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2025年
8月20日(水)
16:22

コラム集

●つむじ風 8月20日
 岩手の空の玄関口「いわて花巻空港」。9月20日の空の日を記念し、スカイフェスタ2025が同月23日に開かれる。昨年は供用開始から60周年の記念イベントで、天気にも恵まれ家族連れなど1万2000人超が来場した▼普段は入場できないエプロンエリアに、小型機や化学消防車、除雪機械などを展示。化学消防車による放水デモンストレーションや軽飛行機による曲芸飛行などを披露。今回も同じようなイベントが企画されている▼県建設業協会花巻支部青年部会(照井正樹部会長)は、イベントに初参加。ゲート前エリアに高所作業車やホイルローダーなど4台を配置し、照井部会長ら9人が重機展示や搭乗体験に対応した。多くの来場者に部会員らは大忙しだったが、笑顔で搭乗する子どもらの姿に癒やされた様子だった▼照井部会長は「建設業に親しむことで、将来一人でも多く建設業の仕事に就いてほしい」と願った。これだけ多くの人と触れ合う機会は少ないだろう。来場者にとって建設業の正しい理解につながり、その魅力を発信する場となってほしい。
●つむじ風 8月19日
 大槌町が町中心部に整備した、東日本大震災の追悼施設「鎮魂の森あえーる」。施設は5日の供用開始後、15日には完成を記念し、震災で犠牲になった町民と同数の1286発の花火を打ち上げ、祈りをささげた▼打ち上げに際し平野公三町長は、「大槌町は、あの日を忘れず、教訓を未来へとつなぎ、命を守るまちづくりを進めてまいります」とメッセージを寄せ、犠牲者を悼むとともに、次世代へ震災の教訓を伝え続けていくことを誓った▼施設は同町須賀町に整備。市街地を守る大槌川水門の周辺で、1・45㌶の敷地内には芳名碑をはじめ、献花台や水盤が設置されている。愛称の「あえーる」には、はるかかなたの海へ旅立っていった多くの人たち、故郷を離れて暮らす人々と出会える場、まちの未来にエールを送る場になってほしいとの思いが込められている▼震災の発生から14年5カ月。町の風景や暮らしが変わる中で、施設は当時を思い起こす拠点になるはず。多くの人が集い、震災の記憶を後世へ継承しつつ、災害への備えについて考える場になればと思う。
●つむじ風 8月18日
 8月になると、岩泉町や宮古市、久慈市などに甚大な被害をもたらした16年台風第10号災害のことを思い出す読者も多いだろう。県建設業協会(向井田岳会長)の本部や被災した現地支部、隣接支部が一体となり、発災直後の応援体制の構築や道路啓開に始まり、応急復旧、本格的な復旧・復興など、各種ステージに対応してきたことが強く印象に残っている▼6月に閣議決定された第1次国土強靱化実施中期計画では、国土強靱化の基本的な考え方や実施すべき施策などを記載している。主な施策では、「防災インフラの整備・管理」「ライフラインの強靱化」などと合わせて、「地域防災力の強化」の視点も盛り込まれた▼地域防災力の強化に向けては、ハード、ソフトの両輪での取り組みが重要とされている。地域防災力の根幹を支えている存在が地域の建設業界と言えるのではないか。県民の安全・安心な生活を守り、災害に強い県土を次代に引き継いでいくためにも、「地域を熟知した目」を持つプロフェッショナルとして、地元目線の強靱化を提案していきたい。
●つむじ風 8月9日
 先日、とある業界団体の代表の方に久々に会う機会を持った。以前は、毎年開かれるイベントの際に必ず会っていたが、コロナ以降、未開催が続いている。休日に開かれていたイベントだが、聞けば「土日は社員を休ませたいし、建設業も週休2日が当たり前の時代になってきた」と理由を挙げ、「何らかの形でまたやりたい」とも話していた▼建設業でも週休2日が広まる中、休日のイベントを続ける企業、業界団体もある。土日に休ませたいと考える経営陣、会社や団体のためなら時には休日でも働く社員ら、どちらも企業と社員とが良い関係を築いているからこそのものだろう▼災害時などには、昼夜問わず対応するケースがあるのが建設業。9日からお盆休暇の企業も多いと思われるが、数年前には、お盆中の大雨で、応急復旧などに対応した建設業者があった▼今年1月には、県内で高病原性鳥インフルエンザが発生、正月早々から建設業が活躍した。ワーク・ライフ・バランスと建設業の担う役割の双方に気を配りながら、業界は日々の業務に取り組んでいる。
