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2025年
11月3日(月)
02:58

コラム集

●つむじ風 10月31日
 新政権における経済財政政策は「責任ある積極財政」。所得増と消費マインドの改善、事業収益の向上、税収増という好循環を目指していく考えとのこと。高市総理は所信表明演説の中に「令和の国土強靱化対策」という項目を設けており、建設産業界としても積極財政や国土強靱化というキーワードに期待したいところだ▼大規模な災害が毎年のように発生する昨今、国土強靱化対策が必要であることは論を俟たない。その中には当然、防災インフラの整備や既存インフラの老朽化対策などが含まれる。また、食料安全保障や稼げる農林水産業の創出という考えから、農業基盤整備などへの投資は今後も一定程度は続くものとみられる▼一方で、開発型の公共事業を今後どのように位置付けていくか、十分な議論が必要。経済成長や地域未来戦略などと関連させながら良い方向に進めていきたい。このところ一般世論の関心が公共事業に向いていないことが気になっている。「災害の多発で公共事業が見直されている」と楽観もしていられない。一番怖いのは無関心だ。
●つむじ風 10月30日
 県北広域振興局農政部農村整備室は、洋野町の城内地区で、新たなほ場整備事業の実施を構想している。面積としては、56㌶を見込んでいる。事業化が実現すれば、久慈広域管内としては、宇部川地区(久慈市、野田村)や林郷下地区(洋野町)などに続く大区画化の面整備となる▼同室では25年度、地域への説明会を重ねながら、合意形成を進めている。26年度にも調査計画に着手する予定で、29年度までの4カ年で調査計画を進めていくことを想定している▼同地区は、同町北部の川尻川沿いに広がるエリアで、米を中心に生産している地域だ。ほ場整備の構想と並行して、スマート農業の導入検討も進められている。地元では「基盤整備を進め、次代に農地を引き継ぎたい」との強い声が上がっており、県側に大きな期待を寄せているようだ▼日本の食料基地とも表現される東北地方。昨今の情勢として、米の生産量や価格などに対する全国からの注目度も高いだろう。ほ場整備には、地域建設業の力が必要に―。建設業は安定的な食料生産も支えている骨格の産業だ。
●つむじ風 10月29日
 国土交通省は、今月から12月までに抜き打ちで施工体制に関する全国一斉点検を実施する。今回で24回目となる取り組みで、点検を通し、公共工事のより一層の適正な施工体制の確保と徹底を図る▼対象工事のうち、低入札価格調査対象工事は、請負金額に関わらず全ての工事が点検対象となる。点検内容は、監理技術者等の配置や下請け契約、施工体制台帳の備え付け、下請負人―に関する点検を予定している▼24年度の点検状況を見ると、全体で稼働中工事7776件の約7・1%に当たる555件(うち低入札工事は10件)の工事を点検。点検結果は、おおむね良好だった。一方で、監理技術者証の不携帯や施工台帳に記載すべき内容の元請け人に関する事項のうち作業員名簿に不備があったなど、建設業法違反に該当する工事が延べ3件あったという▼公共・民間工事に関わらず、工事の品質や安全等を確保するためには、適正な施工体制のもとで工事が実施されていることが重要だ。直轄工事のみならず、各現場を今一度確認し、適正な施工体制の確保を図りたい。
●つむじ風 10月28日
 各地で展開されている、建設業の担い手確保に向けた取り組み。重機の試乗体験だけでなく、最近は建設DXの流れの中で、ドローン関連や3D測量などを紹介する企画も、かなり広まってきたように感じる▼取り組みを取材する機会も多いが、参加した児童などを見ると、高所作業車の試乗と同じように、こうしたDX関連の体験のリアクションが良い。タブレットで実際に対象を撮影し3Dモデルを作る体験をはじめ、ドローンシミュレーターやドローンの操作、VR(仮想現実)を使った安全教育などが企画され、現場では目を輝かせながらドローンを操る児童など、最新技術を楽しみつつ学ぶ姿を目にする▼堅苦しくなくゲーム感覚でできるところも、若い世代には取っ付きやすさにつながっているのだろう。ドローンだけでなく重機のシミュレーターなどを使ってみるのも有効かもしれない。業界へ興味を持ってもらう入り口として、実際に使用している重機の迫力とともに、DX技術にも触れてもらいながら建設業の面白さを感じてほしいと思う。
