を前に、関係機関との連携体制などを確認しておくことが重要だろう▼6月は土砂災害防止月間。本格的な台風シーズンを迎えていく中、想定以上の降雨となることも考えられる。これまでも県内では、砂防堰堤などによるハード対策や、子どもたちへの出前講座などのソフト施策を組み合わせ、地域一体となって土砂災害への危機意識を高めてきた▼例年、県が小中学校の児童・生徒らを対象に実施している出前講座を取材している。子どもたちからは数々の鋭い質問が出されるなど、砂防事業の意義を説明する職員らにとっても、新たな気付きにつながっているように感じられる▼砂防堰堤などの施設は、県民の目に触れる機会そのものは少ないかもしれない。しかし、地域に根付いた重要なインフラの一つとして、しっかりと安全・安心な生活を支えている。砂防防止月間の意義を受け止め、公共事業の重要性を発信する一つの機会と捉えたい。
- ●つむじ風 6月3日
- きょう開幕する「建設技術公開EE東北26」。4日まで仙台市の夢メッセみやぎで、建設事業の新技術や新工法、その他時代のニーズに対応して開発された新技術を公開する▼EE東北は、1990年度に4団体・21社が参加し「建設新技術展示会」としてスタートし、今回で35回目となる。屋内外の会場には、設計・施工(366技術)や維持管理・予防保全(340技術)、防災・安全(183技術)、その他(77技術)―の四つの技術分野に区分した966の建設技術を展示する▼昨年は2日間で1万8700人が来場。除雪や月面走行、地震、重機などを体験できる機器に試乗し、最新の技術を体験することができた。今回は、熱中症やAIがキーワードだろうか。各ブースでは、現場での課題解決に向けさまざまな建設技術を公開している▼熱中症やAIは、時代のニーズに対応して開発された技術だろう。公開されている技術が直ちに現場で生かされずとも、会場に足を運び、担当者らとの会話を通し、参考になるようなヒントが隠されているのではないだろうか。
- ●つむじ風 6月2日
- 大槌町は5月29日、町内で発生した林野火災について、再燃の恐れが無くなったとし鎮火を宣言した。同日、政府は同町の林野火災を局地激甚災害に指定することを決定。災害対応は大きな節目を迎え、次のフェーズへ移っていく▼4月22日に小鎚と吉里吉里で発生した林野火災の焼損面積は、2地区を合わせ1633㌶となり、大船渡市での林野火災に次ぎ、平成以降で国内2番目の規模となった。先週、吉里吉里の現場を見たが、東日本大震災の防災集団移転促進事業で新築した住宅団地の間際まで、山火事跡が迫っていた。消火活動には地元の消防関係者とともに、全国から緊急消防援助隊などが参加。周辺は急斜面が続く地形で、消火活動は困難を極めたに違いない▼今後は森林の再生などに向けた動きが加速するはず。先月設置された町林地再生対策協議会は、15日に初会合を予定。大船渡市での林野火災の際は、出水期を見据え、土砂災害の被害軽減を図るため応急工事も展開された。迅速かつ円滑な対応へ、関係機関で連携を密に取り組みを進めてほしい。
- ●つむじ風 6月1日
- 気象台が発表する防災に関する気象情報、警報などが変更となった。河川や大雨、土砂災害、高潮の警報や注意報について、5段階の警戒レベルとともに発表され、警戒レベルによって住民が取るべき行動が分かりやすくなっている▼新たな防災気象情報は、どの段階で避難行動をとるべきかが分かりやすくなることで、逃げ遅れなどによって命を落とす住民らがなくなることが期待される。ただ一方では、避難情報の出る頻度が多くなるのではといった指摘も聞かれる▼近年は、毎年のように全国各地で豪雨による災害が発生するなど避難情報が出されるケースが多くなっている。新たな防災気象情報により、さらに避難情報が出されることが多くなれば、住民の不安感が高まっていく。逆に、避難情報が出されても、結果的に大きな被害が発生せずに済む事例が多くなることも考えられ、住民の危機感が薄れることも懸念される▼避難情報を減らすために、ハード整備はやはり重要なものとなる。安全・安心な生活の確保へ、近年の災害に対応した治水対策が急がれる。