●つむじ風 8月8日
 6月1日施行の改正労働安全衛生規則により、各職場における熱中症対策の強化が図られた。各事業所に対しては、熱中症の重篤化を防止するための「体制整備」「手順作成」「関係者の周知」が義務付けられている▼事業所ごとに連絡体制の整備が必要になるが、元下関係で現場を動かしている建設業にとっては、この点が意外に厄介かもしれない。まずは現場ごとの連絡体制と安衛則に定める熱中症対策の対応状況を見直してみることが必要だろうか▼厚生労働省によると、職場における熱中症による死亡災害のほとんどが、初期症状の放置や対応の遅れによるもの。今回の安衛則の改正はあくまでも重篤化の防止を主眼に置いたもので、大前提としてあるのは熱中症の予防対策▼「建設現場における熱中症対策は、ヘルメット着用と同じレベルになった」とも言われ、各現場では、空調服や遮熱ヘルメットの配布、冷房車の配備などの対策を講じている。取材中に聞いた一言「熱中症対策は、どれだけやってもやり過ぎにならない」が、今夏は一際実感させられる。
●つむじ風 8月7日
 県では、国道281号の案内~戸呂町口工区(久慈市山形町)で、急カーブ区間などの解消に向けて、道路改良事業を進めている。同工区内に整備が計画されている(仮称)下平トンネル(延長569㍍)の築造工事の入札が行われ、落札者が公表された。引き続き切れ目のない事業展開に、大きく期待している▼先月22日には、国道281号整備促進期成同盟会(会長・遠藤譲一久慈市長)が県に対し、道路整備の要望を実施した。遠藤会長は、上澤和哉県土整備部長に要望書を手渡し、公共事業予算の確保と合わせて国道281号の抜本的な改良を要望。生活や産業の基盤となる道路の重要性を訴えていた▼同盟会による要望とは別に、同市をはじめとする市町村から県への要望会が今後、予定されている。要望会では、より地元の目線に立った話題が提供されるだろう▼公共事業予算の安定的な確保などと合わせて、地域の声や、時代とともに変化するニーズなども切れ目なく把握することが大切。地域にとって真に必要なインフラを確認し合う機会を大事にしたい。
●つむじ風 8月6日
 ネットとは無縁の小中学生の頃、夏休みの課題や自由研究に苦労した。特に、小学生の時、創作と研究が交互に出され、何をやるかで毎年恒例の言い争いが、今の時期だったような気がする▼国土地理院が公開している「地理教育の道具箱」は、そんな小中学生や保護者に朗報。300を超える各種コンテンツを掲載し、小中学生それぞれの学習段階に応じた地図や地理に関する学びに役立つ内容が満載だ▼例えば、小学5・6年生向け。「先人が残したメッセージから学ぼう」をテーマに、身近にある自然災害伝承碑を調べることを促している。中学生向けを見ると、河川がつくったさまざまな地形について、その特徴や成り立ちを写真や地図、イラストなどさまざまな表現方法で視覚的に理解することができるようになっている▼各コンテンツをのぞくと、児童や生徒のみならず保護者にとっても有益な情報が盛り込まれている。地理教育の道具箱を活用し、楽しく地図や地理、地域の地形や土地の成り立ちに関する理解を深めるとともに、災害への備えにも役立てたい。
●つむじ風 8月5日