●つむじ風 10月27日
 10月も下旬となり、日々の寒さ、白鳥の飛来や岩手山の初冠雪など、冬の足音をひしひしと感じるようになってきた。今後は、八幡平アスピーテラインや樹海ラインなどの冬期通行止め、除雪業務の出動式などと、冬が徐々に本格化するのを感じていくのだろう▼除排雪業務では、廃業で除排雪業務を請け負う業者数が減ったことなどで、今年度も件数や担当する距離など見直して公告した地域があるようだ。住民の足確保、経済活動のために重要な除排雪業務。見直された内容で、無事に担当業者が決まることが願われる▼先日は、除雪車が国道を走っている場面を見かけた。本格的なシーズンに向けた準備などに関わるものだったと思われる▼物価高騰などにより、実質的な仕事量が減っているといった指摘が、業界側から多くなされている。自治体から出された発注見通しを見ても、実際に件数は減っている。今冬がどんな状況になるか分からないが、降雪量や出動回数にかかわらず、適切に除雪業務を執行できるような措置を講じることが一層重要になってくる。
●つむじ風 10月24日
 ここ数日、朝晩には家で暖房を入れるようになった。ついこの前まで上着なしで外出していたような気がするのだが…。「涼しくなった」と快適な季節を実感できる時が年々短くなっているような気がする▼日が落ちるのも早い。長い長い酷暑の夏を乗り切り、熱中症対策をしなくて済むようになったと思った途端、短かい秋が早くも終わろうとしているようだ▼12月1日から来年1月31日までの2カ月間、「いわて年末年始無災害運動」が行われる。路面凍結など冬季特有要因による転倒災害や交通事故などが増えることに加え、年末年始の慌ただしさもあり労働災害のリスクが高まる時期であることから、岩手労働局と岩手労働災害防止団体連絡協議会が主唱し、各労働災害防止団体が中心となって労働災害根絶に向けた取り組みを推進する▼11月は準備期間。作業環境が厳しくなってくる時期を間近に控えて、各現場ともに冬への備えが始まるころ。仙台管区気象台によると11~1月の東北太平洋側の平均気温は「平年並か高い見込み」とのことだが、油断なく備えたい。
●つむじ風 10月23日
 「北海道で今季初の鳥インフルエンザが発生―」とのニュースが、各種媒体で報じられていた。地元の行政機関や建設業界が全力を挙げて、防疫対応に当たっていることだろう▼本県では、年明けに盛岡市内、軽米町内において、鳥インフルエンザが立て続けに発生。県建設業協会(向井田岳会長)の盛岡支部、二戸支部の会員が中心となり、防疫対応に当たった。さまざまな教訓や課題などを踏まえ、組織力の強化を図ってきた▼当時の教訓としては、「夜間の作業も必要とされることから、現場の一番の課題は寒さだ」「埋却場所やスケジュールを言葉で伝達することが難しかった」「会議資料を電子データ化し、会議室でプロジェクターに映しながら、地図などの情報を共有できれば良かったと感じている」などの声が聞かれた。「オペレーターが長時間労働で疲労しているとの話も聞いており、ローテーションを上手く組むことが重要」といった指摘もあった▼関係機関との連絡系統などを今一度、確認したい。地元建設業の機動力は、地域の防災力にもつながる。
●つむじ風 10月22日