- ●つむじ風 5月29日
- 県生コンクリート工業組合の工組員企業の生コン出荷数量は25年度、50万立方㍍を割り込み過去最少を更新。26年度もさらに数量を下げる見通し。生コン需要の縮小に合わせて、骨材も苦戦を強いられていることは容易に想像が付く▼社会の基盤である社会資本整備。さらにその基盤に当たるのが、これら建設資材。「需要があるときは広域で調達します。苦しいときは企業努力で乗り切ってください」では、危機管理意識があまりにも低いと言わざるを得ない。ならば何をしたらよいか、簡単に分かれば苦労はないが▼そんな中でも、県内では前向きな動きが出ている。同工組では今年度、コンクリート甲子園に参加する高校の支援など人材確保や業界のPR活動に取り組む。骨材業界では県採石工業組合が「緑化促進・環境美化支援事業」をスタートさせる▼中長期で見れば、生コンなどの大型需要が期待できる物件は意外に多い。「ここ数年が我慢のとき」。言うは容易いが、本当に必要なときにベストのタイミングで資材を供給できるよう、今のうちから何か検討を。
- ●つむじ風 5月28日
- 本紙に先日掲載した「岩泉町まちづくり特集」。佐々木真町長にインタビューを行い、今後のまちづくりなどに向けた考えを聞いた▼同町には豊かな自然や龍泉洞をはじめ、地域を盛り上げる資源が豊富だ。佐々木町長はインタビューの中で、「『人生で一度は、地底湖のドラゴンブルーの美しさを見なければ損ですよ』というぐらいの気持ちを持って、アピールに力を入れていきたい」と明るく笑った。さらには「ポジティブな言葉を用い、岩泉をPRしていきたい」とも▼東北地方整備局などが作成を進める「東北圏広域地方計画」などの原案では、将来像として「東北圏から示す新たな選択肢~課題を新たな価値に変換し、開かれた圏域へ~」を設定。課題をマイナスだけで捉えるのではなく、プラスにしていこうという考えを打ち出している▼市町村からの要望事項で挙げられるインフラ分野の課題として、道路ネットワークの整備促進などがある。長期的かつ広域的な課題を克服するため、ポジティブな意識を持ち、要望活動などで一層の連携を図りたい。
- ●つむじ風 5月27日
- 総務省消防庁が公表している「全国の熱中症による救急搬送状況」。5月から調査が始まり、17日までに救急搬送されたのは全国で1568人、前年同期の1・6倍。本県は14人と前年同期比でほぼ半減しているものの注意が必要だろう▼花巻労働基準監督署(渡辺幸輝署長)は、熱中症対策キャッチフレーズを掲げ、取り組みを進めている。今年は建設業労働災害防止協会岩手県支部北上分会の会員企業から応募があった「熱中症 水分・塩分だけじゃない 睡眠・食事も忘れずに!!」に決めた▼近年、激甚化・頻発化している台風や豪雨などの気象災害。熱中症も気象災害として認識されている。台風や大雨などの災害を防ぐことは難しいが、熱中症は適切に対応すれば確実に予防できる災害だろう▼建設現場における熱中症対策が法的義務化され1年になる中、気象庁は北日本の向こう3カ月の平均気温は「高い」としている。各社・現場でさまざまな対策がなされているが、睡眠や食事など前日や仕事前、仕事中に一人ひとりができることを徹底していきたい。
- ●つむじ風 5月26日