 先月30日にロシアのカムチャツカ半島付近で発生した巨大地震では、津波注意報・警報が発令され、県内でも津波が観測された。同付近では3日も地震が発生。日本への津波の影響はなかったが、引き続き注意していきたい▼30日に起きた地震では、最大波として久慈で1・3㍍、宮古と釜石で50㌢、大船渡で40㌢を観測。東日本大震災の津波災害を教訓に、避難誘導や水門・陸閘の自動閉鎖、海沿いの道路などで通行止めが実施されたほか、関係機関、建設業団体は情報収集に努めた▼県内の延べ避難者数は5229人。避難指示の対象者約5万3000人のうち1割が避難したことになる。炎天下での避難となり、久慈市では90代男性が避難途中に熱中症で、大槌町の避難所にいた30代女性は避難所から熱中症の疑いで、病院に搬送された▼1日の会見で達増知事は、「真夏における避難の大変さが分かったので、今回の教訓を生かし対策を検討していきたい」と語った。冷房設備の設置や停電時の対応なども踏まえ、酷暑下での避難にも備えておく必要があるだろう。
●つむじ風 8月4日
 8月に入り今月は各地、各建設関連団体などで道路清掃を行う時期となっている。今シーズンも例にもれず、近年の8月の道路清掃活動は、熱中症が懸念される状況下での作業となっており、参加者にはくれぐれも注意してほしい▼猛暑が続いていることから、今年度の道路清掃活動について、8月の開催を取りやめ、9月に延期することを計画する団体もあるようだ。この時期の道路清掃は、10日の道の日、8月の道路ふれあい月間に合わせたもので、お盆に合わせ本県を訪れた帰省客や観光客などへのおもてなしの思いも込められたものとなっているが、猛暑を要因に延期する判断はやむを得ないものだろう▼猛暑の影響は、さまざまな面に出ている。5日から始まる全国高等学校野球選手権大会では今年度、開会式が午後4時からを予定。試合についても昨年から午前の部、夕方の部の2部制が取り入れられている▼毎日屋外での作業となる施工現場で、熱中症の危険は非常に高まる。現場での対策、管理の徹底とともに、工期面などでの適切な配慮が望まれる。
●つむじ風 8月1日
 7月29日で今年度の建設業地域懇談会が終了した。議論の納得具合は当事者でなければ分からないが、かつての「打てど響かず」の時代から見れば、官民双方がお互いの立場を尊重して一致点を探ろうとする姿勢が感じられるだけでも大きな前進と言える▼だいぶ前のことだが、県土整備部の幹部職員から「建設業と建設行政の価値は、地域に対する忠誠心にある」と聞いたことがある。つまり業界と行政が目指す先は同じであり、受益者は当然県民一人ひとり。本来は対立する関係にはない▼30日のカムチャツカ半島付近で発生した巨大地震により、本県沿岸部にも津波警報が発令された。いまのところ目立った人的被害や土木施設の被害は確認されていないが、久慈市で130㌢の津波を記録するなど、気が休まらない一日だったと思う▼以前にも述べたが、災害があったから建設業が必要になったのではない。地域建設業が健全に維持されているからこそ、災害など有事の際に業界を頼りにすることができる。地域への忠誠心があれば、一致点を探るのは難しくない。
●つむじ風 7月31日
 30日朝に出社すると、「太平洋側に津波注意報が出ている」と上司から知らされた。すぐさまニュースを確認したところ、気象庁から津波の到達予想時刻などが発表されていた。それほど間を置かないうちに、津波注意報から津波警報へと引き上げられ、北海道太平洋沿岸や本県沿岸部など、広範囲に津波警報・注意報が出された。テレビアナウンサーは、安全な高台への避難を継続するよう呼び掛けていた▼同日午前10時半ごろに県建設会館を訪問し、県建設業協会の向井田岳会長に話を聞いた。向井田会長は、東日本大震災や16年台風第10号などの対応を振り返り、「災害は忘れた頃にやって来る。われわれは、東日本大震災などの教訓を忘れてはならない。地域建設業は何があっても、備えることが重要だ」と改めて気を引き締めていた▼建設業界の強みは、組織力。災害などへの迅速な対応に向けて、さまざまな場面で結束を確認したい。さらには行政側と、地域建設業の重要性に関する認識を何度でも共有したい。現場は、顔の見える関係を構築する一つの場となる。
●つむじ風 7月30日