 日本ダム協会が任命するダムマイスター。その中の一人、佳(よっしー)さんが先日、湯田ダム60周年記念式典で講演した。テーマは「湯田ダムの魅力を語る」。一生懸命に魅力を語る姿から、湯田ダムに対する思いの深さを感じた▼湯田ダムの魅力的なポイントとして、クレストゲートのフリップバケットを挙げる。左右で形状が異なる点を紹介し、「巨大建造物に計算し尽くされて作られた洪水吐。非常にスタイリッシュな印象を受ける」と話す▼佳さんは、地元・岐阜県の丸山ダムで進む新丸山ダム建設事業において、転流工事の進捗に合わせて初回発破石、ダム軸通過石、貫通石を記念石としたスタンプラリーの取り組みを紹介。ダムのコンクリート欠片を景品としたスタンプラリーも好評だったという▼全国各地のダムを訪れている佳さん。何度も足を運ぶことで、新たな気付きが生まれ、さらなる魅力の発見につながっている様子だった。錦秋の候。その名を冠する錦秋湖には、紅葉シーズンが訪れている。実際に足を運ぶことで新たな発見につながるかもしれない。
●つむじ風 10月21日
 県が各地で開催している防災対策に関する出前講座。先週は、宮古市内の中学生を対象に開かれ、土砂災害から身を守る方法として早期避難を訴えていた▼当日、中学生らは、宮古市赤前地区で整備中の渓流保全工の現場を見学。現地では高さ約80㍍の勾配の中で、土石流から地域を守るため、総延長約800㍍にわたり工事が進められている。県側は渓流を階段状にすることで水の勢いを弱める床固工の効果や、出水で周囲の土石を巻き込まないようコンクリートブロックで固めていることなどを説明していた▼同校での座学では、県側が土砂災害について土石流や地すべり、がけ崩れの特徴、発生状況などを解説。危険な場所や避難所までのルートも含め、事前に確認しておくことや、勇気を持って早めに避難するよう呼び掛けた▼砂防堰堤や渓流保全工は山間部に整備されるため、中学生が実際に目にすることはあまり無いはず。地域を守る防災インフラの役割を現場で実感しつつ、日頃から災害に備えておく重要性について確認する機会になればと思う。
●つむじ風 10月18日
 今シーズン、本県は台風による直接的な被害には見舞われていないものの、全国に目を向けると被害が発生している。台風シーズン自体は、そろそろ終わる時期だが、近年の豪雨は、いつ発生しても不思議でない状況となっている▼一級河川馬淵川水系の馬淵川上流、二ツ石川、小井田川、女鹿川、平糠川、小繋川、宇別川、山形川、元町川の計9河川が、本県初の特定都市河川に指定となった。農地などの締め固められていない土地で行う、1000平方㍍以上の雨水浸透阻害行為について、調整池などの雨水貯留浸透施設の設置や知事の許可が必要となる▼馬淵川上流の一戸町では、22年8月の大雨で、家屋浸水が発生。堤防整備、護岸、掘削、橋梁の架け替えといった河川改修が盛んに進められている▼特定指定河川への指定、河川改修ともに、災害に強い地域づくりとともに、防災に対する地域住民らへの意識付けにも大きな効果を発揮するものとなる。流域関係者が一体となって取り組む流域治水の取り組みが一層浸透していき、治水対策の進展を期待したい。
●つむじ風 10月17日
 気が付けば特定の社員に仕事を回していることが多い。口では「業務の偏在化解消が課題だ」などと威勢のいいことを言っておきながら、舌の根も乾かぬうちにまた同じ社員に仕事を押しつけている▼県電業協会が会員向けに実施したアンケートによると、技術系職員の1カ月当たりの所定外労働時間は、6月末現在で10時間未満が49%と前年度を上回った。30時間以上は5%で前年度を下回っており、極端な時間外労働は解消されているが、10時間未満の内訳を見ると「5~10時間」の割合が上昇している▼有給休暇の取得状況なども合わせて、同協会では「特定の技術者に仕事が集中する『業務の属人化』が生じているのでは」と分析。同協会の千田新一専務理事は「人材育成にも関わってくる課題」として、幅広かつ本質的なテーマとして問題提起する▼従業員の高年齢化への対応も含めて、人材育成は喫緊の課題だ。入職した若年者の定着と成長。この課題に対する戦略がイメージアップでは限界も近い。見せ方ではない腰を据えた取り組みが必要になる。
●つむじ風 10月16日