- 先月上旬、取材を終えた盛岡市への帰り道。運転していると午後6時頃、紫波町の国道396号で突然「ガン」と車体に強い衝撃を受けた。何事か分からず肝を冷やしながら現場に戻ると、道路の真ん中に鹿が1頭立っていた▼後日、ドライブレコーダーで鹿と衝突する場面を確認したが、右側の山から現れ、道路を横切って車にぶつかるまで1秒も無い。一瞬の出来事だったが車両の被害は甚大で、右側面のフロントから運転席側のドアにかけて大きくへこみ、サイドミラーは大破。運転席側のドアは開かず、助手席側から外に出て、状態を確認しなければならなかった▼鹿の方からぶつかりにきたように思えるほど。実際に経験すると避け切れるものではない。昨今は道路脇や街なかでも鹿を見掛けることが増え、沿岸部の中心市街地では国道を複数の鹿が闊歩している場面も見たことがある。鹿との衝突事例は、建設会社でもあるようだ。作業員などは山間部を車で走ることも多いはず。突然の動物の飛び出しに備えた運転や、心構えをしておく必要があるだろう。
- ●つむじ風 5月25日
- つい先日、よく冷えた屋内での取材を終えて外に出ると、たじろぐような暑さが待ち構えていた。写真撮影のために屈み込むと、地面との距離のせいか、より暑い。短時間だからと油断しているうちにめまいを感じ、慌てて水分を摂った。大事には至らなかったものの、炎天下にいながらヒヤリとする出来事だった▼熱中症対策には、十分な暑さへの慣れが大切であることは広く知られている。岩手労働局からも「STOP! 熱中症クールワークキャンペーン」として、熱中症予防の取り組みが紹介されているが、今年は順応する暇も無く本格的な暑さが押し寄せているように感じる。5月でこの暑さだとすれば、7、8月はどうなってしまうのだろうか▼同キャンペーンは4月に準備期間を終え、5月から本格的なキャンペーン期間に突入している。日々の健康管理や休憩の確保など、個人で取り組めることはもちろん、今一度、物品の補充や正しい活用方法の共有、万が一発症者が出た際の手順の確認など、備えが十分に行えているかについても確認をしておきたい。
- ●つむじ風 5月22日
- 業界団体の総会シーズン。各地で「中東情勢の不安定化に伴う物価の高騰」という言葉が連日聞かれる。空き時間の会話でも「値段が○割上がった」「○倍になった」など、厳しい数字が耳に入る▼「値上がりは我慢するしかない。いくら高くても仕事はできる。しかし本当に困るのは物が入ってこなくなることだ」。これは本当に切実な一言。「国内需要分は確保できる見通し」「目詰まりの解消」などの言葉は、地方における最前線の現実の中、どのように捉えられているのだろうか▼帝国データバンクによると、仕入れ価格の上昇を価格転嫁できないなどの理由で収益性が悪化した「物価高倒産」は、4月単月で108件と過去最多。業種別では建設業が最も多く33件で、前年同月から約8割増加とのこと▼このレポートが公表された13日の段階では、ナフサ供給不足による物価高倒産は確認できていないという。同社では「オイルショック倒産が5月以降発生する可能性は十分にある」と分析する。加えて「資材調達難」という、より深刻な事態も懸念される。
- ●つむじ風 5月21日
- 朝の出勤時に、カーラジオを聞いていると、建設業界における週休2日の確保の取り組みや、建設労働者の処遇改善に向けた施策などが紹介されていた。建設業がインフラを支えていることの重要性に触れつつ、建設業における人材の確保が大きな課題となっていることを伝えていた▼県内では、建設業界団体による総会が開催されるシーズンを迎えている。県内各地域の支部など、新たな体制の下で、各種事業を展開していく団体などもあるだろう▼県建設業協会(向井田岳会長)の青年部では例年、県内の小中学校を巡り、「建設業ふれあい事業」を実施している。児童・生徒たちが自らの手で重機などの操作体験ができ、将来の進路を考えるための一つのきっかけとなるはずだ▼ラジオでは、「3Kのイメージ」が未だに定着している現状も指摘していた。本紙としては、「建設業で働く皆さんは、汗を流し、各地域のインフラを支えている。子どもたちに建設業の魅力を伝えるため、一致結束して頑張っている」と強く言いたい。今年のふれあい事業の取材も楽しみだ。