 気象や気候、水に関する科学情報を提供する世界気象機関。このほど、アジア域における2024年の気候の特徴や異常気象とその社会経済的影響を取りまとめた報告書「アジアの気候2024」を公表した▼アジアは現在、世界平均のほぼ2倍の速さで温暖化しており、1991―2024年の上昇率は、1961年―1990年のほぼ2倍となっている。24年の日本の気温は、23年に続き過去最高となり、特に4・7・10月で月平均気温の記録を更新。秋の平均気温も過去最高になっているという▼気象庁は過去の気象データを公表しており、本県の7月の日平均気温は22度台のこともあったが、近年は29度台で推移しており、25年は現段階で31・8度。日最低気温を見ると13度台という年もあったが、ここ4年は20度を超えており、25年は22度となっている▼これからが夏本番。日々の暑さ対策とともに、暑さによる疲労を蓄積しないことも大切だろう。バランスの取れた食事や十分な睡眠、冷房の適切な温度設定など、改めて自分に合った体調管理が求められる。
●つむじ風 7月29日
 山田町が同町船越で改修工事を進めていた道の駅「ふなこし」(愛称:いぐべす)が、26日にリニューアルオープンを迎えた。町内2カ所目の道の駅として、山田の観光振興に期待が寄せられる▼道の駅「ふなこし」は、旧産直ひろば「ふれあいパーク山田」が1月末に道の駅として登録された施設。老朽化が著しかったこともあり、時代のニーズに合った施設にするため、23年度から改修工事を進めてきた▼改修工事では休憩所とトイレの間に、情報提供施設やベビールーム、屋上には山田湾が一望できる展望テラスを備えた建物(鉄骨造平屋建て、床面積104・68平方㍍)を新設。屋根付き通路なども設置された。町のアウトドアスポット・船越半島の玄関口にある道の駅として、食事や買物、旅行情報の入手など観光・交流拠点の役割を担っていく▼三陸沿岸道路・山田インターチェンジ付近にある道の駅「やまだ」(愛称:おいすた)とともに、それぞれの特色を生かしながら相乗効果を図り、山田全体のにぎわい醸成につなげてほしいと思う。
●つむじ風 7月28日
 県建設業協会青年部連絡協議会(木下伸一会長)による建設業ふれあい事業。今年度は猛暑の中で行われているケースも多いようだ。ふれあい事業が、雨天で延期となることがあるが、暑さが毎年厳しさを増す中にあって、今後は猛暑で延期するような事態となることがあるかもしれない▼ふれあい事業は、学校側との日程調整、会員間やリース業者のスケジュール調整、当日や前後の準備などをした上で行われている。綿密な準備や各者の協力で、子どもたちは安全かつスムーズに体験を楽しんでいる。青年部としては、できる限り延期は避けたいのが本音だろう▼施工現場もまた、各企業、個人間の協力があって成り立っている。綿密に工程調整が組まれ、不測の事態が生じるなどすれば組み直す。苦労も多いが、協力し合って一つのものを造り上げるのは、建設業の大きな魅力だ▼週休二日が施工現場でもスタンダードとなってきている中、工程調整は難しさが増している。現在開かれている建設業地域懇談会でも、たびたび話題に上がり、業界側は配慮を訴えている。
●つむじ風 7月25日
 連日暑くてしょうがない。私事で恐縮だが、ついに自宅にクーラーを入れた。盛岡市内の中では比較的涼しい(涼しかった)場所に家があるので、窓を開けていれば朝晩は何とかなったが、ここ数年は我慢の限界。おかげでますます外に出ない生活になった▼国連のグテーレス事務総長が「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が到来した」と発言したのは23年7月。盛岡の気温を見ても「沸騰化」を実感する。気象庁のホームページによると、「月平均気温の高さ」「日平均気温25℃以上年間日数」「日最高気温30℃以上年間日数」は23―24年の順、「年平均気温の高さ」「日最高気温25℃以上年間日数」は24―23年の順で観測史上の上位1・2位▼当然、雨災害の極端化・激甚化は避けられず、地域建設業の役割は増す一方。災害パトロールや応急復旧、本格復旧だけではなく、事前防災のインフラ整備にも建設産業界の力が必要だ。森林管理道、ほ場整備、藻場整備などグリーン・ブルーインフラの整備をはじめ、温暖化対策としての公共投資はいくらでもある。