 県や建設業界団体などは、建設業の担い手の確保・育成に向けて、県内の小中学生や高校生らを対象とした現場見学会や体験型の学習会などを実施している。現場見学会などは、先生方とも率直に話ができる貴重な場だと感じている▼県北の高等学校から盛岡地区の工業高校に赴任された先生に話を伺った際、「工業高校が少なくなり、寂しく感じる」と話されていた。その担当教諭は、建設会社での勤務経験を経て、教職員になったとのこと。建設業の魅力を伝えるため、生徒たちに熱心に指導している様子だった▼建設業界団体はさまざまな機会を捉えて、行政機関に対し、担い手の確保に向けた要望・提言を行っている。土木の担当部局だけではなく、「教育関係者とも連携し、建設業の魅力をPRしてほしい」といった趣旨の内容が含まれていることもある▼現場見学会や体験型学習会などの機会は、担い手の確保に結び付く重要な糸口となるだろう。引き続き教育面から生徒らをサポートするとともに、行政・業界・教育で連携し、建設業の姿を伝えたい。
●つむじ風 10月15日
 東北地方整備局港湾空港部は、8日からホームページ内に「みなとの社会科見学」を開設。巨大な船が停泊するみなとの整備状況を分かりやすく動画で紹介している▼みなとの事業や工事の重要性や必要性を多くの人に知ってもらうため、普段は目にすることが難しいみなとの工事を港湾建設関係団体と連携し、工事状況の動画を作成し情報発信していく。現在の工事動画は、仙台塩釜港と秋田港で、今後は青森港や酒田港の岸壁などの整備状況を公開予定という▼開設したサイトには、みなと整備プロジェクトとして、釜石港と大船渡港を挙げている。東日本大震災前後の両湾口防波堤の様子を映像で紹介しながら、復旧に至るまでの工事の様子なども紹介。映像後半には、完成した両湾口防波堤をドローンからの映像として映し出し、その威容を示している▼重要性が高まっている港湾インフラ。動画による紹介は、港湾インフラを身近に感じてもらう絶好のチャンスだろう。今回の特設サイトの開設をきっかけにさらに内容を充実させ、その魅力を発信していってほしい。
●つむじ風 10月14日
 奥州市では、胆沢南都田の広表工業団地の民間所有で耕作地となっていた残る分譲地について、用地交渉や造成を立地企業が実施するオーダーメイド方式から市直轄方式に切り替えて造成した。先日は、市直轄で造成後初の立地が決まり、調印式が執り行われた。進出する企業では、27年の操業に向けて建物の施工などを進める計画としている▼市内では、江刺フロンティアパークの北隣に整備した江刺フロンティアパークⅡが全12区画で完売。順調に企業進出が進み、新たな雇用創出、経済活性化などに期待が集まる。市では、次期工業団地の整備も構想する▼企業進出は地域活性化などへの起爆剤となる一方、景気後退や業績悪化などによる撤退が懸念材料にもなる。大工場が撤退した事例に対してのインパクトがあまりに大きく、「県外から進出してきた企業へ就職に、ためらう面もある」と話す県内高校の教員の声も聞く▼進出企業に、いかに地域に根ざし、永久的に企業活動を続けてもらうか。行政や地元など関係者が連携して、できることに取り組みたい。
●つむじ風 10月10日
 「いわて汚水処理ビジョン2025」(仮称)の素案がまとまった。今後はパブリックコメントや学識経験者らによる検討懇談会などを経て、年度内に新ビジョンが公表される見通し▼26~35年度の10年間を計画期間として、現行ビジョンの理念を継承。具体的な章立てでは汚水処理施設の経営、汚水処理施設の維持管理、災害対策という項目を立ち上げ、重点事項として取り組んでいく▼新ビジョンでは、人口移動の影響を受けやすい「汚水処理人口普及率」を、従来の目標から参考値とするなどの見直しが行われているほか、能登半島地震や埼玉県八潮市での道路陥没事故をはじめとする社会情勢の変化が取り入れられている。食の安全保障という観点も踏まえ、肥料利用率の向上といった目標も設定されている▼耐震化や耐水化計画の策定・改定、下水道DXの推進やストックマネジメント計画見直し、下水道施設のリダンダンシー・メンテナビリティの確保などの施策は建設産業にも関連が深そうだ。35年度までの集合処理区域の整備概成も含め注目していきたい。