- ●つむじ風 5月20日
- 田瀬ダム竣工70周年記念事業として、24年4月に花巻市の田瀬ダム監査廊にワインを貯蔵。16日に田瀬ダム貯蔵ワインお披露目会と試飲会が開かれた▼貯蔵ワインが熟成や味などに関して、一般貯蔵に遜色ない状態を確認し、販売も見据えた地域活性化の取り組みを官民一体となって検討。同事務所田瀬ダム管理支所の千葉孝寿支所長は、「先行事例がないため、関係機関に直接ヒアリングし指導を受けた」と振り返る▼会場には9種類のワインが用意され、9脚のワイングラスに注がれていた。同協議会の森田敏雄会長に薦められ、グラスに顔を近づけると、それぞれの香りを楽しむことができた。試飲できなかったものの、参加者らの顔や話から推して知るべしだろう▼森田会長は、好きな言葉として「ワインは時に主役を演じ、ワインが醸し出す明るい雰囲気は人も料理も良い味を引き出す」を紹介。今後、販売やふるさと納税の返礼品への活用などに取り組むという。田瀬ダム貯蔵ワインは、地域活性化のみならず、地域の魅力をさらに引き出すのではないだろうか。
- ●つむじ風 5月19日
- 2日に鎮圧が宣言された大槌町の林野火災。12日には釜石大槌地区行政事務組合消防本部が、今月末を目途に鎮火の判断を行う見通しを示した▼4月22日に発生した同町の林野火災は、焼損面積(精査中)が小鎚地区と吉里吉里地区を合わせ1633㌶となり、大船渡市での林野火災に次ぐ、平成以降全国で2番目の規模となった。建物被害は住家1棟を含む8棟。鎮圧宣言後は、全国からの緊急消防援助隊などが順次引き揚げ、12日には町の災害対策本部も災害警戒本部に移行している▼先週、現地を車で通ると、大槌高校北側の山の斜面などが真っ黒く焼け焦げている様子が見えた。枝葉全体が燃える「樹冠火」が発生したと見られている。鎮火に向けた取り組みでは、29日までヘリによる偵察が行われる予定。消防職員や消防団による巡視・警戒も続けられていく▼鎮火宣言後は、復旧・復興のフェーズへと移っていくはず。国による激甚災害の指定も見込まれている。森林の再生や被災事業者の支援など、被害に応じた取り組みを着実に進めてほしいと思う。
- ●つむじ風 5月18日
- GWは片道約600㌔、合わせて約1200㌔の全区間でハンドルを握った。幸いにも首都圏の人たちとは逆の行程となるので、行き帰りも比較的スムーズに運転できた▼高速道路を運転していて、いろいろと気付くことがある。行きの3日には、福島市や群馬県太田市、伊勢崎市、栃木県鹿沼市…等々、数多くの消防車が南下中だった。大槌町で発生した山林火災の「鎮圧宣言」を受けてのものだろう。走行台数から、数百台規模だったことが容易に想像でき、他県からの応援に県民の1人として感謝に堪えなかった▼帰りの5日は、対向車線(上り線)の渋滞がピークに。宇都宮を超え、那須高原近くまで渋滞が続いていた。SAに入るのさえ一苦労のようで、他人事ながら「何時に帰れるのやら」と心配になった▼長く続く渋滞には、数多くのトラックも巻き込まれていた。国民の生活に必要な物資の輸送は、平日もGWも関係ない。将来的に20万人以上のドライバーが不足すると懸念されている中、自動物流道路など新たな道路網の整備も必要になると実感した。
- ●つむじ風 5月15日