●つむじ風 7月24日
 東日本大震災当時の岩手・宮城・福島県の土木部長等による震災を語る座談会が先日、久慈市で行われた。元県土整備部長の若林治男氏、元宮城県土木部長の橋本潔氏、元福島県土木部長の原利弘氏の3人は、発災後の対応や復興への思いなどを語った▼3人はこれまでも「震災戦友会」という形で、被災3県を巡りながら親睦を深めてきた。3人は約7年ぶりに顔を合わせることとなり、座談会の企画が実現した▼若林氏は「人の心を受け止め、いかに実現していくのかという点に、最も大きな力を要する」と強調。被災者に寄り添い、県として復旧・復興ロードマップで社会資本の整備状況を公表したことを紹介した▼橋本氏は「行政、建設業とも組織力が大切。若い人が力を付けられるよう、日頃からの人材育成が重要になる」、原氏は「原発災害はどこで起きてもおかしくはない。人を呼び込む復興はこれからだ」と話していた▼座談会では「復興は道半ば」との思いも語られた。今後も東北が一体となり、「人の思いを実現する」地域づくりに取り組んでほしい。
●つむじ風 7月23日
 環境省は、スマートフォンのアプリを活用し、熱中症予防対策の情報を配信している。一日2回、熱中症特別警戒アラートや熱中症警戒アラートの発表や暑さ指数の情報を受け取ることができる▼本県の最近の状況は、暑さ指数31以上の「危険」が続いている。1時間ほど屋外で取材しているだけで、身体への影響を感じる。車両で移動し屋外での取材を繰り返していると、ダメージが蓄積していると感じることもある▼今年6月から職場における熱中症対策が強化された。各現場で、さまざまな対策が行われている。WBGT測定器の導入、体調異変を検知するウエアラブル機器やファン付き作業服の装着、自らの体調を確認するチェックリストの活用のほか、気温が高くなる時間帯を避けての作業、積極的な声掛けなどの取り組みを実践している▼暑さはこれから本番を迎える。熱中症対策で、身に着けるものは正しく装着しなければその効果を発揮しないことは肝に銘じたい。連休明け、長期休暇明けにはいつにも増して自覚・他覚症状に対する注意が必要だ。
●つむじ風 7月22日
 今週辺りから、小、中学校や高校などは夏休みに入る時期。一関地方の建設業や製造業など、さまざまな業種で組織する両磐インダストリアルプラザ(金澤英治会長)では、夏休みの期間中、一関工高と千厩高の生徒を対象に、インターンシップとしてアルバイトの受け入れを計画している▼会員企業で両校の生徒を受け入れ、生徒はさまざまな製品の製造などに携わることとなる。今年度はパイロット事業、来年度からの本格実施を予定する▼金澤会長は「製造業などでのアルバイトはイメージしにくいかもしれないが、世界に流通するような製品の製造などに携われる。生徒の職業に対するミスマッチをなくすのが狙いの一つで、ものづくりや地元企業に魅力を感じ、地元に定着してもらうことにつながれば」と期待を込める▼先日、学校側との協議の場では、交通費の扱いなどが課題として挙がっていた。まずは、一人でも多くの生徒が建設業を体験し、理解を示してもらえることが期待される。体験すれば、きっと多くの生徒に魅力を感じてもらえることと思う。
●つむじ風 7月18日
 9日の久慈地区を皮切りに、今年度の建設業地域懇談会が各地で開かれている。17日が終わった時点で折り返し。今年度は「いわて建設業振興中期プラン2023」をベースに、建設投資の確保、総合評価落札方式など入札制度の課題、担い手の育成と確保、完全週休2日の実施などを主な論点として意見を交わしている▼業界側からは、事業量の確保と受注の偏在解消に向けた対策を求める声が強い。事業量について県当局は東日本大震災前水準の維持に努めているが、労務単価や資材価格は当時とは比較にならない。業界側からは「体感としては、当時から2~3割の減」との声が聞かれる▼それでは受注環境はどうか。落札率の向上につながる施策を求める声や受注の偏在解消に向けたチャレンジ型の拡大、「土木系」と「土木系以外」における評価項目を問い直す声が上がっている▼残念だが、全員が等しく満足できる制度はないだろう。では目下の業界環境下において、最大公約数を狙うことは果たして正解か。懇談会や制度の見直しはあくまでも手段に過ぎない。