●つむじ風 10月9日
 県は11月1日に、16年台風第10号災害からの復旧・復興記念式典を開く。岩泉町民会館で開かれる式典では、復興関連の動画上映なども行われる予定だ▼台風10号災害の当時を思い返すと、国道455号などの主要な道路が寸断され、現地に入るためには広域的な迂回が必要だった。インフラ関係では、河川の被害や土砂災害の発生などもあり、当時の状況が今も目に焼き付いている読者も多いのではないか▼県は、台風10号で甚大な被害を受けた同町において、道路・河川・砂防の災害関連事業を実施してきた。総事業費は計692・7億円。東日本大震災からの復旧・復興事業が進められていた中にあって、台風10号災害への対応も必要とされた。現場では、多くの課題を克服してきたのだろう▼県土整備行政、建設業界は、共に地域住民の安全・安心な生活を支えている。日頃から地域を見つめる多くの人がいることを、県民の一人として心強く思う。受発注者の立場を超え、引き続き「岩手の担い手」として手を携え、インフラ整備や国土強靱化に向かっていきたい。
●つむじ風 10月8日
 上下水道施設の老朽化は、日本全国で深刻な社会問題となっている。さらに追い打ちをかけるように、それらの老朽化や管理に精通した熟練職員の減少なども急速に進んでいる▼国土交通省は、将来にわたり上下水道サービスを提供し続けるためには、デジタル技術を活用し、メンテナンスを高度化・効率化させる上下水道DXの推進が重要と位置付けている。今年3月、上下水道施設のメンテナンス高度化・効率化に向けデジタル技術をまとめた「上下水道DX技術カタログ」を公開した▼このほど、45件の新たな技術を掲載。その中に㈱一測設計の「維持管理業務の省力化・高度化を実現した下水道統合管理GISシステム」が加わった。住基情報とリンクし排水処理人口集計や敷設後に年数の経た老朽管・特定材質の管路一覧作成などが可能という▼現在、カタログには163件の技術が登録されている。対象施設や目的、要素技術に分類され、検索しやすくなっている。水道事業者や下水道管理者らが抱える課題解決に向け、実際に導入検討する場合の参考にしたい。
●つむじ風 10月7日
 東北地方整備局南三陸沿岸国道事務所が所管する三陸沿岸道路の機能強化に向け、23年度に発足した連絡協議会。先月末には今年度の総会が開かれ、インターチェンジ(IC)のフル化などを求める要望項目を決議した▼同協議会は、宮城県東松島市から山田町までの沿線自治体7市3町で構成。21年12月に全線開通した三陸沿岸道路の機能強化と、それに伴う地域振興の機運を醸成し、結束して国への要望活動などを実施している▼総会では決議案として、主要箇所のハーフICのフル化や新設ICの整備、交通の円滑化に向けた4車線化、付加車線の延伸、さらに既存パーキング施設への休憩施設の整備などを採択。利便性の向上などに向け、取り組みを推進していく▼三陸沿岸道路では山田北ICのフル化や、田野畑チェーンベースのIC化、宮古市内の津軽石パーキングエリアには、トイレ棟の新設も進められているところ。災害に強いネットワークの構築や、物流・観光振興など沿岸地域の発展を支えるためにも、さらなる機能強化に向けた展開が必要だろう。
●つむじ風 10月6日
 今夏は、少雨のため取水制限が講じられるなど雨が待ち焦がれる状況だった。季節が進み、台風シーズンの時期となっているが、今度は雨が恐ろしい存在にもなりかねない。雨は、二面性があるものと言える▼東北地方整備局では、河川環境保全の大切さや「あらぶる雨」「めぐみの雨」といった、雨の二面性などを学習してもらうため「雨展」を各地で開催。県内では、9月18日から今月2日までの期間、一関市の北上川学習交流館あいぽーとで開かれた▼展示では、画面の前に立った人の動きに応じて光の雨が降ってくる映像や雨粒を小麦粉で表現したもの、気象観測装置「転倒ます型雨量計」、過去に起きた豪雨災害の記録映像などを用意。見て・触れて・聞いてもらい、雨の有する大きな力を伝えた▼降雨で得られた水を貯め、必要な時に必要な量を供給するダム、大雨時に増水した河川から市街地を守る堤防など、水をコントロールするために必要な公共施設は数多くある。雨がもたらす恵みをしっかり受け、猛威を軽減するため、着実に整備が進んでほしい。