- 八幡平市は、GX産業団地の整備を計画。このほど経済産業省の「GX戦略地域制度(脱炭素電源活用型)」の有望地域に選定された。同市のGX産業団地は、市が出資する地域新電力「㈱はちまんたいジオパワー」による地熱由来の電力を活用するもの。市では今後、経産省との協議や基本計画の策定、民間セクターとの協議を進める▼GX戦略地域に決定すれば「団地整備に向けた事業環境整備支援、企業誘致支援およびその他インフラ整備」「GX産業団地で活用するための脱炭素電源や蓄電池等の整備」などへの支援が受けられるという。立地する企業は実利面のプラスだけではなく、GXという付加価値も高まるに違いない▼天候などに左右されない地熱由来という安定した電力を生かせることや、非化石証書等によらない実電力ベースでの脱炭素化を図る点が同市の計画のポイント。地域の雇用と経済の活性化に加え、造成や工場建設など、地元建設業にとっては新たな受注の好機となる。GX戦略地域の決定は夏ごろとのこと。良い結果を期待したい。
- ●つむじ風 5月14日
- 東北地方整備局や東北6県、東北経済連合会などの関係機関が一堂に会し、「東北圏広域地方計画」と「東北ブロックにおける社会資本整備重点計画」の原案を基に意見交換した。両計画は圏域としての各種ビジョンとなることから、ビジョンの実現に向けて、地域からの期待も大きいだろう▼原案に記載された将来像は、「東北圏から示す新たな選択肢~課題を新たな価値に変換し、開かれた圏域へ~」。課題をマイナスだけで捉えるのではなく、プラスにしていこうというフレーズが非常に印象的だ▼東北圏広域地方計画の基本方針は、①安心を灯す②自然を愛でる③恵みを分かつ④生活を紡ぐ―の4項目。東日本大震災の教訓を踏まえながら、防災先進圏域を形成するとともに、地域産業などの強みを生かし、新しい未来を創造していくことを目指す▼広域連携プロジェクトとしては、産業創造に向けた拠点形成や格子状道路ネットワークの整備などの具体的な取り組みが盛り込まれている。重要な施策を展開するためにも、東北圏の未来へ建設産業が不可欠だ。
- ●つむじ風 5月13日
- 湯田ダムの堤体最頂部にあるクレストゲートから点検放流する錦秋湖スプリング放流が9、10日の2日間に行われた。9日は悪天候が予想されたため、好天が見込まれる10日に現地を訪れた▼30分程前に特別見学エリアに到着。携帯電話の電波状況が思わしくない中、周囲を見上げると、今まで見たことがない位置からのダム本体やジャンプ台の曲線美、新緑の緑と赤い大荒沢スノーシェッドの対比…。あっという間に待ち時間が過ぎた▼午前10時に門が開くと「サー」という音ともに両端の2門から始まり、6門すべてから放流。ジャンプ台で空中に放り出された水が水面に打ち付けられ、水滴が青空へと舞い上がっていった。ジャンプ台間近からの眺めも圧巻だった▼盛岡市から訪れた男性は、朝一番のJR北上線を利用し特別見学エリアで見学。「知人から湯田ダムの放流は別格と聞き足を運んだ。迫力に驚いた」と堪能した様子。今回の点検放流をきっかけにダムに限らずインフラに対する興味や関心が高まり、インフラツーリズムの拡大にもつながってほしい。
- ●つむじ風 5月12日
- 県内4重要港湾の整備を推進する、東北地方整備局釜石港湾事務所。26年度当初予算は16億6000万円で、久慈港湾口防波堤整備に15億6000万円、宮古港藤原防波堤で進める予防保全に1億円を配分し、事業の進捗を図っていく▼管内の防波堤整備は、東日本大震災で被災した大船渡港湾口防波堤が16年度に、世界最大水深(マイナス63㍍)を誇る釜石港湾口防波堤は17年度に復旧工事が完了。宮古市鍬ケ崎・出崎地区の安全確保を図る、宮古港竜神崎地区防波堤も、20年度で完成している▼残る久慈港の湾口防波堤整備は、16年度で南堤(総延長1100㍍)が概成。事業は現在、北堤(同2700㍍)に力点が置かれ、ケーソン整備が展開されている。26年度事業ではケーソンの据え付け2函を計画しており、設置されれば、北堤は1968㍍まで延伸することになる▼久慈港湾口防は、33年度の完成が予定されている。昨今頻発する三陸沖などの地震も、不気味に感じられるところ。暮らしの安全、津波防御のためにも湾口防の着実な整備を求めたい。