●つむじ風 7月17日
 先週に開かれた東北の社会資本フォーラム(主催・東北の社会資本整備を考える会)では、投資の拡大などにつながる社会資本整備予算の大幅な増額や、災害に屈しない強靱な国土づくりの推進などを求める決議を採択した。同会は関係省庁などに対し、社会資本整備や国土強靱化の継続的な推進などを要望していく▼フォーラムでは、東京大学大学院情報学環特任教授の片田敏孝氏が「国土強靱化と国民強靱化で築く災害に強い東北を目指して」と題して講演。片田氏は、東日本大震災や西日本豪雨などの教訓を交えつつ、住民主体の防災対策への転換、「国民の強靱化」の必要性を説いた。津波などからの早期避難に向けた教育の重要性も語り、防災意識を人々の文化として根付かせるような取り組みを呼び掛けた▼建設行政・産業界は、国土強靱化対策の最前線に立ち、建設事業の効果などを熟知している。社会資本の整備は、地方の活性化や経済的な成長などにも寄与するはず。強靱化対策と、その先の効果を整理するためにも、経済界との連携を密にしたい。
●つむじ風 7月16日
 花巻労働基準監督署管内の建設業における休業4日以上の労働災害は、「墜落・転落」が最も多い。同監督署は、管内の建設業における墜落・転落災害をなくそうとリーフレットを作成し、公表している▼管内建設業では、2023・24年度に休業4日以上の労働災害が120件。その内、墜落・転落は約4割の47件発生。工事別では、建築工事が71件で圧倒的に多い。経験・年齢別では50歳代25件、60歳代が24件。3年未満の各世代の合計は40人。60歳代で30年以上の経験年数は13人だった▼墜落・転落災害防止のためのポイントは、▽高さ2㍍以上の箇所での作業の際は墜落防止措置が必要▽作業内容や高さに応じて墜落制止用器具を使用▽適切な墜落防止措置を講じた足場を使用▽はしごや脚立は適切な方法で使用―を挙げている▼墜落・転落災害は、死亡事故や重篤な災害につながりやすく、さまざまな状況下で発生している。リーフレットを参考に、墜落・転落災害防止のためのポイントを再確認し、墜落・転落防止対策をはじめ安全対策の順守徹底を図りたい。
●つむじ風 7月15日
 先週、県が宮古市内の中学1年生を対象に開催した津波防災出前講座。生徒は現場見学や座学を通して、津波の恐ろしさや避難の重要性について理解を深めていた▼生徒は市内で進む閉伊川水門の現場や、周辺の防潮堤で陸閘を見学。水門ではAR(拡張現実)技術を使い完成形をイメージしたほか、躯体工で使われている直径約5㌢の鉄筋にも触れ、太さや重さを体感。地域を津波から守る大型構造物の迫力を感じていた。陸閘では自動閉鎖システムの説明を受けながら、開閉動作を視察した▼座学では県の担当者がハード対策の効果と限界を解説。「津波防災施設を過度に期待せず、地震が起きたら津波の発生を予想して、安全な高い所に率先して避難することが大切」と語り、最悪のケースを考え避難場所を決めておく必要性を説いていた▼参加した生徒は、東日本大震災以降の生まれ。自然災害で二度と犠牲者を出さないためにも、震災を経験していない次世代へ避難の重要性や災害への備えを伝え続け、防災文化を根付かせていく必要があるだろう。
●つむじ風 7月12日