●つむじ風 10月3日
 「87件かぁ…」。1日に公表された県営建設工事の発注見通しを見て、思わず唸った。前年度から10件の減。年度当初の予定件数は前年度を5件上回っていたので、当局が可能な限り早期発注に努めた成果とも考えられる。とは言え今後の発注が100件に満たないのは、かなり厳しいのが本音▼以前にも県工事が大幅に前年度を下回った時はあった。03~04年度は当時の増田寬也知事の方針の下、発注金額が2年連続で約3割削減され、2年間でほぼ半減。発注件数も2年間で3割ほど減った。06年4月策定の「建設業対策中期戦略プラン」でも件数・金額ともに大幅な減少を試算していた▼当時は「がんばって減らそう」という明確な意図を持って減らしていた。いまは「何とか確保しよう。できれば増やそう」と努力しながら思うにまかせない。だからこそ深刻さの度合いはより大きい。ここ数年は国の経済対策に対応して、国土強靱化関連事業が年度後半の補正予算に計上されてきた。建設産業界からも必要な社会資本の姿を提言し、ともに予算獲得に努めたいところだ。
●つむじ風 10月2日
 県建設業協会(向井田岳会長)が実施している工業高校などの生徒を対象とした現場見学会。25年度の現場見学会が、9月18日を皮切りにスタートした。第1弾は県立一関工業高校、第2弾は久慈翔北高校。今後も10月から11月にかけて、順次開催される予定だ▼一関工業高校では国道107号大石地区の災害復旧(西和賀町)、久慈翔北高校では産業廃棄物の最終処分場(八幡平市)の現場を訪問した。現場では、工事に導入されている大型の建設機械や、新しい技術などを紹介。生徒たちは現場担当者らの説明を聞きながら、自分たちの進路先を考えていた▼取材する立場としても、めったに見られない現場を歩くことができ、非常に面白い。工事のスケールを肌で感じることができる。現場で生き生きと働いている人の笑顔も見られ、同時に生徒たちの緊張もほぐれた様子だった▼建設業の担い手の確保は、県内建設企業にとっての共通課題。見学会から感じた現場の雰囲気などは、生徒たちの心にも残っていくはずだ。現場の魅力は、やはり現場から伝わる。
●つむじ風 10月1日
 9月の準備期間を経て、きょう1日から7日は全国労働衛生週間。1950年の実施以来、今回で76回目を迎え、「ワーク・ライフ・バランスに意識を向けて ストレスチェクで健康職場」をスローガンに掲げている▼歴代のスローガンを見ると、初めてカタカナが入ったのが94年度の「ストレス」。以降、少しずつ増えてはいるものの、今回の「ワーク・ライフ・バランス」と「ストレスチェック」と二つのカタカナが入ったのは初めて。それだけ重視されていることなのだろう▼背景には、今年5月に成立した改正労働安全衛生法がある。労働者数50人未満の事業場でも、ストレスチェックの実施を義務化。今一度、ストレスチェックなど職場におけるメンタルヘルス対策を点検しなければならない▼メンタルヘルス対策は、特定の個人へのアプローチになってしまいがち。メンタルヘルス不調の状態が続くと、職場の士気低下を招き、事故やミスなどあらゆるリスクを事業場が背負う可能性がある。個人の問題ではなく、職場の問題として捉えなければならない。
●つむじ風 9月30日
 宮古市が市中心部の商店街を通る市道末広町線で整備した、無電柱化工事。整備の完了に伴い、市は商店街や沿線住民を対象に、事業への評価などに関するアンケート調査を行い、結果を公表した▼事業では、車重視から歩行者優先とするため、宮古駅に程近い延長470㍍にわたり、20年度から24年度までで工事を実施。28本あった電柱を全て撤去したほか、道路空間の再配分では一方通行化により車道幅員を縮小し、ゆとりある歩道を実現した▼アンケートの回答数は30件。結果では、事業全体に対し79%が「よかった」と回答し、高い評価を得る結果となった。無電柱化の推進についても87%が支持。主な理由として防災面、歩行者の安全性、景観向上などが挙げられた▼一方で、工期の遅れなど工事に対する不満点も。丁寧な説明や夜間工事でのマナーの向上、確実な工程管理等、地域に寄り添った進め方の必要性も示された。市では市道末広町線に続くルートでも無電柱化を計画している。今回の結果を参考に、市民の満足度の高い整備を目指してほしいと思う。