- ●つむじ風 5月9日
- まだ連休中の読者もいるかもしれないが、大型連休を終えて久々の仕事に、調子が戻らず今週を過ごす読者が多いだろうか。体調を整えて、来週に臨みたい▼わが子の友人には連休期間中の平日、家族旅行のため数日学校を欠席した子がいたと聞いた。学校を欠席しての旅行には賛否あるだろうが、学校側としては各家庭の判断によるもので、特に否定するものではないスタンスのようだ。全国の自治体には、子どもが平日に学校を休み、家庭や地域などで体験活動などをすることで学びを深めてもらおうとの考え方の一環で、「ラーケーション制度」を導入する事例も徐々に増えている▼大人の社会でも、働き方改革が進み労働時間を減らす流れだが、比例して仕事量が減るわけでない。人材不足などで、仕事量が増えたケースもあるかもしれない▼必要な休日数の確保、労働時間を削減しなければならず、人員が減る中、いかに仕事をこなしていくかは大きな課題。「ラーケーション制度」でも、欠席中に進んだ分の授業の遅れなどは、各家庭に対応を求めるとしている。
- ●つむじ風 5月8日
- 盛岡市在住のデザイナーと話をする機会があった。話題としたのは、大学生や高校生が生成AIでつくった原案を、より多くの人が親しみやすいように仕上げた作品。「いずれ私たちの仕事はAIに置き換えられるかもしれませんね」とデザイナーの一言。参考までに生成AIでつくった原画を見せてもらった。デザイナーの感性をAIが上回るのは当分先のように感じた▼ジャック・アタリは、近著『豊かな人生を送るための金言集』(プレジデント社、2026年)の中で、思考や推論をAIが代替する可能性を示唆しながら、人間が未熟な脳で他者とコミュニケーションを取ることは困難だと指摘。AIにより脳の働きを拡張させ、脳の退化に抗わなければならないとも説く▼なんだか建設業界にも当てはまりそうな一文。ICT技術を活用して、熟練技術者をはじめとする人材不足をカバーし生産性向上を図る取り組みもすっかり定着した。それでも建設業本来の技術と技能が持つ価値は不変。ベースとなる高い技術と技能があってこそ、建設DXも生きてくる。
- ●つむじ風 5月7日
- 先月20日の午後5時ごろ、翌日に控えた研修に備えて早めに出発しようとしていたところ、地震が発生した。県内では最大震度5弱を観測したほか、津波警報や後発地震注意情報が発表される事態となった▼内心穏やかではないながらも、移動のために駅へ向かうと、その日の新幹線は全て再開のめどが立っていないとのこと。無事に会場にたどり着けるのか分からず、不安を抱えたまま、一度家に帰るほかなかった▼翌朝再開した新幹線に乗り、なんとか会場までたどり着いたが、改めてライフラインの重要性を身をもって確認する機会となった。4枚のプレートの上にまたがる日本列島、広大な県土を持つ本県において、強靱な交通網の維持管理は、災害への備えという防災面だけでなく、日々の暮らしを営む上での安心感にもつながるのではないか▼自然災害を完全に無くすことは難しいが、被害を最小限に抑えたり、いち早く立ち直ったりするための対策を講じていくことはできる。後発地震注意情報が終了した今だからこそ、有事への備えを進めていきたい。