 県内の葛巻町、一戸町、二戸市を流れる一級河川馬淵川のうち、上流となる葛巻町と一戸町の流域について、県は「特定都市河川」に指定する構えでいる。同川は、22年8月の大雨で、大きな被害が発生。流域関係者が一体となって取り組む流域治水が進められている▼「特定都市河川」への指定は、流域治水の取り組みの一つ。指定によって、農地などの締め固められていない土地で行う、1000平方㍍以上の雨水浸透阻害行為について、調整池などの雨水貯留浸透施設の設置、知事の許可が必要となる▼雨水浸透阻害行為は、農地や原野の宅地化、駐車場化など。「特定都市河川」への指定により、雨水流出を抑える対策を強化し、流域のさらなる安全・安心の確保に取り組むとしている▼防災・減災に向けて、河川整備とともに、各種周知活動にも行政では力を入れている。今年度は、子どもたちを対象とした防災学習を取材する機会にも多く恵まれているが、防災力の強化に向けて、災害への備えが着実に浸透してほしい。治水対策の一層の推進も期待したい。
●つむじ風 7月11日
 「スケジュールの関係上、たまたまですよ」と言われるだろうが、総会や祝賀会などの席に誰が来るかは、主催者に対するメッセージの一つだと思っている▼東日本大震災前の10年度、県建設業協会の総会で知事代理の祝辞を述べたのは県土整備部の技監だった。当時は、岩手・宮城内陸地震への対応などで地域建設業の社会的存在意義が見直されつつも、コンプライアンス問題や長期的な公共事業費の縮減などで官民の距離が遠かった時期だった▼6月下旬に開かれた「北岩手・北三陸横断道路整備促進期成同盟会」の決起大会。来賓の顔ぶれからも、事業への期待が感じられた。地元選出の国会議員、県や東北地方整備局の幹部職員らが出席し、県北地域を横断する広域道路ネットワークの早期整備への理解を示していた▼昨年度は達増知事本人も出席し、事業の進捗に直接言及した。北・北道路道路の整備に対する社会的な要請は年々高まっていると感じる。あとは当局の決断次第か。来賓の顔ぶれに負けないよう、民間からも県民運動として後押ししていきたい。
●つむじ風 7月10日
 7月は「河川愛護月間」。国土交通省などは、河川愛護意識の高揚を図るため、さまざまな運動を展開している。河川愛護月間における広報活動の一環として、絵手紙を広く募集しているとのこと。募集テーマは「川遊び~川での思い出・川への思い~」のようだ▼県内に目を向けると、いくつもの川が流れている。河川は、豊かな自然を育み、人々の心を癒やす空間も提供している。建設行政や建設業界では、地域に親しまれる川づくりに取り組むとともに、激甚化・頻発化する水災害に備えるための河川改修工事などを推進している▼県は、16年台風第10号災害への対応として、岩泉町内の小本川の河川改修を進めており、事業の終盤に入っている。24年8月の台風第5号の際には、河川改修が進ちょくしていたことにより、同町の赤鹿水位観測所で25㌢の水位低減効果が見られた。住宅の浸水被害はなく、大きな治水効果が発揮された整備事例の一つだ▼今後も、人々の思い出につながる河川の環境を大切にしながら、同時に各地域の治水対策も進めてほしい。
●つむじ風 7月9日
 県建設業協会北上支部青年部会は、県立黒沢尻工業高等学校土木科3年生を対象に測量実技講習会を実施している。今回で24回目となる伝統的な行事となっている▼「基準点からの位置出しとトンボの設置」「路線の横断測量と丁張りの設置」を2週にわたり学ぶことも長年続いている。菊池栄幸部会長は、「測量機器は日々進歩しているが、測量の基本は変わらない。講習会を通して基礎を学び、社会に出て応用に変えられるようになってほしい」と生徒らの成長を願っている▼彼、彼女らが来年4月1日に入社すると、1年後のきょう7月9日は入社100日目を迎えることになる。AIに入社100日間の過ごし方を問うと「積極的に質問する」「メモを取る習慣をつける」「報連相を徹底する」「自己成長を意識する」との回答が導き出された▼自らのことが頭に浮かび1万日を調べてみると、キーワードは「感謝」「健康」だった。改めて社会人としての基本・基礎を意識しながら、それらを応用に変えることができるように自分自身も成長を続けていきたい。
●つむじ風 7月8日