●つむじ風 9月29日
 県内ほ場での稲刈りが進み、農村整備事業の施工が始まる時期だが、橋梁の補強や補修に関わる施工も、秋ごろから始まる現場が多い。今月は、橋梁の補強や補修工事が多く公告され、個人的にも橋梁の施工に関する記事を多く打っていた感触がある▼橋梁に関する施工は、川に係る作業となれば、河川の渇水期となる11月から翌年5月までが主となる期間。冬期をはじめ、厳しい条件下の時期にもかかり、事故などには気を付けて作業していきたい▼今月は、県県土整備部道路環境課によるインフラメンテナンス工事現場見学会や勉強会を取材する機会もあった。参加した生徒から感想など聞くと、メンテナンスの大切さに理解を示しているほか、橋梁の施工に関する技術などへ興味を持ったと話してくれる生徒もいた▼見学会や勉強会に参加した生徒が、一人でも多くその道に進んでくれればと思う。見学会などでも話されているように、架設から50年を経過する橋梁は今後一気に増え、修繕等の計画、設計や施工に携わる技術者らの存在は比例して重要になっていく。
●つむじ風 9月26日
 県の26年度当初予算編成方針によると、公共事業の通常分は25年度の1・00倍。2年連続のゼロシーリングだが、「前年度の経済対策分を含めた実行予算ベースを勘案することとし、国の動向などを踏まえて必要に応じて別途協議を認める」としている▼予算要求・調整要領を見ると、公共事業においては、現在策定中の「第3期県国土強靱化地域計画」を踏まえた取り組みの重点化を図るとともに、費用対効果の分析等も踏まえ、重点的・効率的な事業実施への留意が求められている。言い換えると、国土強靱化の施策に乗らない事業には予算が配分されづらくなるということだろうか▼今回の要領に新たに追加された項目に、以下の一文がある。「事業費の積算にあたっては、実勢を踏まえた適正な労務単価や資材価格を考慮し、受注者が適切に価格転嫁を行うことができるよう留意すること」▼非常にありがたい一文だが、総枠が横ばいの中、「適切に価格転嫁」を行うためには、最善の策をどこに見出したらよいか。量か質か、あるいは別の何かを考えられるか。
●つむじ風 9月25日
 県北広域振興局土木部は、19年台風19号と同等の規模の洪水に対応するため、久慈市内の小屋畑川などで河川改修事業を進めている。現地では、河道掘削や橋梁整備など、事業の進ちょくが図られている。地域住民は、現場を眺めながら、建設業の活躍を肌で感じているのではないか▼同事業は、新たな河道などを整備することで、災害に強い安全な地域づくりを支えるもの。同市側からも、早期の事業完了を期待する声が聞かれる。同土木部は25年度に、長内地区における丘陵部の掘削などを推進していく。橋梁の上部工、下部工工事なども引き続き展開していく計画だ▼同土木部では、掘削工事や土砂運搬の本格化に伴い、工事間の調整などを重要課題に挙げている。これからの時期は日没も早くなる。交通安全の確保なども含め、事業全体での取り組みが、一層重要になってくる▼事業の終盤に向かう中にあっては、公共事業予算の安定的な確保も課題に―。地域に必要とされる工事を力強く進めるためにも、事業の意義、地元建設業の重要性を訴えたい。
●つむじ風 9月24日
 長靴の形に例えられるイタリア半島。そのつま先からメッシーナ海峡を越え、シチリア島を結ぶ吊り橋の建設が計画されている。イタリア政府出資の公団と事業を契約した特定目的会社には、IHIも参画。年内に着工し、工期は7年程となる予定だ▼同橋の中央径間(主塔間の距離)は3300㍍。現在の世界1位、トルコのチャナッカレ1915橋の2023㍍を抜き世界最長の吊り橋となる。ちなみに世界2位は、日本の明石海峡大橋の1991㍍となっている▼県内で大きな吊り橋と言っても、あまりピンとこない。近い所で気仙沼湾横断橋を考えたが、こちらは主塔から斜めにケーブルを張って直接橋桁を支える「斜張橋」。県内では、解体済みだが、陸前高田市の復興工事で使用された土砂搬送用の巨大ベルトコンベヤーが吊り橋だったはず。気仙川に架かる「希望のかけ橋」の愛称で、市中心部のまちづくりを支えた▼イタリアでは新橋により、南部の物流、観光の活性化、経済発展が期待されているという。かの地でも「希望のかけ橋」となるに違いない。
●つむじ風 9月22日
 県内各地で秋祭りのシーズンとなっている。わが家の近隣でも山車が練り歩き、聞こえてくる太鼓などの音には活気を感じた。秋の風物詩と言える風景だが、少子高齢化などで開催することが大変になってきている祭りもあるのではと感じる。実際に、規模を縮小するなどした祭りを見聞きする▼わが子の通う小学校では、地域の祭りや伝統芸能を学習の題材の一つとしているようで、宿題で取り組んでいる様子を見る。こうした取り組みは、祭りや伝統芸能を後世まで残すための方策の一つでもあるだろう▼地域の祭りやイベントには、協賛する地元企業や団体などで、建設業者をよく見かける。加えて、実際にイベントに社員らを参加させ、地域の盛り上げに一役買っている事例もあるようだ▼各地域に点在し、地域に根差した建設業者だからこそ担える役割だろう。ただ、建設業者も経営の厳しさのみならず、後継者がいないことで廃業するケースも多くなってきている。地域建設業者が減っていくことは、地域から活気がなくなっていくことに直結しかねない。
●つむじ風 9月19日
 県電業協会の調査によると、25年6月現在、会員企業の42%が「完全週休2日」を達成。4週8休の6%と合わせると、約半分が週休2日の水準をクリアしていることになる。日給月給から月給制への移行が進んでいる点と合わせて、同協会では「新規採用を意識した動きと思われる」としている▼同協会は19年度から22年度まで10回にわたって協会員の一斉休日を試行するなど、休みが取りづらいと言われる専門工事業における働き方改革の推進に努めてきた。当時の完全週休2日の割合は8%。4週8休と合わせても1割に満たなかったことを考えると、同協会が先導しての働き方改革への取り組みが着実に効果を上げてきたことが分かる▼同協会の太田喜直会長は「多くの人が休んでいるときに必要とされ、頼りにされる仕事であることを、電気工事業の魅力として伝えたい」と話す。土曜・日曜や深夜の勤務は、その仕事の社会的な存在意義の証明でもある。あとは代休や振替休日などの工夫次第。冬期間の除雪や水道管の凍結対応などにも同様のことが言える。
●つむじ風 9月18日
 普代村が建設工事に着手した義務教育学校の「普代学園」。施工者の主催による安全祈願祭を経て、本格的な工事に取り掛かった。同村では27年2月の完成、同年4月の供用を目指し、建設工事を進めていく。同村による近年のプロジェクトとしては、新魚市場の整備に続く大型事業となる▼建設場所は、三陸沿岸道路の普代北インターチェンジ付近の高台に当たり、総合運動公園も近い。校舎棟は鉄筋コンクリート造3階建て、延べ床面積が4189・93平方㍍。校舎棟には、1階から3階までつながる大階段を整備する計画。大階段においては、プロジェクターを下ろし、全校児童・生徒が階段に座りながら視聴できるスペースを確保する。9年間の義務教育を行う施設ならではの大きな工夫だろう▼普代学園の建設に当たっては、東日本大震災の教訓を踏まえ、冷暖房設備の整備など、避難所としての機能を強化していく方針だ。子どもたちが住民との交流を通じ、地元への愛着心を育むとともに、三陸地域の防災力を高めるシンボルとなることを期待したい。
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