 先月末に大船渡市内で開かれた建設業労働災害防止気仙地区大会。安全講話では大船渡労働基準監督署の西村浩二署長が、熱中症とともに蜂刺され対策について説明し、注意を促していた▼西村署長は、昨年県内で発生した蜂毒によるアナフィラキシーショックでの死亡事例を紹介した。「屋外で草刈り作業をしていたところ、スズメバチに左腕を刺され3時間後に亡くなった」と語り、「蜂に刺された場合に、重篤な症状が出るか否かは、その人が持つ蜂毒アレルギーの体質次第」と指摘した▼さらに「体質によっては蜂に刺された後、血圧が急低下し15分後には心臓が停止してしまうケースもある」と説明。「大切なのは、自分自身が蜂毒アレルギーで重症化する体質なのかどうか把握しておくこと」とし、事前の血液検査など必要な対策を講じておくよう呼び掛けていた▼山中での砂防工事や道路脇での除草作業など、山林に近い場所での仕事も建設業者には多い。熱中症はもちろん、蜂や蛇、熊によるトラブルを避ける対策にも、目を向けておきたい。
●つむじ風 7月7日
 工事現場に設置される看板は、工事中を周知することに留まらず、公共事業や建設業界をPRするツールとしても活用できるものとなる。昨今は、働き方改革への取り組み、特にも週休二日に取り組んでいる現場であることを強調する看板が多くなった印象がある▼19年度から取り組まれている、行政機関と建設業界団体が協働で公共工事を一斉に休みにして閉所する「週休二日制普及促進DAY」は毎年度、週休二日の実施日数を着実に増やしてきた。今年度は、毎週土曜日の一斉土曜閉所の定着に向けて取り組みを進めている▼これからを担う高校生たちは、就職先を選ぶ上で休日日数を重視している傾向にあるとされる。一方、弊紙が以前、高校生を対象に実施した調査では建設業が休日の少ない職業とイメージする割合が高かった▼業界では、工事看板に加え、ポスターなども制作して、毎週土曜日の閉所を周知している。週休二日に取り組む企業、現場が着実に増えている中、高校生などの担い手をはじめ、広く一般に、どの程度認知されてきているのだろうか。
●つむじ風 7月4日
 先ごろ公表された7月以降分の県営建設工事の発注見通しは369件で、前年度を17件下回った。概算額ベースごとの内訳を見ると、比較的規模の大きい工事は前年度を上回っているが、2500万円未満は34件減となるなど、小規模工事の減少が目立つ▼年度当初に公表される県営建設工の発注見通し件数は、24、25年度と2年続けて500件台後半。06年に策定された「建設業対策中期戦略プラン」を思い出した人もいるだろう。ここでは10年度の県内企業への発注金額を約300億円、発注件数を約800件になると試算していた。当時の金額や件数がどの程度精緻に積み上げられた数字だったのかは分からないが、ここ数年の発注件数が当時の推計を下回っていることは事実▼7月以降の発注見通しに上がっている土木C級の工事は60件。当然、地区ごとの偏りも見られる。発注件数ありきでないことは重々承知だが、これは余りにも少な過ぎ。幸い当時とは、建設業の社会的な位置付けが異なる。国土強靱化実施中期計画の生かし方次第で打つ手はありそうだが。
●つむじ風 7月3日
 25年度の建設業地域懇談会は、7月中の開催が予定されている。地域懇談会は、県や県建設業協会、県電業協会、県空調衛生工事業協会などの地区代表者らが意見を交わす場。9日の久慈地区を皮切りに、県内13地区で開かれる▼例年の地域懇談会では、いわて建設業振興中期プラン2023などに基づき、働き方改革、生産性の向上、担い手の確保・育成など、建設業を取り巻く課題を洗い出している。これほど広大な岩手では、地域の事情もさまざま。担い手の確保・育成の一つをとってみても、工業高校の有無や学校の統廃合など、地域が置かれている状況は異なる▼地区によっては、豚熱、鳥インフルエンザの防疫対応などをテーマに、現場からの生の声が上がることもあるかもしれない。国土強靱化を推進していく中にあっては、土木、建築、電気、管など、各工種の視点に立った提案もあるだろう▼受発注者の立場の違いはあれど、「県土をより良くしたい」という思いは同じはず。建設業を共に盛り上げていくため、多くの課題を克服するきっかけとしたい。
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